センバツ救済は夏の大会の休養日に招待試合を実施しよう [スポーツ]
2020年の選抜高校野球は新型コロナウイルスの影響により中止の決定になされた。一度は無観客での開催の方向であったが、政府の大規模イベント自粛要請を受けて方針が変更された。開幕まであと2週間前の決定で出場高校の選手の落胆ぶりは想像にあまりある。
主催の日本高校野球連盟は何らかの救済措置を行う必要があると認めたものの、今のところ具体的な発表はない。選抜出場校の救済策について有識者の意見としては以下のようなものが挙げられた。
1.夏の選手権に出場させる
2.国体に出場させる
3.夏の入場行進に参加し土を持ち帰ってもらう
4.夏の甲子園練習に参加し土を持ち帰ってもらう
5.招待試合を実施する
まず1については選抜出場校32校と選手権代表49校合わせて最大81校のトーナメント対戦は無理だ。春夏連続出場があるから現実的には60校前後になるとはいえ、甲子園球場だけで日程消化することは難しいだろう。甲子園の近隣にあるほっともっとフィールドが使えるとはいえ、球児たちが目指しているのは甲子園である。それに夏の選手権は各地区を勝ち抜いた代表校同士で争うのが大原則だ。秋季大会で負けた高校や、21世紀枠という特殊選考の学校が代表とはなり得ないだろう。
2については国体の野球は秋期に行われるので3年生にとっては本気で戦うものではないし真剣味に欠けるものだ。それに新チームによる秋季大会のチーム編成をどうするのか問題。そもそも甲子園球場が使えるかどうかが問題だ。1でも述べたが甲子園で行われない選抜代替試合など何の意味もないだろう。
3,4については確かに選手が甲子園の土を踏めるが、選手としては試合をやりたいに決まっている。大阪桐蔭など常連校には無意味だし、21世紀枠の選手にとっても慰め程度のものにしかならないだろう。
結局、5の招待試合を実施するのが一番現実的な対応だろう。幸い、夏の選手権大会には準決勝の前後に休養日がある。そこで1日4試合、合計8試合の16校による招待試合が実施できる。16校だと選抜出場校の半分しか救済できない。そこで選抜の常連校より夏の選手権の予選を突破する可能性の低い21世紀枠や初出場校を優先するのである。具体的には以下のような優先条件を設定する。
1.21世紀枠
2.初出場校
3.出場間隔が長い学校
4.出場回数が少ない学校
2020年の選抜出場校をこの優先条件で並び換えると以下のようになる。
優先順位 | 学校 | 地区 | 回数 |
1 | 帯広農 | 北海道 | 初出場 |
2 | 平田 | 島根 | 初出場 |
3 | 磐城 | 福島 | 46年ぶり3度目 |
4 | 白樺学園 | 北海道 | 初出場 |
5 | 加藤学園 | 静岡 | 初出場 |
6 | 鹿児島城西 | 鹿児島 | 初出場 |
7 | 鶴岡東 | 山形 | 41年ぶり2度目 |
8 | 大分商 | 大分 | 23年ぶり6度目 |
9 | 尽誠学園 | 香川 | 18年ぶり7度目 |
10 | 中京大中京 | 愛知 | 10年ぶり31度目 |
11 | 鳥取城北 | 鳥取 | 8年ぶり2度目 |
12 | 倉敷商 | 岡山 | 8年ぶり4度目 |
13 | 広島新庄 | 広島 | 6年ぶり2度目 |
14 | 天理 | 奈良 | 5年ぶり24度目 |
15 | 県岐阜商 | 岐阜 | 5年ぶり29度目 |
16 | 花咲徳栄 | 埼玉 | 4年ぶり5度目 |
17 | 桐生第一 | 群馬 | 4年ぶり6度目 |
18 | 高崎健康福祉大高崎 | 群馬 | 3年ぶり4度目 |
19 | 仙台育英 | 宮城 | 3年ぶり13度目 |
20 | 日本航空石川 | 石川 | 2年ぶり2度目 |
21 | 創成館 | 長崎 | 2年ぶり4度目 |
22 | 東海大相模 | 神奈川 | 2年ぶり11度目 |
23 | 大阪桐蔭 | 大阪 | 2年ぶり11度目 |
24 | 智弁学園 | 奈良 | 2年ぶり13度目 |
25 | 明徳義塾 | 高知 | 2年ぶり19度目 |
26 | 明石商 | 兵庫 | 2年連続3度目 |
27 | 山梨学院 | 山梨 | 2年連続4度目 |
28 | 明豊 | 大分 | 2年連続4度目 |
29 | 履正社 | 大阪 | 2年連続9度目 |
30 | 国士舘 | 東京 | 2年連続10度目 |
31 | 星稜 | 石川 | 3年連続14度目 |
32 | 智弁和歌山 | 和歌山 | 3年連続14度目 |
これによれば21世紀枠と初出場校は確実に救済される。7位の鶴岡東は41年ぶりといっても2019年夏に出場しており、10位の中京大中京は超常連だ。14位以下の天理、県岐阜商業、花咲徳栄、桐生第一は実力で予選を突破するかもしれない。そうすると下位の高校が出場する。大阪桐蔭のような常連校といえども予選で取りこぼす可能性がある。学校としては何回も出場していても、選手にとっては甲子園に出場できるのは3年間の5回のみだ。招待試合でも出場したい気持ちはあるはずだ。
さて実施される招待試合は大会公式記録に反映されない。確実な日程消化のため、延長戦も行わず、9回打ち切りで同点の場合は引き分けとする。これは勝利至上主義に陥りがちな高校野球に一石を投じる目的もある。
あと細かい話だが、開会式には招待試合の選手も参加する。やはりセンバツが開催されていれば味わえる感動を体験してもらいたいのだ。選手宣誓も希望者が遠慮なく参加してもいい。また入場行進曲は伝統の大会行進曲を用いるが、閉会式の場内一周にはセンバツで採用されていたパブリカを演奏する。前年のヒット曲はその年のうちに使うべきだ。