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キャッシュレス社会を生きる・電子マネー篇 [社会]

 2019年の消費税増税とともに施行されたキャッシュレス決済によるキャッシュバック政策や新型コロナウイルスの感染対策で現金のやりとりが忌避され、2020年は一気にキャッシュレス決済が進んだ感がある。この電子マネーについて、筆者の使っているものを中心に解説していく。ただし電子マネーは統合・廃止・機能追加などが頻繁に行われるため、ここに書かれた情報が常に正しいとは限らない。あくまで2020年12月の情報であることをお断りする。
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1.電子マネーとは
 おそらく電子マネーの元祖といえるのは、テレホンカードだろう。1000円、5000円など一定の金額を前払いして、公衆電話の料金に充てられるようにしたカードで、利用者にとっては硬貨を用意しなくてもいいこと、また1000円で50円分余計に利用できるなど特典があった。事業者にとっては硬貨の回収の必要がなくなること、表面を多様に印刷すること宣伝用に用いることができる。またそうすることで希少性が出て蒐集家の対象となったりした。この場合電話料金として利用させることがほとんどないので、電話会社はマル得となった。テレホンカードは今でも発売されているが、携帯電話の普及で、あまり利用させず、もらってもあまり嬉しくない贈答品となっている。このテレフォンカードに類するものとして、JRの切符を買えるオレンジカード、高速道路の料金支払い用のハイウェイカード、コンビニの支払いに使うクオカードなどがある。これらを総じてプレペイドカードという。
 しかしこれらのカードは購入した金額を使い切ると、再利用はできなかった。今現在普及している電子マネーはこれを何度でも利用できるようにしたものといえる。

2.種類
 形態としてカード型とアプリ型とコード型、支払い方法として前払いと後払いとデビットがある。
 カード型はSuica、ICOCAなどのように交通事業者や楽天EDY、nanako、WAONのように金融流通業者が発行しているカードで、多くはスマートフォンのおサイフケータイ機能としても利用できる。その場合は別にカードを持たなくてもいいし、スマホの電池が切れても利用できる。この手のカードはセンサにカードを近づけることで発生する電磁誘導を利用しているからだ。またカードでなくともICさえ組み込めばいいのでコイン、ストラップやキーホルダーのような形にもできる。
 アプリ型はスマートフォンのアプリを利用するもので基本的には通信環境が必要だ。一部にはオフラインでも使えるのが存在するが、画面にコードを発生させる必要があるのでスマートフォンの電池残量は必須である。
 コード型はカードに書かれた数字や文字を、利用時に端末から入力するものである。アマゾンやグーグルプレイのギフトカードなども該当する。これの利点は銀行口座や個人情報が必要ないことで、年少者や何らかの理由でクレジット契約や口座を持てない人が利用できることだ。一般的にはインターネットでゲームアプリを買ったりするのに使われ、コンビニなどの店舗で利用するものではない。
 前払い式は一般的な電子マネーの形態で、あらかじめ一定の金額を入金しておき、使った分だけ減っていく方式だ。一番の利点は使いすぎを防止できることだ。中にはクレジットカード情報とリンクして簡単にチャージできるようにしたり、一定の金額以下になったら自動的にチャージできるようになるのもある。しかしこれでは歯止めが効かないので注意が必要だ。
 後払い式はチャージはしなくてもいいかわりに、使った分だけリンクしたクレジットカードから引き落とされる方式だ。関西私鉄の共通カードのPitapaやJCBカードが運営するQuickpayなどが該当する。この方式の欠点はは前払い式と逆に歯止めが効かないので使いすぎてしまう可能性があることだ。レジで払うのであれば初めからクレジットカードを出せば済むことだ。クレジットカードとの差は決済スピードだが、最近ではクレジットカードにもタッチ決済に対応しているのがある。そんなわけでこの後払い式はあまりお勧めできない。
 デビット式はチャージしなくても使った分だけ引き落とされるのは後払い式と同じだが、引き落としが締め日でなく即時に行われその時点で銀行口座の残高のゼロになると引き落としがされない。つまり前払いと後払いの中間を狙った方式だ。NTTドコモが運営するiDがこれに該当する。ただしiDはデビットカードだけでなくクレジットカードや現金をチャージして前払い式にもできる柔軟性を有する。
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3.使っている電子マネー
1.楽天EDY
 電子マネーとしては老舗的存在。ソニーを中心とした大手企業数社が出資しEuro、Dollar、Yenの三大通貨の頭文字を取って名付けられた。その後楽天グループに買収されて「楽天EDY」と改称され、同グループの中核である楽天クレジットカードにはその機能が組み込まれている。形態としては非接触センサでカードやスマホに埋め込まれたチップを読み取る。決済が完了すると「シャリーン」という音が鳴る。
 筆者がEdyを最初に知ったのは全日空のマイレージカードにその機能があったからだ。当時アパホテルのポイントを1000ポイント貯めると500円分のEdyがもらえたので重宝していた。またネットショッピングでクレジットカードの番号を知られるのを嫌って、PCにパソリというEdyカードを非接触で読み込むリーダーをつないで決済をしていた。いづれにしても利用ポイントはなかったので積極的に利用していなかった。
 楽天Edyとなってからは楽天IDと連携すれば、楽天スーパーポイントが200円の利用で1ポイント付くようになった。これでEdyの利用価値が高まった。またチャージするときにも200円につき1ポイント付くようになった。しかしこれは楽天クレジットカード利用時に限られる。問題はポイントの単位が200円だということだ。楽天クレジットカードで直接払えば100円で1ポイントだ。チャージ時にもポイントが付いているとはいえ、無駄になることは避けられない。
 ではEdyはあまり使いどころはないのかというと、そうではない。筆者はEdyをストラップにしてキーホルダーにつけているのだ。これにより財布からいちいちカードを出さなくても買い物ができる。自販機によっては電子マネーが使えるのがある。ただしレシートの処置については困ることがおおい。これについては別の記事を書きたいと思う。
Edyストラップについては、下記拙作記事を参照していただきたい。
UVレジンでEdyストラップを作る

 さて、筆者はEdyのチャージについては「いつでもチャージ」を使っている。これはあらかじめ設定した金額をファミポートやPCにつないだリーダーからチャージできるようにしたものだ。一度チャージすると次の日の正午を過ぎないとチャージできない。これによって使いすぎを防止できる。しかしこの「いつでもチャージ」は不安点がある。それは盗難に遭うと暗証番号など本人確認なしにチャージできることだ。一日1回とはいえ、数千円チャージできるわけだから、盗ったものからするとうちでの小槌みたいなものだろう。筆者のようにストラップしているのであれば、可及的速やかに「いつでもチャージ」を解除する必要がある。あとEdyを含む電子マネーは紛失した場合の残高の保証はされない。テレホンカードをなくした場合と同じである。「いつでもチャージ」の場合もおそらくこの約款が適用されるから取り扱いには注意することだ。
 Edyは先行者の強みで使える店も多い。しかし最近は後発のnanacoやWAONの後塵を拝している。nanacoはイトーヨーカドーやセブンイレブン、WAONはイオングループという強力なバックアップがあるからだ。この3大ブランドを簡単に比較してみよう。
イトーヨーカドーやセブンイレブンはnanacoとEdyは使えるがWAONは使えない。イオンはWAONしか使えない。また吉野家も同様である。Edyはイトーヨーカドーやセブンイレブンで使えるが、イオンで使えない。ファミリーマート、ローソンはWAON、Edyを使えるがnanacoが使えない。イトーヨーカドーとイオンがそれぞれの顧客を囲い込みをした結果このようになっている。nanacoの方がやや開放的な対応をしている。イオンで買い物するならWAON、イトーヨーカドーならnanaco、どちらでもないならEdyがいいだろう。ただnanacoは公共料金の支払いに使えてポイントも貯まるのが利点だ。
 Edyストラップの残高確認は使った時のレシートを見るか、ファミポートを使う手もあるが、スマホがおサイフケータイを使えなくてもAndroidでNFC機能をもっていれば「残高リーダー」アプリを利用することで、残高を読み取ることができる。このアプリはEdy、WAON、nanaco、後述する交通系カードでも使えるからインストールしておくべきだ。
 電子マネーは利用額に応じてポイントで還元があるのが普通である。ポイントは無期限でどこでも使えるのが理想だ。ポイント還元率に釣られて、期限があったり、使える店が少なかったりすると、かえって損をするので十分吟味することだ。
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2.LINE PAY
 LINE PAYはQRコード決済だ。使用時に一定の時間で無効になるQRコードをスマホ画面に表示し、それを店側のスキャナで読み取る方法だ。残高はスマホの内部ではなく、基本的にはサーバー上にある。従って使用時には電波が届いていて通信が確保されている必要がある。この方法の最大の特徴は設備が非常に簡単だという点だ。Edyなどの場合はカードリーダーが必要だが、QRコードであればスマホのカメラで十分だ。これは友達のスマホ同士の送金や露天の商売でも使えることを意味する。決済方法には2種類あって、スマホに表示させたQRコードをレジのPOSに接続されたセンサーやスマホでQRコードを読み取る方法と店に提示されているQRコードをスマホで読み取って金額を入力する方法がある。
 QRコード決済の欠点はQRを表示させるのに時間がかかることだ。後の人のためにレジで並ぶ前に済ませておけばいいが、クーポンなど出ていないかチェックしなければならないし、レジで並んでいる時にこれをやっていると結構焦る。それと通信が確保されていないと決済ができない。しかし中国のアリペイは通信が確保されているうちに残高情報をスマホ内部に取り込んでおくことにより、電波が届いていなくても決済できるようになっている。
 さて日本で最も普及しているQRコード決済はソフトバンクグループのPaypayだ。利用者側に現金を配ったり、店舗側には手数料無料としたり派手な販促活動で一気にシェアを獲得した。前述したように設備が簡単なので、個人商店ではPaypayしか使えない店舗も多い。
 しかし筆者はLINE PAYを選んでいる。LINE PAYの利点は友達への送金やギフトを簡単に送れることだ。これは厳密にいうとそうした利用はLINE Payでなくとも電話料金から引き落とされるのだが、筆者は格安SIMなのでそれが利用できないのだ。それと筆者が利用している電子書籍HontoがLINE PAYが使えるという点もある。クレジットカード番号をスマホで入力するのは危険だし、カード番号を売り手に預けるのも同様に危険だ。
 LINE PAYの欠点は自社ブランドのLINEクレジットカードからチャージした場合にしかポイントが加算されないことだ。筆者のように銀行口座からチャージした場合はポイントがつかない。これではあまり魅力がないが、LINEショッピングで楽天市場やYahooショッピングを利用すると0.5%のポイントが付く。このポイントはLINE PAYの支払いに使える。
 あと全く利用していないがPaypayも持っている。これはヤフオクなどの売上げをPayPayにチャージすれば割り増しになること、1000円以上であればジャパンネット銀行に手数料無料で口座に戻せること、ヤフーがLINEを買収したので、将来的にはPayPayとLINE Payが無手数料で送金できる可能性があることからである。
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3.ICOCA
 ICOCAはJR西日本が発行している交通カードである。自動改札機のセンサに読み込ませると、残高がゼロでない限りゲートが開く。朝のラッシュ時には猛烈なスピードで処理しなければならないので、日本の改札機でQRコード決済が使える日はまず来ないだろう。交通カードにはICOCAの他にJR東日本のSuica、JR北海道のKitaca、JR東海のToica、JR九州のSugoca、関東民鉄のPASMO、関西民鉄のPITAPAなどがあるが、一部を除いて相互に利用できる。従っていずれのカードをいずれか持っていれば、全国の鉄道やバスに乗れる。また駅構内の売店や駅周辺のコンビニではこれらの交通カードで決済できる。つまりこれ一枚あれば他に電子マネーは必要ないという人もいる。
 この交通カードの欠点はポイント特典が弱いことだろう。ポイントが付いてもそれは鉄道の乗車か管内の売店でしか使えない。財布の中はスッキリするがこれは残念な点である。
 しかし前述したように特に首都圏や関西圏といった大都市に住んでいる人なら電車は必ず利用することだろう。交通カードは用意するべきアイテムといえる。
 筆者の持っているICOCAはスマートICOCAというタイプで、あらかじめ引き落としのクレジットカードを登録しておき、駅構内の端末でチャージして利用する。本人確認は全く行われておらず、紛失したら一日何回でもチャージできる。しかしJR西日本は紛失後直ちに届ければ、不正利用分は返金すると発表している。
 ポイント特典は薄いので原則として交通費にしか用いていないが、まれに構内の自販機で缶コーヒーを買ったりする。

4.Suica
 関西圏に住んでいる筆者が本来Suicaを所持する必要はないのだが、旅先でSuicaグリーン券を購入するには、ICOCAではダメでSuicaを持っていなければならない。邪魔になるのでモバイルSuicaにしたいところだが、筆者のスマホ端末は海外製でおサイフケータイに対応していないのだ。それにICOCAの残高が足りない時にも使えるし、また普段電車に乗らず交通カードを持っていない友達などに一時的に貸すこともできる。

 電子マネーは非常に多くの種類があって群雄割拠の時代だが、いずれは相互利用できるようになったり、淘汰されたりして便利になっていくことだろう。また中国のアリペイが日本でも使えるように、日本の電子マネーも中国やその他の海外で普通に使えるようになるだろう。そうなると両替の手間もなくなるし、あの重いコインも持ち歩かなくてよくなる。ユーロのように無理に統一通貨を作らなくても利用者の利便性が確保されるだろう。
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