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2015年マリーンズ総括 [野球]

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 長年マリーンズを支えた里崎捕手が引退し、左腕成瀬がFAで去り、その埋め合わせもすることなく、前年より戦力低下した状態でシーズンに挑んだ2015年のマリーンズ。当然、下馬評は芳しくなく最下位に推す声が多かった。
 開幕戦の相手は断然の優勝候補のホークスだった。初戦は涌井を立てて勝ち、3連戦を勝ち越すまずまずのスタートダッシュだった。
 しかし大砲として期待されたデスパイネがキューバ国内リーグを優先する契約条項があったために、来日が5月となった。期待された右腕唐川、左腕藤岡は背信投球を続け、投手陣は防御率4点台と相変わらず冴えなかった。ただ救援陣は大谷がセットアッパーとして活躍し、クローザーの西野が安定感を増していた。攻撃面では6年目の清田が23試合連続安打を記録するなど、打率3割を維持する好調ぶりで、シーズンを通じて攻撃の核となった。しかしながら攻守とも圧倒的なものはなく、5月には4位か5位に落ち着いた。
 この年から18試合に減らされた交流戦は10勝8敗と勝ち越し。ただ他のパリーグのチームも頑張ったので、順位の変動はなかった。他のチームに目を転じれば、大型補強で前評判の高かったバファローズが最下位に低迷し、森脇監督が休養する事態となった。前年優勝のホークスは分厚い選手層を武器に、安定した戦いを続け首位を守った。ファイターズは大谷投手が連勝を続け、離れた2位につけた。この2チームが抜け出し、強力打線のライオンズがさらに離れた3位。少し離れた4位にマリーンズ。以下離れてイーグルス、さらにポツンとバファローズという順位で推移した。
 オールスター以降も大きな順位変動もなく、ホークスの1位、ファイターズの2位はほぼ確定。興味はクライマックスシリーズ出場権が得られる3位争いに絞られた。
 マリーンズは勝率5割に何度も近づくのだが、開幕から好調だった今江を欠き、デスパイネも理由をつけて出たり出なかったりで、貯金ができない状態であった。しかし8月に入り、3位のライオンズが13連敗という大型連敗を喫し、それに対してマリーンズが7連勝しついに3位に浮上した。その後角中や大谷が戦列を離れ、西野まで離脱するという戦力不足の中、先発では8年目の大嶺、ベイスターズをクビになって獲得したチェンが頑張り、救援投手陣も中継ぎに回った藤岡、益田、松永、そして西野に替わってクローザーを務めた内が踏ん張って、9月以降は俄然調子があがった。。
 ホークスが早々と優勝を決め、ファイターズもクライマックスに向けての調整モードとなり、屋外球場の強みで残り試合の多いマリーンズは、ライオンズとの最後の直接対決で勝って、残り3試合で1勝すれば3位確定というところまでこぎ着けた。マリーンズはこれを3連勝で乗り切り、勢いをつけてクライマックスリーズに挑むことになった。
 クライマックシリーズファーストステージは敵地札幌でファイターズと対戦。第1戦は難敵大谷を崩し9対3で勝った。第2戦は落としたものの、第3戦はエース涌井が登板。涌井は最多勝を狙って最終戦に登板しており、そこから中4日での登板であった。再三のピンチを迎えながらも気合いで143球を投げ、初回の1失点に抑えた。井口とデスパイネのソロ2発でマリーンズは2対1でファイターズを下し、5年前の3位からの日本一の再現を目指し、勇躍福岡に乗り込んだ。
 ファイナルステージは優勝したホークスが待ち構えていた。マリーンズは激戦続きで選手が疲労しており、凡ミスが多く数多い得点機を逸した。それに対して、ホークスは内川、イデホ、柳田という中軸がしっかりと仕事をして、つけいる隙がなかった。第1戦2-3、第2戦1-6、第3戦1-3と3連敗でクライマックスシリーズ敗退が決まった。伊東監督は選手をねぎらいつつも、ホークスとの力の差を認めざるを得なかった。
 2016年も伊東監督が指揮を執ることが決まった。現状の戦力で3位に入った伊東監督の手腕が評価されたわけである。来年の展望としては、マリーンズの親会社のロッテがお家騒動で大型補強には難色を示すであろうし、現有戦力の底上げやドラフト新人の大化け、外国人選手の活躍など、不安定要素に頼らざるを得ないだろう。長いシーズンで優勝するには、故障者がでてもすぐに埋め合わせのできる分厚い戦力が必要で、ホークスは正にそれを有していた。マリーンズは短期決戦に強いことは、今年の戦いを見ても明らかだが、それは逆にいえば、予備戦力がないことの裏返しである。引退した里崎氏がシーズン前に「マリーンズは5年に一度のゴールデンイヤー」とさかんに煽っていた。それに乗せられたのか、今年はクライマックス進出までこぎ着けた。ただファンとしては5年に一度ではなく、毎年優勝争いするチームを見たいのである。
 マリーンズの観客動員は増加に転じたものの、未だ12球団最少の数字である。2年連続最下位となったイーグルスは、収容人員が少ない球場にもかかわらず、チケット販売方法を工夫するなどして、観客が増加している。さらに来年度は球場を天然芝に改修して、さらに増加を図ろうとしている。マリーンズはそうした工夫が見られず、バレンタイン監督時代に作られた施設をそのまま利用し、フィールドシートもネットを設けるなど魅力が低下している。チーム力を強化するのは、優勝争いするほど強くなれば、観客が増えるからだ。そのための資金を用意できなければ、イーグルスのように営業上の工夫をして、観客の増加を図るべきだ。ロッテが球団経営に情熱を失う可能性も出てきた現在、新たな買い手を振り向かせるほどの魅力のある球団にしておくことは、勝つ以上に重要なテーマであろう。

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