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第2級陸上及び航空特殊無線技士ダブル合格記 [資格]

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↑琉球エアライン(本文とは関係ありません)

【受験の動機】
 筆者は以前、第1級海上特殊無線技師を取得した。
↓URL
http://umayado.blog.so-net.ne.jp/2014-08-23

 動機はきわめて単純で「海を取ったのだから陸と空も取っておこうか」というものであった。海上特殊無線技師で使った問題集もそのまま使い回しできて、余計な出費も必要なかったということもあった。
 「陸」については、第1級陸上特殊無線はかなり難度が高いのであきらめ、その一つ下の第2級陸上特殊無線とした。「空」については等級がなく航空特殊無線以外に選択の余地がなかった。
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↑使い回した問題集

【試験の概要】
 第2級陸上特殊無線技師が取り扱えるのは公的機関の警察無線、防災無線やタクシー無線(これは3級でも扱える)となっている。50歳手前の筆者がこの先公務員になる可能性はゼロであるから防災無線は関係がない。タクシー無線は、筆者は普通自動車2種免許を持っているから転職したときに多少使えるかもしれない。航空特殊無線は自家用飛行機の操縦者が地上基地から支援機器を操作する時に必要な資格で、つまり飛行機の操縦免許がなければ全く役に立たない資格である。操縦できなくても無線機のオペレータとして、飛行機に乗り込む、つまり例えが少しずれているが宇宙戦艦ヤマトの相原や森雪のようなことをことをしようと思えば、航空無線通信士という資格が必要だ。
 はっきりいえば、一般人が取得しても全く意味のない資格なのである。しかもこれほど明確に役に立たない国家資格は他にないのではないかと思うほどである。
 そう思いながらも、2014年12月、受験を申し込んだ。陸上と航空を合わせて10,680円。ATMから払い込んだ。筆者は独身だからいいけど、家族のいるお父さんの小遣いでは難しい金額ではないか。


【勉強方法】
 特殊無線技師とは無線機器が進歩して特別な技術がなくとも操作できるようになったので、ごく簡単な知識で無線機の操作ができるようにした資格のことで、その字のごとく特殊な機械を操作できるわけではない。特殊でない「○○無線技師」の方が遥かに試験の難度が高く格上だ。
 そのような資格なので、試験はごく簡単で、「問題は過去問が繰り返して出題される」「簡単な計算で求まる平易な問題」と問題集の編者は記載している。実際、海上特殊無線で経験済みだが、過去問さえやっておけば大丈夫なレベルである。ただ法規にしても無線工学にしても、陸上、航空それぞれに必要な知識は問われる。大ざっぱにいえば24問の問題のうち、8割は陸海空共通、残りがそれぞれの専門分野というところであった。必要な知識は中学校卒業程度というところである。
 第2級陸上特殊無線は電波法規・無線工学のみ。航空特殊無線はそれに加えて電気通信術となっている。航空特殊無線合格者の特典として、航空無線通信士の受験時にはこの電気通信術が免除させるというのがある。このためにまず航空特殊無線を受験する人も多いと思われる。
 全体としては過去問丸出しで、引っかけもひねりもない。たまに新規の問題も出ているようだが、合格とされる正答率が60%だから、過去問さえきっちりやっておけば不合格になるおそれはない。
 問題集に載っている過去問を3回ほど繰り返し、間違えたところをノートに書き出して覚える。試験時間は1時間とあるが、15分もあれば十分である。やっているうちに問題を見ただけで答えがわかるようになった。
 平易な学科に比べ、電気通信術はやや特殊だ。決して難しくはないのだが、訓練が必要なのである。
 要するに無線電話で情報を確実に伝えるために、日本語ならアを「朝日のア」とかイを「イロハのイ」という「通話表による送受信」の英語版の試験が行われる。英文の通話表は以下のようになっている。

A ALFA (アルファー)
B BRAVO (ブラボー)
C CHARLIE (チャーリー)
D DELTA (デルタ)
E ECHO (エコー)
F FOXTROT(フォックストロット)
G GOLF (ゴルフ)
H HOTEL (ホテル)
I INDIA (インディア)
J JULIETT (ジュリエット)
K KILO (キロ)
L LIMA (リマ)
M MIKE (マイク)
N NOVEMBER(ノーベンバー)
O OSCAR (オスカー)
P PAPA (パパ)
Q QUEBEC (ケベック)
R ROMEO (ロメオ)
S SIERRA (シエラー)
T TANGO (タンゴ)
U UNIFORM (ユニフォーム)
V VICTOR (ビクター)
W WHISKEY (ウィスキー)
X X-RAY (エックスレイ)
Y YANKEE (ヤンキー)
Z ZULU (ズル)

 これは国際機関で定められているので、旅行業界で広く使われているような、LをLONDONといったり、CをCHINAと言ったりすると減点になる。
 受信はランダムに発生された英文字を5字を1語にして、3分間聞き取って書きとる。送信は逆に紙に書かれた英文を通話表を用いて発声し、目の前の試験官が聞き取る。
 試験対策は「第1級海上特殊無線技師合格記」と重複するので省略する。
 とにかく受信に関してはパソコンのフリーソフトに練習用のソフトが存在するので、それを繰り返すことである。
 難しいのは日本語では同じ音となるCとS、KとQ、BとV、LとRだろう。通話表ではCはチャーリー、Sはシアラ、Kはキロ、Qはケベック、Bはブラボー、Vはビクター、そしてLはリマ、Rはロメオである。シアラと聞いてCと書いたり、ケベックと聞いてKと書くのはやってはいけないミスだが、「どっちかな?」と迷っていると、次の語が聞き取れなくなるのである。
 諸般の事情により、2週間程度しか勉強時間がなかったのだが、何の問題もなかった。

【試験当日】
 2015年2月7日、試験会場の大阪天満にある西沢学園関西テレビ専門学校にやってきた。特殊無線の試験は年3回あるのだが、休日に試験があるのは2月だけである。
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↑関西テレビ専門学校
 午前中に陸上特殊無線、午後から航空特殊無線の試験がある。試験会場へは学校の正面ではなく、裏口から入る。裏口には池があったり、犬小屋に猫小屋、はては個人宅の入り口があったりする。在校生の憩いの場か学校のオーナーが住んでいるのか。謎の多い空間である。
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↑裏口
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↑憩いの場
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↑池と犬小屋猫小屋
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↑何故か個人宅
 さてまずは陸上特殊無線。試験会場は3階。受験者は106名。会場は4階にもあるから約200名の受験者。受験者は男性が圧倒的に多いものの、年齢は下は10代から上はおそらく60代までと幅が広い。確信していえるのはこの資格を必要とする人たちではなく、簡単な資格だから取っておこうという人が圧倒的に多いことだ。
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↑陸上特殊無線試験会場
 11時試験開始。その10分もかからずに勝負は終わった。例によって過去問丸だし。満点を確信して、退出時間の30分が経過するのを待った。退出可能時間が告げられると、ほとんどの受験者が一斉に退出した。まだ残っている人はいったいどういう勉強をしていたのだろうと思ってしまう。
 駅前のマクドナルドで昼食。自信はあるが一応問題集を開いて航空特殊無線の最終チェックをする。目の前の専門学校性と思われる男女が先ほどの試験の答え合わせをしていた。女の方が背が高く、しっかりしてそうだ。
 昼からは航空特殊無線。陸上特殊無線よりも受験年齢層が低いように思える。これは電気通信術があるために、簡単に取れる資格ではないので資格ヲタクが敬遠しているのだろう。筆者の隣は専門学校性と思われる若い女性だったが、とても自家用機の操縦者でなく、おそらく上級の航空無線通信士の科目免除を狙っての受験であろう。あるいは筆者がアロマテラピー検定を受験したように履歴書に箔をつけるためか。
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↑航空特殊無線試験会場
 まずは電気通信術の受信。まずは、アルファ(A)、ブラボー(B)から始まってズル(Z)まで読み上げられる。その後ランダムなアルファベット5文字1語の3分間の受信。海上特殊無線で経験済みなので、さほどの緊張はなく、早く終わってくれてという気持ちだった。乱字はあったものの完璧だろう。
 その後13時18分から学科試験。陸上特殊無線と同じく10分で勝負あった。もちろん30分で退場した。
 通路を隔てた教室で待機。トイレに行っていたら座るところに苦労するくらいであった。筆者の隣に座っていた女性を含むグループはどうやらこの学校の生徒で、送話を前にかなり緊張している様子だった。「少々のミスは大目に見てくれるらしいよ」などと楽観的な情報で辛うじてリラックスさせていた。
 電話送話試験は4人の試験官が送話のチェックをする。5人ごとに廊下に待機する。自信があるとはいえ、やはり学科試験と異なり実技試験は緊張する。10分ほど待って呼び出された。
 筆者の番だ。試験官は海上特殊無線の時と同じ人だ。受信と同じくアルファベット5文字1語が並んだ問題用紙をみて「指差しOKですか?」と確認を取った。言い方が若者風のせいか試験官はすぐに意味がわからなかったようだが、了解が得られた。間違えないのが一番なのだ。「始めます。本文。」といって問題文を読み上げる。W=ウイスキーで3秒ほど躓いたが、最後まで乗り切った。「終わり」とはっきりした声で結んだ。試験官は鉛筆も動かさずしたがって減点項目もなし。合格を確信した。

【合格発表】
 模範解答は試験終了後数週間後ウェブサイトで発表されていたのだが、それは見ずに、葉書での合否判定を待った。
 2015年3月1日。その葉書は送られてきた。陸上航空とも合格だった。
 こういう「士」ついた資格は合格だけで終わらず、免許証の発行を申請しなければならない。
 海上特殊無線と同じように郵便局で収入印紙を買い、申請書の送付、免許証の送付の両方とも簡易書留より安い、特定記録郵便とした。
 3月31日、免許証が届いた。免許証のフォーマットは海上特殊無線とほとんど同じで、異なる点は海上特殊無線が国際免許なので英語の表記があるが、陸上、航空は日本語のみという点だ。陸上が国内専用というのは理解できるが、海も空も世界に繋がっているというのに、航空が日本語のみというのはいかにもこの資格が軽いものかわかろうというものである。
 こうしてめでたく資格を手に入れたわけだが、単に取りやすいから取っただけで、何の意味もない。受験申請から勉強、試験地の大阪まで交通費、免許証の取得まで、面倒なだけでそれに要する見返りがあったのか疑問だ。海上特殊無線は英語の試験があるからまだしも、中学校卒業程度の学力しか試されない2級陸上と航空特殊無線は履歴書に書かない方がいいかもしれない。
 無線関連の資格としては、携帯電話などの多重無線に必要な第1級陸上特殊無線が、就職では多少有利になるようであるが、今さら老体を雇うところはないと思う。もし取るとすれば、どうせ遊びだから航空無線通信士を狙い、「相原通信長の下働き」を目指そうと思う。

●この資格に要した費用
特殊無線技士問題集 2,160円
第2級陸上及び航空特殊無線受験手数料 10,680円
収入印紙 3,500円
特定記録郵便 242円
特定記録郵便 242円
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合計 16824円
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↑あべのハルカス(本文とは関係ありません)
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