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2級ボイラー技師合格記 [資格]

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■そもそもボイラーとは
 人間が生活するには水が必要だ。そして快適な生活をするには湯が必要だ。人類が火を手にしてから程なく湯を使うことを覚えたはずだ。お茶を飲む、料理する、手を洗う、部屋を暖める、風呂に入る。すべて湯が必要だ。家庭ではその程度だが、水を沸騰させて蒸気にすることにより、膨大なエネルギーとなり、これをタービン(羽根)に吹き付けることにより、発電機を回転させて電力を得る。これは火力発電所の基本原理である。つまり水を湯または蒸気に変換するボイラーは人類を支えているといっていいだろう。あの原子力発電所も核燃料で水を蒸気に変換して発電機を回しているのだ。
 だからかつては工場やビルにはボイラーがあって、給湯から暖房、自家発電まで利用していた。それゆえ工場やビルの設備管理に携わる人はボイラーを操作する技術が必須で、その技術を証明するボイラー技師の資格は重視された。
 しかし現在はビルの給湯は電気温水器や真空温水器を利用するのが主流で、ボイラーを備えているのは蒸気そのものを利用する大工場ぐらいしかなくなってしまった。
 だからボイラー技師の資格は、その権威を低下させつつあるのが現状だ。しかしながら雇い主としては、給湯設備の理解度の証明として、検定試験的な扱いでボイラー技師を評価していて、あいかわらずその需要は高い。
 俗にビルメンテ基本4点セットというのがある。それは「電気工事士」「危険物取扱者乙4類」「2級ボイラー技師」「第3種冷凍機械」の4つの資格のことだ。ビルメンテは比較的高齢者でも求人があり、万が一の失業という非常事態の保険としても使える。管理人はすでに「電気工事士」「危険物取扱者乙全類」を取得している。この際基本4点セットをそろえ、すでに持っている大型2種運転免許を加えて、盤石の再就職対策を目指すことにした。
 そう決めたのは1月末であった。
 さてボイラー技師の資格は筆記試験だけで得ることができない。3日間の実技講習を全て出席し、筆記試験に合格する必要がある。ただし、その順序は逆になってもいい。つまり筆記試験に合格して、実際に資格が必要になってから講習を受けてもいいのだ。講習は毎月全国のどこかのボイラー協会でやっていて、その費用は1万8千円くらいだ。
 さしあたりボイラー免許の必要がない管理人としては後者の選択があり得たが、やはり形になった免許がほしいというのと、講習を受けてから、試験を受けた方がボイラーの理解が進み、試験勉強が捗るのではないかと考え、講習から試験を受けることにした。
 その3日間の講習の時期だが、なんとほとんどが平日の3日間で行われているのだ。会社が業務の一環として出張扱いにしてくれるのであれば、その方が歓迎されるが、管理人のような門外漢が趣味で3日連続有給休暇を取得するのは至難の業だ。どこかに1日の休みで済む金土日で講習をしているところはないのか。あった!
 2月から3月では宮城と鳥取で、金土日で講習をしている。近畿在住である管理人は当然鳥取を選んだ。時期は2月27日金曜から3日間。テキスト込みで講習手数料は1万8千円。さらに講義を受けるだけで取得できる「小型ボイラー特別教育講習」のために3千円追加し、21000円を鳥取県ボイラー協会に振り込んだ。
 筆記試験は3月14日だ。この日は土曜日で休み。好都合である。中四国安全衛生技術センターから試験申請書を送ってもらい、2月中旬に提出した。受験料は郵便振替による払い込み。窓口で振込証明書を発行してもらわないといけない。この場合、有人窓口での対応となり、集配局だと平日18時、それ以外だと16時までに郵便局に行く必要がある。独り者には厳しい仕組みである。
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↑取り寄せた試験申請書
 インターネットを徘徊して2級ボイラーに関する情報を集める。ほとんど過去問を繰り返し勉強することで合格できるとある。参考書は読んでいて眠くなるので不要、理屈抜きに覚えるのが一番などと書いてある。
 彼らが勧める「過去6年間2級ボイラー技師過去問題集」を買って、これをひたすら繰り返すことにした。
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↑購入した過去問集
 さらに危険物取扱者で成功したように、スマホアプリで隙間時間に勉強することにした。幸いその危険物でのアプリと同じ作者りすさんがボイラー2級の問題集を作っている。さらに要点を記載したテキストアプリも買った。それぞれ300円と500円だった。
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↑りすさんのボイラー2級
 まずは何の予備知識もなく、いきなり過去問をやる。40問中19問正解。全くの勘で解答した割には上出来である。
 過去問を解きつつ、間違えたところをテキストでチャックする。これを繰り返していった。2週間後、6年分の過去問2周目には60%を越えていた。
 そしてさらに有効だったのはYoutubeにある2級ボイラー技師の講義である。ヘルメットをかぶったオッさんが分かりやすく解説してくれる。ほとんどの分野を網羅していて、これを聞いておれば、資格取得の専門学校に行く必要などないだろう。管理人がこの存在を知ったのはある程度勉強が進んでからであったので、全ての講義を聞くことはなかった。

↑2級ボイラー技士 資格試験対策講座

■準備万端の鳥取行
 そんなツールにも恵まれて順調に勉強が進み、講習に挑むことになった。前述したように講習は鳥取市で行われる。鳥取は不便なところだ。大阪からクルマで3時間から4時間。管理人の地元和歌山からだとさらに1時間余分にかかる。
 講習は金曜日の9時から始まるので、早起きしてクルマで行くのは危険を伴う。何しろ、講義を一日でも欠席、遅刻、早退すれば修了証が発行されないのだ。そこで木曜日の夜から移動して鳥取で前泊することにした。
 大阪から鳥取に行く場合、特急スーパーはくとを利用するのが最も速い。和歌山からだと19時前に出発すれば、23時前に鳥取に到着する。しかし特急料金と運賃は片道1万円近く必要だ。鉄道で行くのは確実だが、問題点がある。それは現地での交通をどうするかである。講習は駅前の便利なところではなく、クルマで30分走ったところにある労働基準局で行われる。また2日目の午前中は実際にボイラーを操作するため、別の工場に行くことになっている。その近くを通るバスも走っているようだが、田舎のバスだけに不安な要素が大きい。自分のクルマで行けば、その問題は解決する。
 しかしこれには別の問題がある。すなわち鳥取は北国だ。2月末から3月では雪が残っているかもしれない。鳥取市内はどうもなくても、鳥取岡山の県境部分などは降雪してチェーン規制がかかっているかもしれない。特に往路は夜間走行になるのでその確率は高まる。
 そこでタイヤチェーンを購入することにした。いろいろ調べた結果、取り付けのしやすさよりも、確実にグリップすること、非降雪時でも安心して走れることを重視し、サイルチェーンという高級品の中古をネットオークションで入手した。さらに本番であわてないために取り付け練習した。メーカーのウェブサイトに取り付け動画がアップされていて、それをスマホでダウンロードして練習した。スマホを見ながら取り付け作業できる便利な世の中になった。
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↑購入したタイヤチェーン
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↑装着練習もやった
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↑ショベルも買った(ただし使わなかった)
 さらに鳥取のホテルに駐車した際、雪に囲まれている可能性があると考えて、ショベルまで買った。いろいろとお金のかかる資格取得である。
 さて、クルマで行くとすれば、安くそしてなるべく速く行きたい。最速ルートは、阪和道、近畿道、中国道、鳥取道だが、料金は5000円ほどかかるので却下。最安ルートはもちろん全て一般道を利用することだが、これだと6時間ほどかかる。もっともバランスがとれているのは、阪和道、関空道、阪神高速、神明道路、姫路バイパス、国道29号線、山崎ICから中国道、鳥取道であった。これだと料金は3000円程で最速ルートと30分程しか時間が変わらない。
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↑鳥取行き走行ルート(見えにくいけど灰色の線)
 19時過ぎ自宅を出発。阪和道に乗って関空道へ。この関空道はいつも閑散としている。大阪方面からのクルマはほとんど阪神高速湾岸線を利用するからある。この関空道を利用するのは泉南の山側の人と和歌山方面のみであろう。それだったら2車線で十分だったはずだ。将来に備え用地買収はしておくにしても建設費は節約できた。
 阪神高速湾岸線に入った。かつての阪神工業地帯も重厚長大産業の衰退により、倉庫業が多くなっている。
 六甲アイランド住吉浜で降りる。ここで一般道を走って摩耶から阪神高速神戸線に乗り継ぐ。この乗り継ぎは不便で何とかしてもらいたいのだが、湾岸線の西方への延長は海中トンネルや海上高架橋の連続で建設費が高額過ぎて実現には多大な時間がかかるだろう。しかし阪神高速の京橋ー月見山間は慢性的に渋滞しており、その救済のためにも早期実現を期待したい。
 神明道路の垂水で休憩。姫路パイパスは無料化されてクルマの量が増えてしまった。道路は無料が原則だと思うが、高速道路というからには早く目的地に到着しないと意味がない。鉄道でいえば特急券のようなものだ。世界最高水準の道路設備を維持するために、建設費が償還しても料金を取り続け、その代わりに料金を大幅に値下げしてはどうだろう。
 姫路からは国道29号線方面に向かう。一部バイパスの建設が始まっている。ここからは一般道。田舎の真夜中であるのでクルマは走っておらず、ほとんど信号もない。カーナビの指示に従って、山崎から中国道に乗る。中国道は山陽道が開通してからはほとんど地域輸送に徹している。沿道は鉄道が不便なので、高速バスは通勤通学にも使われているという。
 鳥取自動車道は無料である。無料である理由は有料にしても建設費を償還できる見込みがないので、はじめから税金を投入しているからである。受益者負担で地元の出資ということになっているが、地方交付税交付金を手厚くするなど、実質、国が相当補助する仕組みになっている。ただし無料にするので、インターチェンジには料金所を設ける必要がなくその分買収する用地が少なくて済み、サービスエリアのような立派な設備も不要で、インターを降りた道の駅やコンビニで代用する。その分低コストで建設できることになる。
 鳥取自動車道は佐用から乗る。真夜中なのでほとんどクルマは走っていない。トンネルが多い。これは確かに建設費を償還できそうにない。
 途中粟倉ICで降りてすぐの道の駅で休憩。売店は全て閉まっていてトイレだけが利用できる。
 鳥取自動車道の特徴として、志戸坂峠でいきなり一般道になる。ここはもともと歩行者原付の混合交通のトンネルである。新たに自動車専用のトンネルを掘るだけの需要もないので流用しているわけである。
 23時半にホテルモナーク鳥取に到着。結婚式場もあるホテルということで高水準な設備を期待していたが、机は傷だらけで平凡だった。温泉はよかった。
■講習一日目
 7時前起床。温泉に入ってから朝食。朝食はバイキングで魚が充実している。
 8時半頃に出発。カーナビとスマホのグーグルナビに従って鳥取労働基準協会に到着。JR因美線沿線の整地された新興造成地にある。
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↑鳥取労働基準局
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↑講義教室
 ボイラー2級の講習は12名。男性ばかりで年齢は20代から40代が多い。作業服を着ている人もいる。それは中国電力の社員であった。あとは人形峠の原子力施設の職員とか、自営業の人。完全に趣味の人も私の他にいるようだ。中には試験は既に合格していて、講習だけの人もいた。座席は受験番号による指定席である。和歌山から来ている当然私はダントツの「遠来賞」だろう。おばちゃん事務員が「遠いところから」と労ってくれた。
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↑講習用テキスト
 初日の講習はボイラーの基本的構造。配れた「教育日程表」によると、このようになっている。
 1.ボイラーの概要
 2.付属設備、付属品の取り扱い
 3.水処理及び吹き出し
 熱効率のいい水管ボイラーよりも、蒸気機関車と同じ煙管ボイラーが主流らしい。私は鉄道マニアなので、蒸気機関車の構造はある程度把握している。そういうわけではないが、午前中から眠たいものであった。しかし要点は押さえている。
 昼食は近くのパオという焼き肉レストランでビビンバ。後藤騎手の自殺の報に驚く。
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↑レストランパオ(肉屋もやってる)
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↑ビビンバ
 140円の缶コーヒーを飲んだにも関わらず、昼からも眠たかった。湯を沸かすという行為は普段の生活でよく目にするし、難しい熱力学理論も何となく理解できてしまう。液体から気体に変化すると体積は拡大し、その逆は縮小する。急激に縮小すると液化した水の周囲が真空化し、その水が管内ではねて暴れ回る。これがウォーターハンマーである。なるほど。
 16時からは小型ボイラーの法令講習。これは受講者は5名だけだった。講師にしてもいかにもお座なりという感じだった。
 17時講習終了。外は雪が降っていた。
 ホテルに戻る。風呂に入ってから、歩いて外出。駅前の居酒屋で一杯やる。なかなかの味だが、客が少なすぎる。鳥取市は最も勢いのない県庁所在地だろう。BGMはサザン・オール・スターズにこだわっている。店長の趣味か。1時間ほどいた。20時に出る。外はマフラーなしでは寒い。
 駅の北側にはコンビニエンスストアーはなく、南口にローソンがあった。まだ飲み足りないのでカクテルを買う。
 ホテルに戻り、部屋飲み。
 この講習は3日間。日曜日に夜に帰宅しすぐに仕事だ。しかもその週の土曜日も出勤だ。疲れを残さないためにも、早く寝るのが先決だと思った。
 21時半にはベッドに入った。

■講習2日目
 7時00分起床。こんなに眠ったのは久しぶりだ。温泉に入る。こういう温浴設備のあるホテルは朝風呂の利用者が多い。
 朝食はパンにした。ビールを飲んでいる人もいる。
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↑ホテルの朝食
 8時25分に出発。今日は実技講習なので、労働基準協会ではなく数キロ離れた全国農業協同組合連合会鳥取県本部果実袋工場に向かう。昨日のオバサンが門番に立っていた。工場は古びていて、昭和40年代いや30年代の世界だ。
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↑鳥取県本部果実袋工場
 この工場は果実袋を作っていて、袋に塗っている鑞を溶かす必要から、蒸気ボイラーが必要という。
 実地では吹き出しの停止とボイラーの停止を担当した。ぜんぜん難しくない。
 ここ鳥取では人数が少ないので、このように順番にボイラーの操作ができるが、大勢のところは操作しているのを見て終わりらしい。それではやっぱりおもしろくない。これらは後から知ったことだが、わざわざ鳥取に来てよかったと思った。
 いまやボイラーを設置している事業者が少なくなっている上に、こうした講習で頻繁に停止起動を繰り返しているので、ボイラーの調子が悪くなってしまったという。
 11時に終了。昼食はコメダ珈琲。ここは飲み物のセットメニューがないので割高となる。昼から晴れた。
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↑コメダ珈琲のウインナーコーヒーとミックスサンド
 午後からは労働基準協会で教習。パソコンを使ったシミュレーション教習となる。講師は昨日と違う人だった。
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↑使用したシミュレーター
 順番に指名されてプロジェクターの文句を読み上げるのを1回。シュミレータの操作を2回やった。1回目は起動シーケンス。講習生のひとりがボイラーを爆発させた。これはこれでおもしろい。2回目は水面計の掃除をする際のコックの操作だった。ボイラの水面計のコックは少々特殊で、普通コックは管と平行にすることで流れるのだが、水面計の下側は管と直角で流れるのである。これは上下二つのコックが下側に下がておくことを標準にすることで、視認性を良くし安全性を向上させているのである。この水面計のコックの向きは試験で必ずといっていいほど出るので確実に覚えていないといけない。
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↑ボイラー水面計の仕組み
2級ボイラー技士になるまでの道程(http://www7.atpages.jp/warabiclub/)より引用
 16時には講習が終わった。
 ホテルに戻って風呂に入り、外出した。
 最初に入った「大阪新世界串カツやまちゃん」という店はオーダーに30分かかるということで退散。商店街の「だいぜん」という店に入る。ここははやっているが、鳥皮、なんこつ、が欠品していた。客が少ないから仕入れが少ないのか。
 20時過ぎに退散。結局昨日と同じ部屋飲みとなった。少々飲み過ぎたようだ。

■講習3日目
 朝起きて、温泉へ行って、8時半ごろにチェックアウト。入湯税が1日150円徴収された。
 雨はやや強く降っている。
 9時前に労働基準協会会館着。
 昨日と同じ講師。本日のメニューは次のようになっている。
 1.燃料及び燃焼方式
 2.点火
 3.燃焼の調整
 4.点検及び異常時の処置
 要するにより実践的な内容になるわけである。
 講師は「ここが試験に出ます」というような露骨な表現はしないが、重要な項目を読み上げて「これですね」と言う。実際そこが試験ではキーフレーズになった。
 雨の中、昼食は一昨日と同じパオ。しかも同じ石焼きビビンバだった。
 講習は確かに眠いこともあったが、部屋で黙々と過去問を解いているよりも、実際にボイラーを目にして操作し、写真入りのテキストで専門の講師が説明してもらった方が理解が早かったのは間違いない。費用、交通費、宿泊費の合計が得られる資格の有効性が釣り合うかどうかは疑問だが、とにかくおもしろかったのは確かで、いずれ自分にとって役に立つはずだ。そのように考えて、無駄遣いを正当化した。
 16時45分講習終了。「小型ボイラー特別教育講習」の修了書をもらった。これで仮に2級ボイラーを不合格となっても格好がつくことになる。
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↑もらった修了証
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↑基準局の駐車場(ナスカの地上絵に似てない?)
 即、帰宅の途につく。国道29号線を南下。自分のクルマのナビのマップは2002年から更新しておらず、鳥取道に対応していていないので、スマホのグーグルマップを併用した。
 往路と同じルートで帰る。智頭付近は雪が残り、気温は4℃。夕食は粟倉温泉の道の駅で食べた。結局、タイヤチェーンもショベルも使わなかった。
 往復578kmのドライブだった。家に着いたのは22時。


■試験当日
 約2週間後の3月14日土曜日。筆記試験が行われた。筆記試験は講習が実施された都道府県が属する支部で試験を受けねばならず、今回の場合、広島県福山で行われる。この安全衛生技術センターの支部はほとんどその地方の最大都市にはない。中国地方は広島県福山市、近畿地方は兵庫県加古川市、関東は千葉県市原市、東北は宮城県岩沼市といった具合だ。いかにも製造業のための組織という感じだ。
 ところでまたも福山という遠隔地に赴くということでさぞ交通費がかかるだろうと思うかもしれないが、この時期には強い味方がある。それは青春18きっぷである。学生の休み中限定で、JR普通列車に限り1日乗り放題なのだ。1冊で5回乗れるが、バラバラにして使えない。これを友人の買った青春18を1日分使わせてもらうことにしたのだ。試験は幸い昼からであり、阪和線の早い電車に乗れば間に合う。
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↑試験の行程
 朝起きて、ラジオをつけると、北陸新幹線の金沢開業を報じていた。
 予定通りに乗った阪和線紀州路快速は、北信太で踏切直前横断者のせいで列車が停止。遅れは4分ほどであったが、これが後に大きな問題となった。
 予定していた大阪発8時の新快速にはタッチの差で間に合わず。というかはじめからどれくらい遅れているのか知っていれば必死に走って間に合ったかもしれない。何とかなるやろう、と思ったが甘かった。姫路と相生の接続が悪く、福山到着が12時45分となってしまうことがわかった。試験開始は13時30分で、会場は福山駅から離れている。バスはあるが本数が少なく、タクシーを利用するしかない。タクシー料金を検索すると2000円から2300円ぐらいだという。
 それなら新幹線でワープするしかない。西明石ー姫路間、姫路ー相生間、岡山ー福山間を調べた結果、2700円を払って岡山ー福山間を新幹線移動すれば、12時00分に福山に着くことがわかった。これは当初予定よりも15分も早い。さすが新幹線はすばらしい。ということで、このまま姫路、相生で乗り継いで岡山まで移動した。姫路で20分、相生で31分の待ち時間があったが、この損失は新幹線が帳消しにしてくれるのだ。
 さて岡山では約5分の乗り換えで11時46分発の「さくら」に乗り換える。楽勝だろうと思ったが、予想より連絡通路が長く、切符購入に時間がかかった。なにしろ青春18は「ここまでの乗車券」として自動券売機に挿入できないので、乗り継ぎがスムースでないのである。
 在来線出口を出て、みどりの券売機に並ぶと列ができていた。「さくら」に間に合うかどうか微妙になった。やっとこさ切符を手に入れたものの、さくらには1分差で間に合わず。なに、「のぞみ」なら福山に停まるさ、と思っていると、次の「のぞみ」は徳山に停まるが福山に停まらないことが判明。12時28分発の「のぞみ」に乗る羽目になった。
 待ち時間は駅ナカでカツカレーを食べた。特に考えたわけではないが、結果としてゲン担ぎになった。
 のぞみの自由席はほぼ満席。3列の真ん中に辛うじて座れた。もっとも乗車時間は15分ぐらいしかなかった。
 福山は晴れていた。福山の到着時刻は12時46分。バスには間に合わず、タクシーを利用して試験会場に急行。信号待ちが多くイライラする。
 13時過ぎに中四国安全保安協会に到着。街外れの港湾地区にある。試験会場は天井から液晶テレビが吊り下げられ新しい印象。しかし机は小中学校みたいだ。席に着くとすぐに説明に入った。直前に重要事項の確認をしたかったのにできなかった。冒頭で試験官はこの中国地区は毎年受験者が多い、今後の参考にしたいのでアンケートに答えてほしいと述べた。受験者が多いのはおそらく土曜日に試験を行っているのがここだけだからだろう。他ならぬ私が遠路はるばる福山にやってきたのはそういうことだからだ。
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↑中四国安全保安協会
 13時31分試験開始。意外と過去問以外の問題が出てる。やったところなのに迷った問題もある。直前チェックができていれば、と悔やんだ。試験開始30分後解答を埋めた。自信のない問題が各単元に4問あり、それが全て間違えたとしても、どうにか合格できる手応えだ。試験時間は3時間だが、ほとんどの人は1時間で退出する。免許申請用紙が積まれていて1部持ち帰る。
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↑卸町南バス停
 早く退出したのはいいが、バスの本数が少なすぎる。セブン-イレブンでコーヒーを買って、卸町南バス停で待つ。本日をもってダイヤ改正したみたいで、バス停の時刻表どおりに来なかった。15時32分、バスはやってきた。私のいたバス停は卸町ではなかったわけだか、支障はなかった。卸町からは受験者が10数人乗り込んできた。
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↑福山駅着
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↑さらば福山城
 16時6分発の姫路行きに乗る。問題集を開いてみると迷った問題は見事に間違えていた。ちょっと気を悪くした。
 姫路着。森の湯という銭湯まで歩く。貸しタオル込みで480円。炭酸泉が人気だ。入れ墨男もいる。
 駅前商店街の地下にある「げんか酒馬」に入る。入場料が1000円で2時間制限。それ以降は延長料金が発生するが、店から終了時間知らせることない。ビール2杯にカクテル。馬刺し、枝豆、焼きなす、軟骨唐揚げ、豚肉ニンニク芽炒め、フライドポテト。紙に書いて渡す。料理が原価。マリブパインというカクテルが旨い。合計3355円であった。まずまず安いだろう。ただカウンターは寒かった。結構な人気があるらしく、店を覗いては撤退する人が4組はいた。
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↑げんか酒馬
 姫路発21時17分の新快速を乗り継いで、0時頃帰宅した。

■合格発表
 3月23日、中四国安全保安協会ウェブサイトで合格発表があった。管理人の受験番号は、しっかり掲載されていた。125名の合格者。大体7割ぐらいの人が合格したようだ。
 しばらくして協会から葉書が届いた。
 改めて、判定「合格」
 手応えはあったから、多分合格していると思っていた。だが問題を持ち帰ることができないので、自己採点ができず、かすかな不安があった。
 福山で入手していた免許申請書の文字を埋める。クレーンや潜水士といった安全保安協会で取り扱っている免許すべてに対応しているので、ややこしいものであった。手数料の収入印紙を貼り付け、簡易書留で送る。
 数日後、免許が送られてきた。自動車の運転免許のように、取得した免許の種類にフラグが立つようになっている。
 これで晴れて2級ボイラー技師になることができた。今の仕事には全く関係がないこの資格。しかしそれが故に勉強はおもしろかった。それに実際にボイラーの操作もできた。おそらく将来に役立つことはないだろうが、管理人はまだまだ懲りずに資格取得に励むのである。
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↑手に入れた免許

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