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北陸新幹線の名称・駅名・並行在来線問題 [鉄道]

2014年の開業を目指して、北陸新幹線の長野から金沢まで延長工事が順調に進んでいるようだ。これに関連して管理人の考えていることを述べさせていただきます。管理人の調査力不足のために誤った情報を元にしている場合がありますが、何卒ご了承ください。

1.北陸新幹線の名称
 現在、北陸新幹線は高崎から長野まで開業している。長野オリンピック前の1997年のことである。その開業前、JR東日本は北陸への最短ルートでもないのに、「北陸新幹線」では誤乗の恐れがあるということで、「長野新幹線」で開業することを考えていた。しかし北陸の自治体から「それでは北陸新幹線が長野止まりと世間の人が誤解してしまう」ということで、JRは長野方面の下りを「長野行新幹線」、長野からの上りを「新幹線」と案内することにし、実際時刻表には「長野行新幹線」と表記されていた。ところがそんなマスメディアはそんな経緯を無視して開業当初から「長野新幹線」と表記したものだから、やがてこれが公式名称となった。時刻表に表記された「行」という字ははじめから小さかったから、JRとしてははじめからこうなることを見越していたのだろう。利用者にとってもこの方がわかりやすいから、「長野行新幹線」はたちまち廃れた。
 そして金沢まで延長されて、その名のとおり北陸への最短ルートとして機能することになり、今度こそ「北陸新幹線」となると思われた。しかし今度は長野県の各自治体が「長野新幹線」の名称を残して欲しいと要望したのである。
 管理人はJR東日本が運行する高崎-上越(仮称)を「長野新幹線」、JR西日本が運行する上越(仮称)-金沢を「北陸新幹線」とすることを提案したい。実際に長野県を中心に運行する「あさま」と、長野県内は軽井沢と長野だけにして、北陸方面への時間短縮を図る「かがやき(管理人の希望)」が運行される思われる。東海道・山陽新幹線のような関係で利用者も混乱することはないだろう。
2.上越(仮称)駅名問題
 北陸新幹線の上越(仮称)駅はJR信越本線の脇野田駅付近に設けられることになっている。仮称が上越となっているのは、それが新潟県上越市にあるからだ。新潟県は信濃川の上流方向からつまり南側から上越地方、中越地方、下越地方と称せられていて、上越地方の代表都市だから上越市を名乗っているのである。しかしこのような地方の呼びならしは地元でないと通用しないところがある。山形県でも天気予報の区分が、置賜、村山、新庄、庄内となっているが、置賜が米沢市、村山が山形市を含む地域だと知っているのは全国的には少数だろう。
 そして何と言っても上越といえば、ほとんどの人は「上越新幹線」あるいは「上越線」または「上越国際スキー場」を思い浮かべることだろう。この場合の上越は上州(上野国)と越後国のそれぞれを一字取ったものだ。それぞれの地域をむすぶ上越線が名乗るのはむしろ自然に思える。ただし高速道路は関東と越後を結ぶということで「関越自動車道」と名乗っている。
 上越市としては仮称のまま「上越」駅として、現「上越新幹線」「上越線」をそれぞれ「新潟新幹線」あるいは「関越線」と名称変更してもらいたいだろうが、世間一般人が混乱し、看板の書き換えだけでも膨大な経費を要するだろう。さすがに強気になれないようだ。
 そこで駅名問題が浮上するわけである。上越は前述の問題、脇野田は知名度の問題から却下。地元からはその地方の古名である「頸城」、隣の妙高市は上越市の旧名(上越市は直江津市と高田市の合併市)を合わせた「妙高高田」、近隣の春日山城の城主にして戦国時代のヒーロー「上杉謙信」などが候補に挙がっているという。管理人は上越(仮称)は「高田妙高」が一番いいように思われる。妙高を名乗るのは最も周辺の観光地で知名度が高いからである。東北新幹線の「七戸十和田」のようなものである。「妙高高田」にした場合、近隣の「妙高高原」と誤乗の恐れがある。また「頸城」は難読漢字で北越急行の駅名はわざわざ平仮名にしているほどだ。「上杉謙信」は悪くはないが、日本の動脈幹線名としては品位に欠ける。やはり無難な地名に由来するべきだ。「上杉謙信」を名乗るなら、第3セクター化を機に現在信越線にある「春日山」を改名したほうがいい。

3.並行在来線問題
 北陸新幹線の最大の問題である。JRが新幹線を引き受ける条件として、並行在来線の経営分離に同意することとなっているからである。管理人の結論から述べる。
1.長野-直江津間はしなの鉄道が経営する
2.直江津-糸魚川間は北越急行が経営する
3.糸魚川-金沢間は新会社「加越鉄道」が経営する


まず1だが、これはしなの鉄道が引き受けざるを得ないだろう。一時、豊野-直江津間の廃止も視野に入れていたようだが、雪害で道路運行が当てにならない地元民から猛反発を浴び撤回された。問題は現在JRが運行している篠ノ井-長野間と長野と豊野間にある長野車両基地への回送をどうするかだろう。しなの鉄道としては軽井沢から直江津まで一体経営したいから、篠ノ井-長野間の移管をJRに要請するだろう。しかしJR東日本としては長野市近郊で沿線人口がそこそこにあるこの区間を手放したくないだろう。また名古屋から長野まで乗り入れている特急「しなの」を運行しているJR東海としては、運賃が割高になるしなの鉄道への移管は難色を示すだろう。しかしJR東日本はすでに長野新幹線開業により在来線に比べて実に140%増の利用客を得ている。金沢延長によりこれはさらに増大し、おそらく越後湯沢乗り換えが主力の東京-北陸間の鉄道利用より多くの乗客を獲得できるだろう。ここは地元への貢献を第一に考えて、同区間をしなの鉄道に譲るべきである。長野車両基地への回送問題はしなの鉄道に支払う線路使用料を減免するなど柔軟な対応をとればいい。

次に2だが、北越急行は北陸新幹線開業によって最も経営に悪影響を受けることになる。つまり北越急行は越後湯沢から金沢まで運行している高速特急「はくたか」の収入によって黒字経営を果たしている会社だからである。乗り換えなしで金沢まで行けるとなると、北越急行の存在意義はないに等しい。当然「はくたか」は廃止となろう。ところで北越急行は直江津から糸魚川までの引き受けを非公式に表明している(下記URLを参照)。
ほくほく線リポート↓
http://www5e.biglobe.ne.jp/~thlt/hokuriku/hoketu/hokuetu.htm
北越急行は直江津から2駅手前の犀潟から分岐しているから、犀潟から直江津までを井原鉄道のようにJR東日本の「第2鉄道事業者」となること、また北越急行は直流車両なので、現状糸魚川から直江津寄りに設けられている交直流デットセクションを糸魚川構内の車上切り替えに変換する必要があるが、それほど困難な問題ではない。しかも上越(仮称)から越後湯沢方面への連絡は北越急行が最短となることから、糸魚川乗り換えで特急を設定するかもしれない。十日町も飯山からの飯山線乗り換えよりも快適だから利用者がいるかもしれない。
 ただ十日町にせよ、越後湯沢にせよ、都市規模が小さく、観光需要しか見込めないのが難点だ。せめて上越新幹線が浦佐ではなく十日町経由だったなら、北陸から新潟市への最短ルートとなったのに残念である。十日町経由になったのは難工事が予想されたというのが表向きの理由だが、浦佐周辺を選挙地盤とする田中角栄の意向が働いたとの噂だ。いずれにせよ浦佐より人口の多い十日町経由なら上越新幹線はもっと利用されただろうし、北越急行の開業により北陸も便利になったに違いない。北越急行は高速運転に対応するため線路水準が高く、そのくせ貨物列車を運行するだけの強度で設計されていない。実に中途半端で扱いに困る北越急行である。
 3.については、糸魚川-金沢間は新潟県、富山県、石川県にまたがっているが、富山県が大部分を占め、東北本線の青森県の青い森鉄道、岩手県のIGRいわて銀河鉄道線のように県ごとに運営するのは効率的でない。ここは各県と地元企業が出資して新会社によって運営されることになろう。もちろん経営負担を軽減されるために鉄道施設のインフラは県、車両は市町村が所有して貸与、といった措置が取られることだろう。「加越鉄道」は管理人が勝手に付けた名前だが、石川県の旧国名加賀と富山の旧国名の越中・新潟の越後を結ぶわけだから、もっともわかりやすいし、福井県(越前国)に延長されてもそのまま使える優れモノである。
 そういう「加越鉄道」だが、前述のような経営安定化策をとっても非常に厳しい経営を強いられる。ひとつは豪雪地帯を走るために、除雪経費が膨大なこと、もうひとつは貨物列車が運行されるために、高水準な線路状態を維持する必要があること、そして交流区間であるために車両単価が高いことである。どれもこれも難しい問題だ。さらに現状でもそこそこの利用率がある夜行列車、大阪-新潟間の急行「きたぐに」や大阪-青森間の特急「日本海」も残るかもしれない。車両の問題にしても、肥薩おれんじ鉄道のように、電化施設は貨物用に残し、旅客用として気動車を運行する手もあるが、貨物列車の運行数が多すぎてそれもできない。
 僅かな救いは新幹線が金沢以西の開業が不透明だという点だ。北陸本線の旅客流動は金沢・富山から東京よりも、大阪方面の方が圧倒的に多い。しかし航空機が運行がなく、高速バスも渋滞で時間の読めないので鉄道利用が多い大阪方面より、航空機というライバルが存在し、時間短縮効果の大きい東京方面への新幹線を先に建設したというわけである。実際、大阪方面は在来線最速クラスの特急「サンダーバード」が運行し、福井県などは北陸新幹線が延長されても、対東京方面の時間短縮はさほど見込めず、かえって並行在来線の経営を押しつけられるのも困るといった雰囲気である。おそらく北陸新幹線は福井止まりでホーム上乗り換えで対応するのではないだろうか。そして中央リニア新幹線ができたら東海道新幹線の容量に余裕ができるので米原延長を考えるのが得策のように思える。
 話は長くなったが、大阪-富山間の旅客が無視できないほど多いと考えるなら、サンダーバードを金沢止まりにして富山方面の乗客に乗り換えを強いるのは、金沢でホーム上乗り換えを実現しない限り、利用者の反発を受けるだろう。しかも金沢と富山の中間にある高岡市の新幹線駅は「新高岡」という少し離れたところに設けられる。城端線の連絡があるとはいえ不便である。だから、サンダーバードは大阪-富山間の運行にして、急ぐ客のみ金沢で新幹線に乗り換えてもらったらいいのではないだろうか。蓋を開けてみないとわからないが、名古屋-大阪間、及び大阪-姫路間を新幹線と並行しながら運行されている「しなの」「はまかぜ」が存在することを考えると、「乗り換えなしで行きたい」という需要が存在するはずだ。もちろん観光としては金沢から和倉温泉、富山から富山地方鉄道乗り入れによる立山までの運行も考えればいい。もちろん「加越鉄道」の運賃が加算されることになるから、新幹線との運賃・料金差は僅かな差となろうが、停車駅パターンを変えるなど新幹線にできないきめ細かい対応で可能だろう。要はこの特急料金の収入を経営安定化に当てるのである。

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