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アロマテラピー検定合格記 [資格]

 アロマテラピーという言葉はどこかで聞いたことがあるだろう。
「花の香りのエッセンスをかいで気持ちを落ち着かせたり、昂ぶらせる」
 まあ、そんなところである。そのアロマテラピーに関連する資格があるのは知っている人は少ないかもしれない。
 今回、筆者はアロマテラピー検定を受験することにしたのだ。

■■志望動機■■
 アロマテラピー検定は大都市圏で5月と10月の年2回実施されている。この5月というのは実に好都合であった。3月に小型船舶を取り、6月に海上特殊無線、7月に危険物取扱者を受験予定だったので、その間隙を突けるからだ。
 アロマテラピー検定には1級と2級がある。検定試験には筆記試験の他に香りテストというエッセンシャルオイルの香りをかいでそれは何かを当てる実技試験もある。その対象となる香りが2級が10種類、1級が19種類と1級の方が多くなっている。その分難易度が高いので1級というわけだ。しかしこのアロマテラピー検定は1級2級とも合格率が80から90%とかなり高い合格率だ。それならはじめから1級を目指した方が合格したときの言葉の響きがいい。1級2級それぞれ併願が可能だが、受験するのは1級一本にした。
 ある日突然、勤めている会社が倒産したとする。就職活動するための履歴書に「アロマテラピー検定1級」とあれば、面接担当者が「これはいったいなんですか?」と質問されるのは間違いない。つまり興味を持ってもらって、面接をこちらのペースに乗せることが可能だ。ちなみに筆者は男性である。男性にアロマテラピーはないだろう。これは大きな受験動機の一つである。
 しかし履歴書に箔をつけるだけが動機ではない。冒頭で述べたように、花の香りにはいろいろな心身作用がある。勉強を進めているうちにわかったのだが、心身を落ち着かせる、集中力を高める、不眠症の解消、美肌作用など、今後の人生のために有益な知識を深めることができる。これらは別に検定を受験しなくても、得られる知識であるし、実践もできるのだが、少なくとも筆者は受験しなければ、アロマテラピーの知識を得る機会はなかったであろう。
 それにいうまでもなくアロマテラピーに関心があるのは女性だ。女性との会話でアロマテラピーに関する知識を披露すれば、もてなくて困っている筆者に春が訪れるかもしれない。
 アロマテラピー受験の動機は、まじめであったり、打算的であったり、くだらない下心など、さまざまな思惑が交錯していた。
 香りに敏感な男になることを妄想しつつ、インターネットで受験を申し込んだ。

■■■受験準備■■■
 まずは検定を実施しているアロマ環境協会の公式ウェブサイトにアクセスし情報収集する。
 試験問題は「アロマテラピー検定公式テキスト」から出題されるとある。1級は3240円か。結構高いものだな。それが正直な感想。書籍はアマゾンで簡単に手に入る時代だ。しかしこうした資格関係の問題集は実際に手に取った方が間違いが少ない。資格の問題集で一番困るのは、問題と同じページに答えが書いているタイプだ。勉強中どうしても答えを見てしまうので、考える力が身につかないのだ。それに構成に工夫がなかったり、文字ばかり多くて絵や図が少ないのも頭に入りにくい。
 地元の本屋に出向いた。昔は近所に本屋があったが、ロードサイドの大型書店の進出ですべて閉店してしまった。その大型書店もアマゾンのせいで青息吐息という。大型書店にもアロマテラピー検定の本は数えるほどしかなかった。筆者が選んだのは高橋書店の「アロマテラピー検定1級2級」というテキストだ。実際に合格した人のブログを読んでみてもこれを選んでいる人が多い。筆者の直感からしても、2色刷りで構成も工夫していて欠点があるとは思えない。勉強はこれ一冊で十分だろう。
 さて、検定には香りテストがあることはすでに述べた。香りテストの配点はどうなっているのか知らないが、問題は4者択一の2問のみ。それだけのために19種類のエッセンシャルオイルを買うのは莫迦げている。
 お誂え向きの製品がある。「アロマテラピー検定受験用エッセンシャルオイル」がそれである。1級用と2級用があるが1級は両方対象となるので、どちらも購入する必要がある。2000円ぐらいだったと思う。こんな特殊な代物を手に入れるのは、アマゾンしかない。ワンクリックで簡単に手に入った。支払いは電子マネー。配達時間指定のできる宅配便。便利な時代になったものだ。しかし宅配便というインフラがなければ、そもそもネット販売は成り立たないのではないだろうか。日本はその点が恵まれていると思う。
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↑使用したテキストと精油セット

■■■受験勉強(香り篇)■■■
 正直いわせてもらって、筆者は臭いに鈍感だ。「何か臭わん?」と聞かれて、鼻をクンクンさせても筆者だけ最後まで気がつかないというのは日常的光景だ。先日も会社で、普段通りにルーチンワークをこなしていると、同僚に「何か焦げてる臭いがする」といわれ、調べてみると、担当している機械から煙が出ていたというのがあった。
 まして自分の体臭など気がつくはずもない。母は着ている服についている臭いでどこに行ったのか見当がつくというが、そんな警察犬のような芸当が人間にできるとは思えなかった。ただ女性の方が化粧品を扱い馴れているので香りに敏感なのは間違いない。
 かように嗅覚に乏しい筆者が、香りテストのあるアロマテラピー検定を受けようというのだから無理がある。
 さっそく、届いたエッセンシャオイルの臭いをかいでみる。
 レモンとかグレープフルーツ、ペパーミントといった誰でも知っているような香りはすぐに分かる。でもイランイランとカモミールローマンの違いといっても自分には分からなかった。というか何回も嗅いでいると余計わけが分からなくなるし、「よし覚えた」と思って数日後試してみたら忘れてしまう。
あるアロマの好きな人のブログにはこのように書いてあった。
「アロマでアレマ!? 生き方が輝く☆けいこなでしこ流アンチエイジング道。」
http://keikonadeshiko.blog.fc2.com/blog-category-7.html
濃厚な花の香りがしたら・・イランイラン
甘いローズ調の薬草のような香りがしたら・・ゼラニウム
リンゴのような香りがしたら・・カモミールローマン
ヒノキのような香りがしたら・・ジュニパーベリー
のど飴のような香りがしたら・・ユーカリ
深みと暖かみのあるハーブ調の香りがしたら・・・クラリセージかスイートマージョラム
樟脳、消毒薬みたいなにおいがしたら・・ローズマリー
病院、消毒薬みたいな匂いがしたら・・フランキンセンス
消毒薬と草葉が混ざったような匂いがしたら・・ティートリー


 なるほど~。そういうことか。再度挑戦。試験直前になっても、何度も繰り返してテストしてみた。しかし結果は変わらず。どうやら自分の嗅覚は人並以下だと判断した。これは試験ではペパーミントとかレモンのような簡単な問題が出ることを期待するしかない。結局、香りテストは確信を持てないまま、本番を迎えることになった。

■■■受験勉強(知識篇)■■■
 四苦八苦が予想された香りテストと違って、知識を問われる筆記試験の方は順調に勉強が進んだ。
 大きく分けて、次のようになっている。
1.アロマテラピーの基本
2.アロマテラピーの歴史
3.精油のプロフィール
4.精油の基礎知識と活用法
5.人体への作用と健康学
6.アロマテラピーと環境
 この中で難度が高いのは精油のプロフィールである。つまり精油が、何科の植物で、どの部位から精油が得られて、どのようにしてつくられて、どのような心身作用があるかということを正確に記憶しておく必要がある。一番特徴的なのはレモンやグレープフルーツなどのミカン科である。これは果実から精油が抽出され、光に当たるとシミなどが残る光毒性を持つからだ。傾向的には科名が同じであれば、その精油の特徴は似たものになる。よってプロフィールに関しては科名を覚えるのが肝要となる。
 これに関してはこれまたアロマ好きのブログにはこのように書かれていた。
 カモミールローマン=キク科(カモに聞くか)
 クラリセージ=シソ科(クラッとシソう)
 こんな語呂合わせを利用して科名を覚え、写真のイメージなどを利用しながら、プロフィールを覚えていった。このような語呂合わせは「1級検定に出てくる精油一覧」に多数載っているのでご参考まで。

http://aromania.do-not.net/kyuzin/06.html

 アロマの歴史に関しては、アロマに功績のあった人たちは歴史の教科書に載っていないので、そのまま覚える必要がある。但し歴史の流れをつかむのに世界史の知識は役に立つ。けれども医学の父ヒポクラテス、アレキサンダー大王などは知名度が高いが、「植物誌」のテオフラストスやアラビアの哲学者イブン・シーナなどは筆者は知らなかった。アロマテラピ-の歴史としては、20世紀の3人のフランス人、ガットフォセ、ジャン・パルネ、マルグリット・モーリーが超重要だ。あと古代ギリシャやローマ人の名前は覚えにくいので間違えないようにしないといけない。これは単純にテキストをみて覚えるよりも、具体的に問題を解いて、間違えながら覚えた方がいい。
 歴史に関する人物の覚え方は下記URL「手作り石鹸に出会った皮膚科医のブログ」が参考になるだろう。

http://dermato-plasticsurg.seesaa.net/article/167573114.html

 「人体への作用と健康学」は嗅覚に関する知識を問うものだ。健康に関心がある人なら知っていることが多い。知らなかったのは嗅覚は動物の感覚の中でももっとも原始的なものであることだ。確かに視覚や聴覚がなくても嗅覚のある生物が多い。そのため嗅覚は大脳辺縁系という本能に近い中枢神経で感じとられ、直接的に身体の調整を行う。よって嗅覚は視覚や聴覚よりも心身作用が大きいことになる。
 またアロマテラピーのエッセンスの元になる植物には驚異的な作用がある。植物は自分で動くことができないので、忌避作用や誘引作用のある物質を放出して、生物を避けたり近づけたりする。ここで述べた生物はもっぱら昆虫を対象にしたものだが、もちろん鳥類、ほ乳類にも作用する。これを人間に適用したのがアロマテラピーなのである。
 なるほど、アロマテラピーは奥が深い。

 勉強は購入したテキストに載っている模擬問題を3回ほどやってみた。移動中の勉強用として、スマホの無料アプリもやった。これはやや難しかったが知識を深めるのに重宝した。大体8割から9割の正答率が得られるようになった。

■■■試験当日■■■
 2014年5月11日、ついに決戦の日がやってきた。試験会場は梅田のTKP大阪梅田ビジネスセンター。名前を聞いて知らない人が多かろうか、あの阪神高速が貫通しているビルだといえば、関西人なら分かるだろう。
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↑TKP大阪梅田ビジネスセンター
 早めに着いたのでマクドナルドで昼食。アロマテラピーのテキストを開いている人を発見。ライバルと離れた席に座り、筆者もテキストを開いて試験前のチェック。
 試験開始時間が近づいたので会場に向かう。すでに長蛇の列ができている。すべてアロマテラピー検定の受験者だ。パッと見て200人はいる。ほとんどが女性で、男性は5人いるかいないかである。このビルは収容人数の割にエレベータの数が少ないので、このような行列ができるのであろう。やっとこさ乗ったエレベーターも試験会場が4階なのに、受験番号を確認しなかったせいで、間違えて8階で降りてしまった。仕方がないので小用を済ませた。これが幸いした。つまりアロマテラピー検定は女性の受験者が圧倒的に多いので、男性トイレも女性用に開放していて、男性は限られた階のトイレしか利用できない。それが8階であったというわけだ。
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↑既に長蛇の列
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↑受験者はほとんど女性
 4階の会場に着くと、重い扉はすでに閉められており、それをこじ開けると、満員の受験者が既に座っていた。女性ばかりの場違いな雰囲気の会場を変な男があたふたと歩き着席する。既に試験官が問題を配り始めていた。
 午後2時試験開始。香り試験は初っ端にある。小さなビニール袋に2本の小瓶が入っており、試験開始と同時に袋を開けて、香りを嗅ぐ。制限時間は10分。1本はおそらくペパーミントだ。もう1本はティートーリかイランイランでティートーリにした。予想よりも簡単な香りテストであった。残りの時間は筆記試験だ。問題数こそ58問と多いが、テキストの過去問丸だしの問題で、何のひねりもない。1級と称する検定でこんなに簡単なのはないのではないだろうか。若干自信がないのが6問。仮に香りテスト2問を間違え、この6問を間違えたしても8問の間違い。合格点は80%らしいので、十分合格圏内といえる。
 しかし途中退出もできないので、そのまま待つ。見直しも2回やったし、あとは終了の時間を待つばかり。周りを見ると、ほとんどの人が時間を持て余している。この会場には180人ほどいるようだが、男性は4名のみ。筆者以外の2名はヒップポップ系の格好で美容師でもやっているのではという容貌だ。ユニクロで買った安物のシャツを着ているダさい男は筆者だけであった。5部屋ぐらいで試験していたと思うので、おそらく1000人近く受験者がいたのだろう。
 午後3時10分、試験は終わった。問題は持ち帰ることができない。一斉に退席するので、エレベータに乗ることなどできず、階段を降りていく。

■■■合否発表■■■
 不合格など考えられない上出来の試験であった。試験の一ヶ月後合否を知らせる郵便が届いたので開けてみると、「貴殿をアロマテラピー1級に認定します」との認定状が入っていた。つまり合格であった。
 郵便物の中身は、上級資格であるアロマテラピーアドバイザーやインストラクター、セラピストなどの勧誘パンフレットなどが数冊入っていた。筆者としては、受験してもいいかなと思ったが、ここから先の資格は、まずアロマテラピー環境協会に入会しなければならない。入会金は10000円、年会費は12000円である。本格的にやるかどうかわからない趣味には高額すぎる経費だ。アロマテラピーの上級資格挑戦はもうここで潰えることになった。
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 少々勘ぐった考えかもしれないが、このアロマテラピー検定は80%の正答率が必要とされるが、実際はそれ以下なのではないだろうか。でないと合格率90%という異常な高率は説明できない。つまり、受験者は余程の不出来でなければ合格にし、あわよくば協会に入会させる。あるいは実技があるとはいえ6480円と割と高額な受験費用は、受験しても実際に入会してくれる人は少ないので、間口を広くして、協会の運営資金に転用しているのではないかなどと考えてしまう。問題を持ち帰ることができないのは、業者などで分析され攻略本を出版されたりすると、あらためて問題を手直ししなければならず、その手間を避けるためではないか。
 そう考えると、このアロマテラピー検定というのは権威も何もあったものではなく、持っていても自慢しない方がいいのかもしれないと思った。しかし筆者は覚えたことは無駄になったとは思わない。いつか役に立つと考えているし、履歴書にも書くだろう。
 とはいうものの、既にイランイランやローズマリーがどんな香りだったのか忘れている自分がいる。まあ何でもいいじゃないか。資格がひとつ増えたのだから。
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MAYUR

「アロマテラピー検定 大阪」で検索してこちらを見つけました。 2015年11月に受けようと数日前に思い立って最終日の今日申し込みました。詳しい様子をありがとうございます。余り自信はありませんが11/1に向けて頑張りたいと思います。
by MAYUR (2015-09-16 22:40) 

umayado

MAYURさん。コメントありがとうございます。

本文に書いてございますが、勉強すれば必ず合格できる試験です。MAYURさんが女性かどうかわかりませんが、もしそうなら精油のプロフィールよりも歴史の方が難しいかもしれません。
いずれにしても、楽しむつもりで勉強して下さい。合格を祈っています!
by umayado (2015-09-23 23:13) 

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