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第1級海上特殊無線技士挑戦記 [資格]

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 筆者が1級小型船舶操縦免許を取得したのは既に述べた。その試験日での出来事。試験日1週前に一緒にボートの操縦練習をした男が「第一級海上特殊無線技士」を持っているという。彼は趣味でマグロを釣っているのだが、その船のレーダーを扱うのに必要な資格なのだという。5万円ほどの費用で何日間か講習を受けて取得した。今回は操縦もしたいので船舶免許を取得しに来たのだと言っていた。
 そうか。船舶免許に海上特殊無線は付き物なのか。確かにレーダーを操作できないと大海原で往生することになる。よしこの資格も取ってみよう。動機はそんなところであった。
 第一級海上特殊無線技士は大学で履修した単位によっては、科目免除の特典がある。筆者は電気関係の大学を出ているので、もしかすると対象になっているかもしれないと調べてみた。その結果「電波法規」という科目を履修していなかったために科目免除は適用されないことがわかった。
 やっぱり世の中は簡単に楽はできないものだと自笑しつつ、本屋へテキストを探しに行く。
 携帯電話もインターネットもなかったころ、アマチュア無線の需要が高かった。90年代前半まではクルマに無線機を積んで会話を楽しむ人が多くいた。だから本屋にはそのテキストが何冊も並んでいたものだ。しかし今はあることはあるのだが、数冊しかなく、ほとんど選ぶには苦労する必要がないくらいだ。逆に幅を利かしているのは、特殊無線技士だ。特殊無線技士は陸上、海上、航空とあり、陸上と海上はそれぞれ第1級、第2級がある。第1級陸上特殊無線技士は携帯電話の基地局で必要となる。これは他の特殊無線に比べて難度が高い。本を開いてみると難しい数式が並んでいる。しかしそれ以外の特殊無線技士は1冊にひとくくりにまとめられている。それぞれの級別にまとめられているのだが、問題は陸上、海上、航空ほとんどどれも同じで、数問それぞれの特殊分野の問題が出ている感じだ。その本屋には特殊無線技士の問題集はそれしか置いていなかったので選択の余地がなくそれを購入した。
 第一級海上特殊無線技士の試験問題は電波法規、無線工学、電気通信術、英語となっている。
 買ったテキストを開いてみると、「問題は過去問が繰り返して出題される」「簡単な計算で求まる平易な問題」などと書いている。つまりとても簡単なのだ。これを見る限り、科目免除は大学に手続きに行くだけ無駄だと感じてしまった。
 受験申し込みはインターネットで可能だが、受験料の振り込みは郵便振り込みのみでクレジットカードは対応していない。国家試験の受験料納付は郵便振り込み、収入印紙が主流である。

【電波法規と無線工学】
 電波法規と無線工学はその8割はアマチュア無線4級とほとんど同じだ。いやもしかするとそれよりも簡単かもしれない。残りの2割は海上無線特有のコールサインやレーダーの操作方法だ。それは知らなければ答えることは不可能だが、理屈を考えなくても、「そういうもんだ」と記憶しておけば間違えることはない。
 全体としては過去問丸出しで、引っかけもひねりもない。たまに新規の問題も出ているようだが、合格とされる正答率が60%だから、過去問さえきっちりやっておけば不合格になるおそれはない。
 先日、民間資格のアロマテラピー検定1級を受けて、1級にしては簡単すぎると感じたが、それでも覚えることは多かった。しかしこの特殊無線技士は総務省が管轄する国家資格である。これがないと仕事ができない、いわゆる「士」とつく資格である。それにも関わらず、おそらく運転免許よりも簡単な試験。おそらく第一級○○士の資格では日本一簡単ではなかろうか。
 とにかく勉強法としては過去問を繰り返してやった。やっているうちに問題を見ただけで、「パブロフの条件反射」のように答えがわかるようになった。

【電気通信術】
 平易な学科に比べ、この電気通信術はやや特殊だ。決して難しくはないのだが、訓練が必要なのである。電気通信術と言っても、電信すなわちモールス信号の送受信をやるわけではない。モールス信号はもはや軍隊と極まれに漁業無線に使われるのみで、それも常用しているのは無線ではなく発光信号ぐらいではないだろうか。ここでいう電気通信術は電話送受信である。電話と言っても、NTTや携帯電話ではない。無線での音声通話のことである。
 携帯電話はディジタル化されて音声がかなり明瞭になったが、アナログ時代はそうではなく、かなり聞き取りにくいことがあった。海上無線も同様である。そこで情報を確実に伝えるために「通話表」を用いることになる。日本語ならアを「朝日のア」とかイを「イロハのイ」という風にである。この海上特殊無線では英語の通話表を用いて、その送受信試験が行われる。英文の通話表は以下のようになっている。

A ALFA (アルファー)
B BRAVO (ブラボー)
C CHARLIE (チャーリー)
D DELTA (デルタ)
E ECHO (エコー)
F FOXTROT(フォックストロット)
G GOLF (ゴルフ)
H HOTEL (ホテル)
I INDIA (インディア)
J JULIETT (ジュリエット)
K KILO (キロ)
L LIMA (リマ)
M MIKE (マイク)
N NOVEMBER(ノーベンバー)
O OSCAR (オスカー)
P PAPA (パパ)
Q QUEBEC (ケベック)
R ROMEO (ロメオ)
S SIERRA (シエラー)
T TANGO (タンゴ)
U UNIFORM (ユニフォーム)
V VICTOR (ビクター)
W WHISKEY (ウィスキー)
X X-RAY (エックスレイ)
Y YANKEE (ヤンキー)
Z ZULU (ズル)

 これは国際機関で定められているので、旅行業界で広く使われているような、LをLONDONといったり、CをCHINAと言ったりすると減点になる。
 受信はランダムに発生された英文字を5字を1語にして、3分間聞き取って書きとる。送信は逆に紙に書かれた英文を通話表を用いて発声し、目の前の試験官が聞き取る。
 さて練習だが、まずは受信ができないことにはどうしようもない。パソコンのフリーソフトに練習用のソフトが存在する。さっそくダウンロードしてやってみる。
 実は筆者は電気関係の大学の出身で、「通信実技」なる科目が存在した。主として和文モールスの受信だったが、たまに講師の気分次第で和文電話受信もあった。そのあまりの速さは最後の方は書き取れなかったものだが、この特殊無線はその時より遅く、かつて養った技術で対応できそうであった。
 難しいのは日本語では同じ音となるCとS、KとQ、BとV、LとRだろう。通話表ではCはチャーリー、Sはシアラ、Kはキロ、Qはケベック、Bはブラボー、Vはビクター、そしてLはリマ、Rはロメオである。シアラと聞いてCと書いたり、ケベックと聞いてKと書くのはやってはいけないミスだが、「どっちかな?」と迷っていると、次の語が聞き取れなくなるのである。これは送話でも同様である。これに関しては何度も訓練を繰り返すしかない。
 この受信訓練で活躍したのはブギーボードである。これは電池を内蔵した液晶ボードで、ボタン一つで一瞬にして消える優れものだ。電池は交換できないが、3万回の消去に耐えるという。そのころには液晶の方が落下などで割れているだろう。
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↑左が買ったテキスト 右がブギーボード

 送話は一人で黙々と通話表を朗読した。試験官を前にすると緊張するから、本番さながらに、誰かに聞いてもらえばいいのだが、まあそこまでしなくてもいいと考えた。

【英語】
 学科は過去問丸出しで簡単、電気通信術は訓練さえすれば大丈夫。そんな簡単な第1級海上特殊無線技士の合格率が55%台と存外低いのは、この英語のせいだろう。ちなみに英語と電気通信術のない第2級海上特殊無線技士の合格率は85%という。
 設問は5問だけ。
①I hear you are going to enter Honolulu. How often do you usually call there in a year?
②I understand that you are proceeding to us. Please get here as quickly as possible.
③You are in charge of a fishing boat. When did your career as a captain begin?
④This is Yokohama Maru. The rain seems to be getting heavier. When can you dinish loading?
⑤You are flying the flag of Panama. Do any of your crew come from Panama?

 設問に対する適切な回答を4者択一で選ぶ。見ての通り、高校英語を経験した人ならば、意味は簡単に理解できるだろう。問題は聴き取りである。ポイントは海事用語と文頭の疑問詞である。船をshipというのは誰でも知っているだろうが、convoyが船団、を意味することは知らない人が多いだろう。しかしこの試験では海事英語がポイントになるので、是非とも覚える必要がある。

●重要な海事英単語
intention 意志
propulution 推進
collide with 衝突する
injured person 負傷者
on fire 火災の
so far 今のところ
hold 船倉
toxic 有毒
drag 走錨する
dredge 錨を引く
embark 乗船する
prohibit ~ ~を禁止する
slack たるむ
tight ピンと張る
defective 壊れた
converge to~ ~に一致する
diverge from~ ~から離れる
 いかがでしょう?あまり聞き馴れない単語ではないだろうか。
 文頭の疑問詞、What,When,Whereは何、いつ、どこを意味し、Do、Canなどは「~しているか」とか「~できるか」という意味する。そんなのは中学校英語の知識で誰でも知っているだろう。しかし英語のリスニングに馴れていない人は、この文頭の語を聞き逃してしまう。日本語と違い英語は最初に主語、動詞が来て、あとはモロモロの付け足しだが、日本語は最後に動詞が来る。すなわち英語は文章の前がの方が重要で、日本語は逆に後ろの方が重要なのだ。つまり英語は語頭とその次の動詞を集中して聴き取る必要があるのだ。社会人になってから英語の勉強を全くしたことがなく、この試験を合格目指す人は、この二つのポイントを重視することだ。
 幸い筆者の場合、英語の勉強はずっと続けており、リスニングに関しては海外旅行に多少支障がある程度にできていた。だからといって楽勝だったわけではなく、やはり海事用語には面食らった。
 具体的な勉強法としては「春山海事法務事務所」のサイトに海上特殊無線の過去問があり、そこの英語音声を再生していった。
http://haruyama.info/?page_id=63
↑URL

5問中1問正解という情けない問題もあった。しかし何度か繰り返しているうちに8割は正解するようになった。この英語に関しては過去問丸出しという感じではなく、ある程度の変化はあるようだが、それでも対応できそうな気がした。
 結局、この試験で買ったのは前述のテキストだけで、海事用語などはインターネットに散在している情報を集めた。

【試験当日】
 2014年6月5日、ついに試験日を迎えた。これほど万全の準備をして資格試験を受けるのは経験のないことであった。しかしそう思ったのは試験前日まで。当日になると急に臆病になり、英語の海事用語集など開いたりした。恥ずかしい話だが筆者のTOIECの点数は400から500点でしかない。不安になるのは仕方がないだろう。「世の中の心配ごとの9割は起こらない」というが、それを信じるしかない。
 ところでこの試験は水曜日に行われる。一般的な会社員にとっては休暇を取らないといけないので迷惑な資格試験だ。しかし休みを取ったからこそ、絶対合格しないといけない。そんな重圧が不安にさせたのかもしれない。
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↑試験会場入口
 試験は午後1時開始。試験会場は大阪天満橋にある無線協会の会議室だ。会議室というよりも試験用の部屋という感じ。わざわざ大学や高校の教室を借りる必要もないほどの受験者数なのだろう。
 雑居ビルの11階に上がる。受験者は11人。女性が一人いる。ざっと受験者を見た感じほとんど「海上特殊無線」と縁のない顔つきだ。悪くいえば資格ヲタクである。唯一作業服で受験している人がいて、この人はたぶん仕事で必要なので取りに来たように思える。彼は私と同じテキストを持っていた。親近感を感じる。他の人はイヤホンを耳にしている人が多い。おそらく英語のリスニングの耳慣らしをしているのだろう。
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↑試験会場
 試験は電気通信術の受話、英語、学科、最後に電気通信術の送話となる。
 受話はまずはAからZまで読み上げられる。ちょっとネイティブぽく発音されて戸惑う。ケベックなんかは特に感じた。試験会場は11階にあるので、街の雑音は聞こえない。静かだ。
 筆者は第3級アマチュア無線の資格を持っている。その頃は1分25字のモールス受信が課せられていた。その時の緊張感を思い出した。試験が始まった。とにかく他人の鉛筆の音を気にせず、CDラジカセのスピーカーの音に集中すること。3分後、試験用紙に文字が埋まったところで、試験終了。どんな問題だったのかは覚えていない。しかし聞き漏らしはなかったのでおそらく満点だろう。
 次は英語である。これも最初に耳慣らしがある。問題は5問。解答用紙が配られる。この時回答の選択肢を読んでおいて、質問を類推する。こういったリスニング問題では欠かせないテクニックだ。第1問が読み上げられる。「今回の台風は何個目だ」というような質問だった。about Threeそれしかなかった。読み上げれてから30秒しか考える時間がない。残りの4問も無事に終了。英語だけに自信満々とはいかないけど、合格点の3問は正解していると思われた。
 続いて無線工学・法規だ。まさに過去問丸出し。パブロフの条件反射のように解答できた。満点を確信。時間にして15分。30分経過しないと退出できないので、時間を持て余した。問題は持ち帰ってもいいことになっている。筆者は丁寧に持ち帰ったが、前の男は机に置いていった。あとで見直す必要もないほど簡単な試験問題だったいうわけである。
 しばらくして全員が退席したので、予定を繰り上げて電気通信の送話試験が行われた。会場の後ろのテーブルが即席の面接席となり、2人の試験官が交互に受験番号順に呼び出す。机に置かれたランダムな5字1語の英文を読み上げる。筆者は苦手のQケベックでどもったものの、ほぼ合格水準であった。その送話に関しては、むしろ他の人の方が上手かった。特に女性はほとんどどもることがなかった。ただ5文字ごとにスペースに間を空けるように注意されていた。苦戦していたのは仕事で必要性があると思われた作業服の男である。ちょっとこれでは合格できないのでは、と思われる水準だった。練習をしていなかったのでないだろうか。
 こうして試験が終わった。英語以外は満点を確信している。抜群の手応えであった。

【合格発表】
 合格発表は1ヶ月後の7月5日とされているが、それ以前に問題の解答がウエブサイトに発表される。試験の1週間後、ややおそるおそるPDFファイルをダウンロードする。天晴れ、英語は5問全問正解だった。無線工学はわざわざ見るまでもない。資格試験で満点なんて初めてではないだろうか。そんなに簡単に取れるのだから自慢にも何にもならないし、満点だからといって表彰されるわけでもない。
 自己満足感に満たされながら正式な合格発表を待つ。
 そして7月5日、合格通知のはがきが届いた。検定であれば合格証が同封されていてそれで終わりなのだが、こういう○○士のような免許は発行手続きが必要である。葉書にはウェブサイトから申請手続きをするようにかかれている。詳しいことは何もかかれていない。無線協会各支部に電話をいただければ有料で手続きを代行するとある。もうこの世はインターネットがなければ、不利な扱いを受けてしまう。時代の流れだ。
 こういう国家試験の場合、面倒なのは収入印紙で手数料を納入しなければならない点だ。収入印紙ならコンビニエンスストアーで売っていると思われる人もいるだろうが、ほとんどのコンビニは需要のある200円以外の印紙を置いていない。今回のように2450円となると、郵便局で購入するしかない。もちろん200円13枚貼ってもいいが、過剰分の150円は返ってこない上に、過払い了承済みなどと判子を押さないといけない。幸い近くに24時間開いている中央郵便局があるので会社の帰りに買ってきた。
 この免許申請は所定の用紙に写真を貼り、収入印紙を貼って、住民票を添付し、簡易書留等の料金を貼った返送用の封筒を入れて、受験した無線協会まで簡易書留で送る必要がある。幸い、筆者はアマチュア無線の資格を持っているので、その免許証番号を記入することで住民票は省略できる。
 それにしても面倒な手続きである。平日しか開いていない特定郵便局しか近所にない独り者などはどうやって手続きするのだろうか。
 ところで返信用封筒には簡易書留等とある。等と付いているのなら簡易書留でなくてもいい。確実に配送されるのがわかればいいのなら簡易書留よりも料金の安い特定記録で送ってやろう。特定記録とは窓口引き受けで受付番号をもらい、届け先のポストに投函する。差出人は受付番号で投函されたかどうか確認するというものである。簡易書留のように手渡しではない点で安全性は低いものの、差出人が追跡できるという点では普通郵便に勝っている。しかしクロネコのメール便は標準でこの機能を持っている。メール便は信書が送れないことになっているが、何が信書なのかわかっていない人も多い。メール便が使われるわけである。
 待つこと一ヶ月、ようやく免許証が届いた。アマチュア無線のようにパウチでなく、クレジットカードのようなプラスチックカードになっている。日本の象徴富士山と桜のホノグラムが施されている。おかげで写真がぼやけて見えるのが難点である。
 こうして免許を手にすることができた。試験問題は簡単であったが、とにかく手続きが面倒で仕方のない試験であった。おそらく一生船に乗ってレーダーを操作することはないだろうから、まさに飾りものにしかなからない。でも簡単に資格が手にはいるのは魅力だ。第2級陸上特殊無線や航空特殊無線は同じような問題で、同日受験が可能みたいだから次はそれをねらってみようと思う。
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アロマテラピー検定合格記 [資格]

 アロマテラピーという言葉はどこかで聞いたことがあるだろう。
「花の香りのエッセンスをかいで気持ちを落ち着かせたり、昂ぶらせる」
 まあ、そんなところである。そのアロマテラピーに関連する資格があるのは知っている人は少ないかもしれない。
 今回、筆者はアロマテラピー検定を受験することにしたのだ。

■■志望動機■■
 アロマテラピー検定は大都市圏で5月と10月の年2回実施されている。この5月というのは実に好都合であった。3月に小型船舶を取り、6月に海上特殊無線、7月に危険物取扱者を受験予定だったので、その間隙を突けるからだ。
 アロマテラピー検定には1級と2級がある。検定試験には筆記試験の他に香りテストというエッセンシャルオイルの香りをかいでそれは何かを当てる実技試験もある。その対象となる香りが2級が10種類、1級が19種類と1級の方が多くなっている。その分難易度が高いので1級というわけだ。しかしこのアロマテラピー検定は1級2級とも合格率が80から90%とかなり高い合格率だ。それならはじめから1級を目指した方が合格したときの言葉の響きがいい。1級2級それぞれ併願が可能だが、受験するのは1級一本にした。
 ある日突然、勤めている会社が倒産したとする。就職活動するための履歴書に「アロマテラピー検定1級」とあれば、面接担当者が「これはいったいなんですか?」と質問されるのは間違いない。つまり興味を持ってもらって、面接をこちらのペースに乗せることが可能だ。ちなみに筆者は男性である。男性にアロマテラピーはないだろう。これは大きな受験動機の一つである。
 しかし履歴書に箔をつけるだけが動機ではない。冒頭で述べたように、花の香りにはいろいろな心身作用がある。勉強を進めているうちにわかったのだが、心身を落ち着かせる、集中力を高める、不眠症の解消、美肌作用など、今後の人生のために有益な知識を深めることができる。これらは別に検定を受験しなくても、得られる知識であるし、実践もできるのだが、少なくとも筆者は受験しなければ、アロマテラピーの知識を得る機会はなかったであろう。
 それにいうまでもなくアロマテラピーに関心があるのは女性だ。女性との会話でアロマテラピーに関する知識を披露すれば、もてなくて困っている筆者に春が訪れるかもしれない。
 アロマテラピー受験の動機は、まじめであったり、打算的であったり、くだらない下心など、さまざまな思惑が交錯していた。
 香りに敏感な男になることを妄想しつつ、インターネットで受験を申し込んだ。

■■■受験準備■■■
 まずは検定を実施しているアロマ環境協会の公式ウェブサイトにアクセスし情報収集する。
 試験問題は「アロマテラピー検定公式テキスト」から出題されるとある。1級は3240円か。結構高いものだな。それが正直な感想。書籍はアマゾンで簡単に手に入る時代だ。しかしこうした資格関係の問題集は実際に手に取った方が間違いが少ない。資格の問題集で一番困るのは、問題と同じページに答えが書いているタイプだ。勉強中どうしても答えを見てしまうので、考える力が身につかないのだ。それに構成に工夫がなかったり、文字ばかり多くて絵や図が少ないのも頭に入りにくい。
 地元の本屋に出向いた。昔は近所に本屋があったが、ロードサイドの大型書店の進出ですべて閉店してしまった。その大型書店もアマゾンのせいで青息吐息という。大型書店にもアロマテラピー検定の本は数えるほどしかなかった。筆者が選んだのは高橋書店の「アロマテラピー検定1級2級」というテキストだ。実際に合格した人のブログを読んでみてもこれを選んでいる人が多い。筆者の直感からしても、2色刷りで構成も工夫していて欠点があるとは思えない。勉強はこれ一冊で十分だろう。
 さて、検定には香りテストがあることはすでに述べた。香りテストの配点はどうなっているのか知らないが、問題は4者択一の2問のみ。それだけのために19種類のエッセンシャルオイルを買うのは莫迦げている。
 お誂え向きの製品がある。「アロマテラピー検定受験用エッセンシャルオイル」がそれである。1級用と2級用があるが1級は両方対象となるので、どちらも購入する必要がある。2000円ぐらいだったと思う。こんな特殊な代物を手に入れるのは、アマゾンしかない。ワンクリックで簡単に手に入った。支払いは電子マネー。配達時間指定のできる宅配便。便利な時代になったものだ。しかし宅配便というインフラがなければ、そもそもネット販売は成り立たないのではないだろうか。日本はその点が恵まれていると思う。
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↑使用したテキストと精油セット

■■■受験勉強(香り篇)■■■
 正直いわせてもらって、筆者は臭いに鈍感だ。「何か臭わん?」と聞かれて、鼻をクンクンさせても筆者だけ最後まで気がつかないというのは日常的光景だ。先日も会社で、普段通りにルーチンワークをこなしていると、同僚に「何か焦げてる臭いがする」といわれ、調べてみると、担当している機械から煙が出ていたというのがあった。
 まして自分の体臭など気がつくはずもない。母は着ている服についている臭いでどこに行ったのか見当がつくというが、そんな警察犬のような芸当が人間にできるとは思えなかった。ただ女性の方が化粧品を扱い馴れているので香りに敏感なのは間違いない。
 かように嗅覚に乏しい筆者が、香りテストのあるアロマテラピー検定を受けようというのだから無理がある。
 さっそく、届いたエッセンシャオイルの臭いをかいでみる。
 レモンとかグレープフルーツ、ペパーミントといった誰でも知っているような香りはすぐに分かる。でもイランイランとカモミールローマンの違いといっても自分には分からなかった。というか何回も嗅いでいると余計わけが分からなくなるし、「よし覚えた」と思って数日後試してみたら忘れてしまう。
あるアロマの好きな人のブログにはこのように書いてあった。
「アロマでアレマ!? 生き方が輝く☆けいこなでしこ流アンチエイジング道。」
http://keikonadeshiko.blog.fc2.com/blog-category-7.html
濃厚な花の香りがしたら・・イランイラン
甘いローズ調の薬草のような香りがしたら・・ゼラニウム
リンゴのような香りがしたら・・カモミールローマン
ヒノキのような香りがしたら・・ジュニパーベリー
のど飴のような香りがしたら・・ユーカリ
深みと暖かみのあるハーブ調の香りがしたら・・・クラリセージかスイートマージョラム
樟脳、消毒薬みたいなにおいがしたら・・ローズマリー
病院、消毒薬みたいな匂いがしたら・・フランキンセンス
消毒薬と草葉が混ざったような匂いがしたら・・ティートリー


 なるほど~。そういうことか。再度挑戦。試験直前になっても、何度も繰り返してテストしてみた。しかし結果は変わらず。どうやら自分の嗅覚は人並以下だと判断した。これは試験ではペパーミントとかレモンのような簡単な問題が出ることを期待するしかない。結局、香りテストは確信を持てないまま、本番を迎えることになった。

■■■受験勉強(知識篇)■■■
 四苦八苦が予想された香りテストと違って、知識を問われる筆記試験の方は順調に勉強が進んだ。
 大きく分けて、次のようになっている。
1.アロマテラピーの基本
2.アロマテラピーの歴史
3.精油のプロフィール
4.精油の基礎知識と活用法
5.人体への作用と健康学
6.アロマテラピーと環境
 この中で難度が高いのは精油のプロフィールである。つまり精油が、何科の植物で、どの部位から精油が得られて、どのようにしてつくられて、どのような心身作用があるかということを正確に記憶しておく必要がある。一番特徴的なのはレモンやグレープフルーツなどのミカン科である。これは果実から精油が抽出され、光に当たるとシミなどが残る光毒性を持つからだ。傾向的には科名が同じであれば、その精油の特徴は似たものになる。よってプロフィールに関しては科名を覚えるのが肝要となる。
 これに関してはこれまたアロマ好きのブログにはこのように書かれていた。
 カモミールローマン=キク科(カモに聞くか)
 クラリセージ=シソ科(クラッとシソう)
 こんな語呂合わせを利用して科名を覚え、写真のイメージなどを利用しながら、プロフィールを覚えていった。このような語呂合わせは「1級検定に出てくる精油一覧」に多数載っているのでご参考まで。

http://aromania.do-not.net/kyuzin/06.html

 アロマの歴史に関しては、アロマに功績のあった人たちは歴史の教科書に載っていないので、そのまま覚える必要がある。但し歴史の流れをつかむのに世界史の知識は役に立つ。けれども医学の父ヒポクラテス、アレキサンダー大王などは知名度が高いが、「植物誌」のテオフラストスやアラビアの哲学者イブン・シーナなどは筆者は知らなかった。アロマテラピ-の歴史としては、20世紀の3人のフランス人、ガットフォセ、ジャン・パルネ、マルグリット・モーリーが超重要だ。あと古代ギリシャやローマ人の名前は覚えにくいので間違えないようにしないといけない。これは単純にテキストをみて覚えるよりも、具体的に問題を解いて、間違えながら覚えた方がいい。
 歴史に関する人物の覚え方は下記URL「手作り石鹸に出会った皮膚科医のブログ」が参考になるだろう。

http://dermato-plasticsurg.seesaa.net/article/167573114.html

 「人体への作用と健康学」は嗅覚に関する知識を問うものだ。健康に関心がある人なら知っていることが多い。知らなかったのは嗅覚は動物の感覚の中でももっとも原始的なものであることだ。確かに視覚や聴覚がなくても嗅覚のある生物が多い。そのため嗅覚は大脳辺縁系という本能に近い中枢神経で感じとられ、直接的に身体の調整を行う。よって嗅覚は視覚や聴覚よりも心身作用が大きいことになる。
 またアロマテラピーのエッセンスの元になる植物には驚異的な作用がある。植物は自分で動くことができないので、忌避作用や誘引作用のある物質を放出して、生物を避けたり近づけたりする。ここで述べた生物はもっぱら昆虫を対象にしたものだが、もちろん鳥類、ほ乳類にも作用する。これを人間に適用したのがアロマテラピーなのである。
 なるほど、アロマテラピーは奥が深い。

 勉強は購入したテキストに載っている模擬問題を3回ほどやってみた。移動中の勉強用として、スマホの無料アプリもやった。これはやや難しかったが知識を深めるのに重宝した。大体8割から9割の正答率が得られるようになった。

■■■試験当日■■■
 2014年5月11日、ついに決戦の日がやってきた。試験会場は梅田のTKP大阪梅田ビジネスセンター。名前を聞いて知らない人が多かろうか、あの阪神高速が貫通しているビルだといえば、関西人なら分かるだろう。
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↑TKP大阪梅田ビジネスセンター
 早めに着いたのでマクドナルドで昼食。アロマテラピーのテキストを開いている人を発見。ライバルと離れた席に座り、筆者もテキストを開いて試験前のチェック。
 試験開始時間が近づいたので会場に向かう。すでに長蛇の列ができている。すべてアロマテラピー検定の受験者だ。パッと見て200人はいる。ほとんどが女性で、男性は5人いるかいないかである。このビルは収容人数の割にエレベータの数が少ないので、このような行列ができるのであろう。やっとこさ乗ったエレベーターも試験会場が4階なのに、受験番号を確認しなかったせいで、間違えて8階で降りてしまった。仕方がないので小用を済ませた。これが幸いした。つまりアロマテラピー検定は女性の受験者が圧倒的に多いので、男性トイレも女性用に開放していて、男性は限られた階のトイレしか利用できない。それが8階であったというわけだ。
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↑既に長蛇の列
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↑受験者はほとんど女性
 4階の会場に着くと、重い扉はすでに閉められており、それをこじ開けると、満員の受験者が既に座っていた。女性ばかりの場違いな雰囲気の会場を変な男があたふたと歩き着席する。既に試験官が問題を配り始めていた。
 午後2時試験開始。香り試験は初っ端にある。小さなビニール袋に2本の小瓶が入っており、試験開始と同時に袋を開けて、香りを嗅ぐ。制限時間は10分。1本はおそらくペパーミントだ。もう1本はティートーリかイランイランでティートーリにした。予想よりも簡単な香りテストであった。残りの時間は筆記試験だ。問題数こそ58問と多いが、テキストの過去問丸だしの問題で、何のひねりもない。1級と称する検定でこんなに簡単なのはないのではないだろうか。若干自信がないのが6問。仮に香りテスト2問を間違え、この6問を間違えたしても8問の間違い。合格点は80%らしいので、十分合格圏内といえる。
 しかし途中退出もできないので、そのまま待つ。見直しも2回やったし、あとは終了の時間を待つばかり。周りを見ると、ほとんどの人が時間を持て余している。この会場には180人ほどいるようだが、男性は4名のみ。筆者以外の2名はヒップポップ系の格好で美容師でもやっているのではという容貌だ。ユニクロで買った安物のシャツを着ているダさい男は筆者だけであった。5部屋ぐらいで試験していたと思うので、おそらく1000人近く受験者がいたのだろう。
 午後3時10分、試験は終わった。問題は持ち帰ることができない。一斉に退席するので、エレベータに乗ることなどできず、階段を降りていく。

■■■合否発表■■■
 不合格など考えられない上出来の試験であった。試験の一ヶ月後合否を知らせる郵便が届いたので開けてみると、「貴殿をアロマテラピー1級に認定します」との認定状が入っていた。つまり合格であった。
 郵便物の中身は、上級資格であるアロマテラピーアドバイザーやインストラクター、セラピストなどの勧誘パンフレットなどが数冊入っていた。筆者としては、受験してもいいかなと思ったが、ここから先の資格は、まずアロマテラピー環境協会に入会しなければならない。入会金は10000円、年会費は12000円である。本格的にやるかどうかわからない趣味には高額すぎる経費だ。アロマテラピーの上級資格挑戦はもうここで潰えることになった。
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 少々勘ぐった考えかもしれないが、このアロマテラピー検定は80%の正答率が必要とされるが、実際はそれ以下なのではないだろうか。でないと合格率90%という異常な高率は説明できない。つまり、受験者は余程の不出来でなければ合格にし、あわよくば協会に入会させる。あるいは実技があるとはいえ6480円と割と高額な受験費用は、受験しても実際に入会してくれる人は少ないので、間口を広くして、協会の運営資金に転用しているのではないかなどと考えてしまう。問題を持ち帰ることができないのは、業者などで分析され攻略本を出版されたりすると、あらためて問題を手直ししなければならず、その手間を避けるためではないか。
 そう考えると、このアロマテラピー検定というのは権威も何もあったものではなく、持っていても自慢しない方がいいのかもしれないと思った。しかし筆者は覚えたことは無駄になったとは思わない。いつか役に立つと考えているし、履歴書にも書くだろう。
 とはいうものの、既にイランイランやローズマリーがどんな香りだったのか忘れている自分がいる。まあ何でもいいじゃないか。資格がひとつ増えたのだから。
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一級小型船舶操縦士免許取得記 [資格]

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↑サンフランシスコ湾にて(イメージ)
 筆者はかつて港のほど近くに住んでいた。フェリーが乗船ゲートを上げ、係留ロープを解いて、ゆっくりと出航していく様は何度見ても飽きなかった。船橋で「微速前進」「宜候(ようそろ)」なんて言っているのだろうなと思うだけで、男のロマンをかき立てられた。
 そんな訳でいつかは船長になりたいと思ったものだが、船長になるには商船大学に行くか、戦闘艦なら防衛大学校に入る必要がある。しかし筆者は目先の就職のことだけを考え、電気関連の大学に入ってしまい、通勤距離が短いというだけで、船と全く関係のない地元の会社に就職してしまった。しかもその会社に25年以上も勤め現在に至っている。
 この絶望的状況から船長になる方法はないのか。いや、あった。小型船舶操縦士免許がそれであった。
 そもそも小型船舶とはプレジャーボートとか漁船とか総20トン未満の船のことだ。ド素人が小型とはいえ船長になるには、これしかない。
 ただ、船長となるには、自ら船を所有するか、どこかのマリーナクラブの会員になってボートを借りるかしなければならない。船の係留費もかかるし、船も聞いたところの中古の安いので20万円、普通は400万円から500万円するらしい。とてもこれは手が届かない。船長になるのは、今後「機会があれば」ということにして、「これがなければ話にならない」免許を取得を目指すことにした。
 ところで小型船舶免許には1級と2級があり、その違いは航行区域にある。2級は海岸から5海里以内に限定されるが、1級は無制限。つまり竹島や尖閣諸島にも行けるわけである。学科試験は1級の場合、海図、天気図、機関の知識を問われる上級航行の試験が課せられるが、実技試験の内容は同じ。試験の費用も約5000円しか変わらない。竹島上陸の計画はないものの「一級」という言葉の響きがいいので、筆者は一級を目指すことにした。
 この免許の難関は実技試験であろう。何しろ船を持っている知り合いは皆無で、「ちょっと操縦させてくれ」と練習することができない。ネットの体験談を検索してみると、免許不要な2馬力船外機の操縦経験のある人が2級小型船舶に合格したり、全く操縦経験のない人が、DVDのイメージトレーニングだけで1級に合格した例があるようだが、筆者にはそんな度胸はなかった。
 一般的にはボート免許スクールに通うらしい。これは自動車教習所と同じで、学内で修了検定を実施して、これに合格すると免許が発行されるもの。学科講習が24時間、実技講習が1人最短4時間の場合で11万円弱。確実に取得できる反面、道楽にしてはお高いし、時間に拘束される。何しろ筆者は会社員だから平日の昼間に講習など出れないのだ。
 もう一つは学科は自学自習で、実技のみボートに乗せてもらって教えてもらうというものである。これこそ筆者が望むものなので、近くて便利なところを探してみる。
 すぐに見つけることができた。「平成ボート免許教室」がそれであった。1級の場合学科講習2日と実技講習1日がついているAコースと学科は自習で実技講習1日のみのBコースがあり、総費用はそれぞれ96500円と76500円となっている。講習料金はそれぞれ62000円と42000円。つまりたった一日の実技講習が42000円必要なわけだ。
「ふむ・・・・」
 ちょっと高い気がするな。少し考えたが、やっぱり一発試験は不安なので講習を受けることにした。この教室では船舶試験の申請代行を行っている。もちろん別途費用が必要で、その内訳は身体検査料が3200円、学科試験料が5900円、実技試験料が18600円、申請手数料が6800円となっている。受検費用は34500円だ。
 ウェブサイトに受験申し込みフォームがあるので必要事項を入力する。しかしいつまでたっても連絡がない。仕方がないので電話で連絡する。おばちゃんが電話に出てきた。担当者は不在とのことで、こちらの携帯電話番号を教えた。夕方になって先方から電話がかかってきた。
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↑送られてきた資料

 まもなく資料が送られてきた。「君もボート免許を取ろう」という趣旨のマンガが入っていた。これは全国のボート教室共通で、裏に「平成ボート免許」のシールが貼ってある。必要事項を記入した申込用紙と写真を送り、講習料金と試験費用の合計76500円を指定銀行口座に振り込んで完了。
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↑学習キット
 程なく学習キットが送られてきた。立派なA4大のプラスチックケースの中にはテキスト一式とロープ、海図、三角定規、コンパスの両端の足が針になっているディバイダなどが入っている。すべて揃えれば1万円ぐらいはしそうだ。だいたい小型船舶の問題集は普通の本屋に置いていなかった。「平成ボート免許」の先生が書いたと思われる、海図問題の解説やコンパスの磁方位、時差、真方位に関する説明書きも入っている。
 とりあえずテキストを手にする。自動車の運転免許の教習本のような難易度だ。船は潮流、風の影響を受けるのでまっすぐ進むのは難しい。すぐには止まれないので、見張りをしっかりして周りの状況を把握しておくこと。天候の影響を受けやすく、出航すると孤立無援になるので、無理のない計画を立てること。そんなことは常識で考えてもわかることだ。
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↑海図
 よく考えてみると確かに船は難しい。クルマならトラブルがあっても、JAFなど救援が呼べるし、天候が急変しても、地に足がついているので、冷静になれば何とかなりそうな気がする。ところが船は助けを呼ぼうにも、現在地がはっきりしないし、すぐに救援は来ないし、身を隠すところもないので、最悪、船が転覆するなどしたら、生命も危険だ。
 小型船舶といえば、父が漁師で必要に迫られて取る人もいる。それ故、内容はそれほど難しいものではない。
 灯台の光り方、灯火・形象物の意味、海図の記号の意味。海に生きる人なら常識だろうが、自分には初めて目にするものだ。知っていたのは右舷が緑、左舷が赤の灯火を用いること。右=right(正しい)=青信号と覚えておけば忘れない。
 広大な海には道路に相当するものがなく、船は自由に動くことができる。ただ大型船は舵の効きが悪く、すぐに止まれず、岩場などがあるので、港の近くでは航路が定められている。基本的に船は右側通行で、右側に見える船に優先権がある。ただ航行不能船、漁労船、帆船、動力船の順に優先権があり、動力船のなかでも、細かく動ける雑種船より大型船に優先権がある。
 参考書を読んでも退屈なので、試験問題を解いてみることにする。私は数多く資格試験を受けてきたが、全く勉強していない状態で、過去問が5割以上の正当率であれば突破はできると経験からわかっている。合格点が6割とすると、過去問において8割以上の正当率が必要だ。5割から8割に上げるのはきっちり勉強すれば難しくない。3割から8割に上げるのは、至難の業で並大抵ではない。
 試験問題は1級2級共通の一般問題と1級のみの上級運航がある。
 一般問題は小型船舶操縦者の心得と遵守事項、交通の方法、運航の3つのパートがある。遵守事項はほぼ一般常識と考えてよい。あらためて勉強など不要だ。交通の方法は標識や灯火の意味や回避船、保持船の区別が問われる。これは知っていないと答えることができない。運航は、操縦方法や船の点検保守方法、気象に関する知識、事故対策が問われる。これは一般常識が通用する世界である。それぞれ12問、14問、24問の合計50問出題され、それぞれのパートで半数以上正解し、さらに合計33問以上正解すれば合格となる。平均すれば70%の正当率があればよいことになる。
 上級運航はパート1が「航海計画」「救命設備及び通信設備」「気象及び海象」「荒天航法及び海難防止」、パート2が「機関の保守整備」「機関故障時の対処」に分かれている。パート1が8問、パート2が6問出題される。なんといっても航海計画が難関であろう。海図を使い、三角定規とコンパスを用いて、船の現在位置を割り出したり、潮流を計算して、実効進路を定めたりする。確かに数学の苦手な人にはウンザリすることだろう。潮汐表の読み方や燃料消費量の計算などは、一見難しいが小学校の算数レベルである。気象に関しては天気図の知識が必要だ。高校の地学を思い出す。海難防止は事故事例から対応策を考える、文章は長いが、常識的に考えれば難しくない。パート2はエンジンやプロペラに関する知識を問われる。クルマの運転免許の場合、ほとんどメカの知識は問われないが、船舶は孤立無援の洋上であるから自力で修理できないと、生命の危険にさらされるから当然必要である。筆者は子供の頃からクルマのエンジンに興味を持っていたから、初めて目にする用語もあったものの、それほど難しいものではなかった。この上級運航も各パートで半数以上の正解をして、合計14問中10問正解すれば合格だ。こちらは7割強の正当率が必要である。問題数が少なく、間違えられるのは4問のみというのは1級らしい重圧といえる。
 総じて見てみると、自分の実力なら何とかなりそうに思えた。実際、過去問を解いてみると、何も勉強しなくてもほぼ70%の正当率だ。足りないのは標識と海図の知識、天気図の読み方ぐらいであった。間違えた問題をテキストを読んで理解し、理解できない事項はインターネットで調べたりした。インターネットにはややこしい標識の覚え方などが載っていて参考になった。
 難儀だったのは海図である。海図は「日埼至月埼」という架空の地形図を使用することが定められている。これがA2ほどの大きさがあって、これを机に広げるとはみ出してしまう。机といっても、筆者のは一人用の小さなコタツである。海図にはコンパスローズという方位角を示す360度分度器があらかじめ印刷されていて、コンパスローズから角度を取り出し、ふたつの三角定規を組み合わせて、目指す進路を描く。
 気をつけなければいけないのは、船の針路はコンパス針路つまり磁方位を適用するので、コンパスローズに描かれた内側の分度器を使うことである。外側の分度器は磁差を補正した真方位で、これは潮流を考慮する場合に使う。
 この海図を扱う問題は3問出る。
問題例:
Z丸は、西山市南方海域を速力9ノットで航行中、同市南方の竹岬灯台を磁針方位355°、桜島灯台 (Al WR 10s)を磁針方位077°に見る地点に達した。この地点から、秋島北東端灯台(Fl(3)12s)を 右舷に見て、再接近距離3.0海里で航過するには、磁針路を何度にとればよいか。次のうちから選べ。 ただし、この海域には流向190°(真方位)、流速2ノットの海流があるものとする。(試験用海図W200使用) (1) 121°  (2) 128°  (3) 135°  (4) 142°




 さて実際にやってみると、結構間違うのである。何しろ最初の船の位置を間違えると、芋蔓式に間違いを犯し、しかも間違えた値の選択肢が用意されていて、「これだ」と思ってそれを選ぶと間違いなのである。
 実際に問題をやった経験からいうと、この海図の問題は一度正解を得て、「よし、覚えた」と思っても、類似問題をやると、やっぱり間違えるのである。ただ海図の問題は船乗りの基本的な技術であるし、試験では得点源になるので、繰り返して例題を解いて覚えるしかない。

■■実技講習■■
 そんなこんなで試験の1週前の日曜日。ついに船に乗る機会がやってきた。試験前に練習できるのはこの日だけ。幸い天気は上々である。場所は地元の河口近くにあるアリーナ。アリーナといっても、セレブな雰囲気はなく、むしろ水上生活者を連想させるところであった。
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↑河川敷にあるアリーナ?
 先生はすでに待っていた。最近は漁師やら渡船業を継ぐ人が減り、受講者は下降線だと嘆いていた。田辺からやってきたもう一人の受講者が遅れてやってきて、講習開始。
 まずは船とご対面。座席は4人だけの小さな船。いやモーターボートである。
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↑練習した船
 最初は出航前点検。実際の試験は2問だけだが、何が出るのかはわからないので、すべて行うことになる。
 次にエンジン始動のシーケンス。これが終わったら巻き結び、もやい結び、いかり結びなどロープの結び方の確認。
 次にハンドコンパスの使い方。プリズムを立てて、目標に合わせ、その数字を読みとる。
 さていよいよ船を操縦する。まずは沖に出る前に係留と解らんを覚える。船にはすぐに止まれるブレーキはない。だから「行き足」という惰性で進むことを考慮し、水の抵抗で止まるように、早い目にスクリュープロペラを止める、すなわちクラッチを中立にする必要がある。係留するべき岸壁が近づいたら、舳先を岸壁から30度に向け、クラッチを中立する。もし行き足が足りなければ、微速前進してもよい。右舷に接舷する場合、舳先が岸壁まで2mに接近したら、舵を左に切る。このとき舷側をぶつけるほどに接近させないのがコツだ。船が岸壁を平行になったら、プロペラを後進し船を止める。その後、船に備え付けの棒で岸壁を引っかけて、船を岸壁に寄せる。ロープを持って、船を下り、ビットにクリート留めで船尾、船首の順に固定する。
 こう書くと長いが、それほど難しくない。というのは船はクルマと違って、ある程度の当てこすりは容認されるからだ。3回ほどの練習の中で何回か岸壁に当てたが、船に致命傷はない。
 これで午前の課題は終了した。
 昼からは沖に出る。船を全力航行させる。クルマよりスピード感がある。先生「右45度に変針」といえば、周囲を確認してからその方向に舵を切り、「変針終わりました」と返す。簡単なことである。
 次に後進。船は基本的に前進を前提に作られているので、プロペラの後ろに舵がある。したがって後進の場合、舵が利きにくい。風や潮の流れから舵を小刻みに動かさないと、方向を維持できない。まあこれも簡単である。ただ試験で忘れがちなのは後進の前にプロペラをチェックすることである。
 そして人命救助。これは試験の重要課題である。人に見立てたブイを拾い上げて救助するのである。まずは救助を右舷からするのか左舷からするのか決めて、救助用の棒を用意する。ブイは風と潮で流されているので、それを計算に入れながら、舳先を向けて、クラッチを中立にする。行き足が足りなければ、微速前進してもいい。船のクラッチはクルマのクラッチ板のようなものはなく、ギアがはめ合うドッグクラッチである。そのためいわゆる遊びが大きく、微速の感覚をつかむのは難しい。もちろんブイを船に当ててはいけない。接岸と一緒で、棒の届く範囲に離れるのがコツだ。中立を確認してから、船尾に移動し、棒を使ってブイを拾い上げ、「救助しました」を申告。これで完了である。潮流を読む難しさはあるが、慣れればなんとかなる。先生の助言に従い、とりあえず試験に合格すればいいので、左舷からの救助はあきらめ右舷一本に絞ることにした。
 最後に蛇行。あらかじめ等間隔に設置されたブイをスラロームする。「蛇行します」と申告してから、ブイから10Mくらいの距離を保ちつつ、大きく蛇行する。かなり傾斜するので結構怖い。忘れてはいけないのは蛇行が終わったら、3個のブイの延長線から船が大きく外れていけないので、蛇行を始める前にブイの先の目標物を覚えておくことだ。もう一人の相棒は何故か苦労していたが、筆者は割と簡単にこなせた。バイクのスラロームよりも簡単である。
 これらの課題を5回ぐらい繰り返した。時間は6時間ぐらいだろうか。これが4万2千円を要した講習である。試験は緊張するだろうが、まあこれだけやれば何とかなるだろう。実際、審査基準はそれほど厳しくないと聞いている。
■■試験1週前■■
 午後の問題を重点的にやった。未だに海図の問題を間違える。これは本番でミスするかも。そう思いつつももう時間的にどうしようもないので、運を天に任せて試験に挑むことにした。海図全滅でも他で全問正解すれば悠々合格だ。

■■試験本番(筆記試験)■■
 試験は和歌山マリーナシティで行われる。そこのヨットクラブの2階の会議室が試験会場である。1級2級合わせて20人ほどの受験者で、そのうち1級は5人だ。問題が多少多いだけなのに、1級挑戦者は少ないと思う。実用上は5海里で十分なのだろう。受験番号は2番。実にシンプルである。
 最初に適性検査がある。視力検査と色盲検査。色盲検査は光っている色が緑か白かを告げるだけだ。聴力検査は試験の言っていることが理解できるか。身体検査は「悪いところはありません」と申告するだけ。この検査だけで3200円も徴収される。
 次に筆記試験がある。1級は上級問題があるが、2級と同時に試験開始だ。
 9時40分に始まった試験は、特に難しくはなく、過去問そのまま出ている印象だ。だからこれは満点だろうと、自信満々で終了30分前の11時に退席した。講習の先生が様子見に来ていた。さっそく答え合わせする。
●一般科目
科目 問題数 合格点 正解数
心得及び遵守事項 12 6 12
交通の方法 14 7 10
運航 24 12 21
合計 50 33 43

●上級科目
上級運航1 8 4 5
上級運航2 6 3 6
合計 14 10 11


一般問題は7問の間違い、上級は海図で3問中2問、天気図で1問間違えたものの合格点に達していた。よし、これで実技試験突破あるのみだ。
 講習の先生は送られた学習キットのうち、三角定規とコンパスを回収した。これは使い回しになっているらしい。経営が苦しいことは承知しているし、筆者も必要なものではないので快く返却した。

■■試験本番(実技試験)■■
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 筆記試験の自己採点結果に関わらず、実技試験を受ける必要がある。学科試験は科目合格があるからだ。
 マリーナシティはヨットハーバーの他に、ポルトヨーロッパという一種のテーマパークのようなものがある。県内よりむしろ県外の来園者の方が多い。ここで昼食となったわけだが、テーマパークの食事は高くて不味い。しかも混雑していて落ち着かない。ここも例外ではない。
 ヨットクラブの休憩室で試験課題の確認。「もやい結び」に「巻き結び」ロープワークも繰り返す。
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↑ヨットハーバー
 試験の船は2隻用意されていて、1隻3人が基本だ。試験課題は1級も2級も共通である。筆者は午後1時試験開始で、1級受験の大学生風の若い男とヨットハーバーに勤めているという2級受験の若い女性と同じだ。若い男は父と420万円する船を買うと言っていた。女性は仕事上もっておいた方がよかろうという動機だった。つまり明確な目的を持っている。立派なことだ。筆者は仕事や趣味で使うわけではなく、単なる資格マニアである。彼らに説明して理解してもらえるだろうか。
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↑試験船が見えてきた
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↑船首
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↑船尾
 若い男はどうやら筆記試験で合格点に及ばなかったようで「1級は難しい」とぼやいていた。そういえば筆記試験前の身体検査を免除されていたから、もしかすると彼は前回に実技試験も落ちたのかもしれない。
 試験は1時に開始された。まずは設備の点検。試験官が指定して3カ所の設備を指さして「○○ヨシ!」と元気よく答える。筆者は機関装備はバッテリーと燃料チューブ。安全装備は発煙紅炎とアンカーの確認。次にエンジン始動。トラブルの対応と続く。
 解らん離岸は男性2名が先にやり、女性は後回しになった。船の出入りが激しいので試験官が港を出るまで操縦し、その間にロープワークやハンドコンパスのテストを行う。筆者のロープワークは巻き結びを指定された。最初にやった結び方は「それは巻き結びですか?」と言われた。やり直した。巻き結びはロープワークの中でも最も簡単だ。しかしこのように焦った状態では思い出せない。「これでいいのだろうか」と思いつつも、試験官はOKとした。
 最初の操縦は若い男が指名された。これは年齢ではなく受験番号でそうなったに過ぎない。変針、救助をそつなくやる。確認の声が小さいように思えるが問題視していないようだ。
 さて筆者の番だ。まずは人命救助。予定通り右舷からブイを拾い上げる。次に微速後進。忘れがちな船尾確認も怠らず。
 蛇行は3人続けて行う。これは練習段階からミスはなかったし完璧だった。
 変針は右ヨシ左ヨシと声だしして、右45度。完璧に近い。というか別に難しくもない。
 次にシミュレーション。試験官がボードを見せ、この状況ではどのような処置を取るかと質問する。ボードには正面から船が向かってくる絵が描かれていた。ふと外を見ると、偶然にも実際に船がこちらに向かっていた。シミュレーションではなく現実となったのである。船の世界は右側通行が原則。したがって右に舵を切って衝突を回避するのである。
 着岸は最初に若い男が行った。次に女性が後回しにされていた離岸のテストをして、筆者の着岸となる。我々が着岸離岸を繰り返している間に、着岸予定場所に別の船が着いていた。だから位置としてはさっきとは異なるわけだが、わずかだか船体を当ててしまった。練習通りに右舷を2mまで寄せて平行になったら後進。棒で岸をたぐり寄せて、ロープを持って降りて、船尾、船首と固定。完璧である。
 試験は2時半に終わった。
 受験者3人とも大きなミスはなく、試験官は「結果を楽しみにお待ちください」と言っていた。それにしても試験官は採点用紙も持っていないし、厳密な採点はしていないように思える。このあたり一つ間違えれば事故の可能性が高い自動車と、限られた人間が広い洋上で操縦し、なおかつその所有を普及させないといけない船舶免許とは、真剣差の度合いがまるで異なる。
 勝利宣言の余韻に浸りながらマリーナの駐車場を出る。料金ゲートの正面に飲料水の自動販売機がずらりと並んでいる。このような人通りの少ないところにこんなに並べてどうするのだろうか。日本のGDPは世界第3位らしいが、それはこうした無駄使いによって成り立っているのかと思うと、なんとなく日本は砂の上の楼閣のような気がしてきた。そしてこの自分のやったことも無駄ではなかったか。
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↑こんなに自販機いらない

■■試験結果発表■■
 1週間後、ウェブサイトで試験の結果が発表されていた。あっぱれ、1級を合格したのは筆者だけだった。残りの4人は実技は合格したものの学科で撃沈していた。
 数週間後、ボート教室から、免許証が送られてきた。なんと書留でなく普通郵便であった。
 免許は5年間有効で、書き換え時にはそれなりに費用が必要だ。更新を怠っても免許は失効しないが、再度講習を受ける必要がある。公務員を受け皿にしている特殊法人はこのようにして儲けているわけである。

■■おわりに■■
 筆者はこのようにして小型船舶免許を入手した。ある種の達成感があった。船を操縦するという普段の生活では得難い体験もできた。
 しかし投資に対する効果はどうか。今から考えれば、わざわざボート教室に行かなくても、一発試験で合格可能だったように思える。けれども、そうすると、船に乗る機会は試験の一回だけになってしまうかもしれない。練習したからこそ数時間乗れたのだから、それに関しては文句は言うまい。国内旅行でも九州や東北以遠で2泊3日の日程なら、7万円はかかるだろう。旅行で得られる感動が同じ費用で得られたのだ、それでいいのだと思うことにした。
 実際、この免許を取ってから、15万円とか45万円とかで中古のボートを買わないかという話があり、係留費用もなんとかなりそうな感じだった。しかし、自分は魚釣りもしないし、盗難や天候急変を心配しながら、船を所有する気にはならなかったので、丁重にお断りした。
 でもせっかく免許を取ったのだから、レンタルでいいから船を操縦したいものだ。小型船とはいえ船長になれるのだから。

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中型限定解除合格記 [資格]

◆◆◆中型限定解除とは◆◆◆
 筆者のように昭和生まれの運転免許所持者は、更新すると、取得したのは普通免許のはずなのに、中型免許に名前が変わっていることに気づくと思う。そして但し書きとして「中型車は8tに限る」と書いてある。
 そもそも中型車とは何だろうか。その昔、免許区分としては大型と普通しかなかった。その境界線は車両総重量8トンにあった。
大型免許
車両総重量8t以上・最大積載量5t以上・乗車定員11人以上

普通免許
車両総重量8t未満・最大積載量5t未満・乗車定員10人以下

 つまり普通免許であれば8トンまでのトラックに乗れたわけだ。しかしこれは国際基準からすると、乗れる範囲が広すぎた。クルマが大きく重くなれば、それだけ運転の難度は高くなるし、事故を起こしたときの負わせる被害も大きくなるから、高い運転技術が必要だ。しかし免許の範囲が広いために、技術が伴っていない運転手による事故が増えてきた。
 そこで、普通運転免許で運転できる範囲を積載4トンまでに制限し、新たに積載11トンから4トンまでを中型自動車なる運転区分を設けた。従って大型自動車は11トン以上となる。この改定は平成19年に実施された。自動車の運転免許は18歳からだから、平成生まれはほとんどこの新しい普通免許になっているはずだ。
 しかしそうなると、旧普通免許で取った昭和人は困ることになる。何故ならば、すでに8トン車に乗っている仕事をしている人は、新たに中型免許を取得しなければならなくなるからだ。そこでそうした人たちに対しては、普通免許とはせずに、既得権として、中型免許を与えることにした。しかし11トンまでにすると、その訓練を受けておらず、事故を起こす可能性が高まるので、8トン限定という制限を設けたというわけである。大ざっぱに以下のような区分となる。


大型免許
車両総重量11t以上・最大積載量6.5t以上・乗車定員30人以上

中型免許
車両総重量11t未満・最大積載量6.5t未満・乗車定員29人以下

普通免許
車両総重量5t未満・最大積載量3t未満・乗車定員10人以下

 筆者は中型自動車なる新たな範疇の設定には胡散臭さを感じている。これはおそらく少子化で顧客の減る自動車教習所の救済であろう。いうまでもなく、自動車教習と警察行政には密接な関係がある。したがって古くから自動車教習所には多くの警察OBが天下りしている。国際基準に合わない、未熟者による事故が増えているとか理由をつけて、中型自動車というのを作って、新たに教習所に通わせて、顧客を確保しようという狙いだろう。教習所としても警察OBの天下りを受け入れるのは理由がある。それは、免許を取りに来る人は、学生から社会人、人生不適格者、ヤクザから風俗嬢まで様々なのだ。もしややこしい人がいれば、警察からの情報があればそれなりの対応が可能だ。その情報の入手や取りなしのために、警察OBを校長や所長に据えているのであろう。警察幹部としても、退職後の天下り先を確保できるのは大きいし、つまり持ちつ持たれつの関係の中から生まれたのが中型自動車なのだ。他に教習所の救済策としては、従来免許センターでしか取得できなかった、タクシー用の普通2種免許や750cc以上の大型バイク免許が教習所で取得できるようになったことが挙げられる。ただ、教習所としても新たな投資が必要なので、必ずしも恩恵を受けるものではない。
 そんな邪推はともかく、筆者は中型免許を取得することにした。中型8トン限定から大型2種免許を取ると約30万円の費用が必要だが、中型から大型2種だと20万円だ。そして中型の8トン限定解除は8万円。2万円ほど安くなるのだ。
 ただ、中型限定解除には注意すべき点がある。ひとつは、限定解除すると、深視力検査が課せられることである。深視力検査とは遠近感が正常かどうかを調べる検査で、3本の棒のうち、真ん中だけで前後に動き、3本とも揃ったところでボタンを押すことによって計る。これは経験者ならわかってもらえると思うが、なかなか上手くいかない。遠近感は棒の色の濃度で判定するのだが、これがとても見えにくいのだ。筆者だけではなく高齢の大型免許保持者はみんな苦労している。もしこの深視力検査に不合格となると、元の8トン限定ではなく、4トンしか乗れない普通免許となってしまう。
↓深視力検査とは

 もうひとつは、8トン限定中型免許で11トン未満の中型自動車に乗っても、それは条件違反であって、無免許運転ではないことだ。無免許運転だと減点19点で免許取消、しかし条件違反だと減点2点で罰金9000円程度だ。だから推奨できないことではあるが、8トン限定中型免許であれば罰金覚悟でマイクロバスの運転は可能である。
 このように当面、11トン未満に乗る予定がないのであれば、面倒な深視力検査のない、8トン限定中型免許の方が使い勝手がいいのである。それなのに筆者が限定解除を目指すのは、前述のように今後取得を考えている大型免許のためにはその方が安くすむことと、すでに深視力検査が課せられる普通二種免許を持っているためである。

◆◆◆まずは教習所へ◆◆◆
 免許センターでの飛び込み試験は、平日の昼間に行われる。筆者は平日は仕事があるから、飛び込み試験ははじめから眼中になかった。だから費用はかかるものの自動車学校に通うことにした。
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↑入校した自動車学校
 2013年12月、近所の自動車学校へ。中型限定解除は実地のみの基本5時限の教習で、最後の見極めに通ったら、卒業検定となる。教習開始後3ヶ月以内に見極めを通らないと、教習は無効になってしまう。
 まずは所持免許の確認と深視力検査である。この深視力検査は苦労した。3回誤差10ミリ以内で停止させないといけないのだが、最初の試験は上手くいかず、10分間の休憩後の再試験となった。そこでも危なかったのだが、普通2種免許がモノをいって、どうにかお情けで合格となった。
 教習料金はこの学校の卒業生ということで1万円の割引があり、64800円であった。この日は申込書に印鑑を押しただけで、料金は第一回の教習の時でいいとのことであった。
 もう年末で仕事の都合が不明な点があり、教習開始は年明けからとした。

◆◆◆教習開始◆◆◆
 中型免許の教習は当然ながらトラックに乗る。筆者はトラックを運転した経験はない。だから最初の教習は見通しのいい昼間にしたい。というわけで、土曜日の朝1限目を選んだ。
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↑教習で使ったトラック
 トラックは運転台の位置が高く、乗り込むのにも一苦労だ。それと運転席と助手席との空間もかなり広い。最初は教官が運転する横に座って運転ぶりを拝見する。
 まずトラックの運転で注意すべき点は、ボンネットがないので、オーバーハングが小さい、つまり、運転席の前の迫り出しがないので、ハンドルを切るのを遅らせないといけないという点だ。最近のファミリーカーはミニバンが主流なので、家族持ちならばさほどの違和感はないだろうが、独身の筆者には大いにそれがあった。
 もうひとつは車長が長いので、常にミラーで左右と運転席直前を確認する必要がある点だ。ミラーはより広い面を映すために凸面なので遠近感がない。限られた時間で素早くミラーと前方と周辺を確認しなければならないので、トラックの運転手は目を酷使する。深視力検査が必要なのはこういった点からであろう。
 それとブレーキ作動が油圧ではなく、空気圧を利用すること。トラックとなると重量が重いので、足でペダルを踏む力だけでは止めることができないのでこれは当然である。しかしこれが軽く踏むだけでよく効くので、普通車の感覚で踏むと全て急ブレーキになってしまうのである。その加減が難しい。
 自分が運転する番になった。実は筆者はもう長いことマニュアル車に乗ったことがない。学生時代にほんの100m程乗っただけで、実際、教習所以来乗ったことがないと言っても過言ではない。
 約25年ぶりのマニュアル車。今日の目標はトラックの目線になれることよりも、マニュアル車の感覚を戻さねばならなかった。
 まずは外周を回る。トラックはセカンドギア発進が基本である。ローギアは重い荷物を積んで坂道発進する場合とか切り札的存在である。半クラッチなんて完全に忘れている。ギアの入りも悪い。セカンドのつもりがトップに入れエンストになる。しかし変速なんてものは、やがて慣れるものなのである。
 やがて一時停止の標識。ゆるゆるとブレーキを踏む。しかしなかなか減速しない。焦って踏み込むと急ブレーキで前のめりになる。これは一日で慣れるものではない。
 次に坂道発進。マニュアル車で一番面倒なのはこの坂道発進である。重力の作用で、クルマが後退するので、あらかじめトルクを与えておいて、発進する必要があるからだ。オートマ車はアイドリング状態でクリープ力が発生し、アクセルペダルを踏まなくても前進する。これは信号待ちでは追突の危険があるが、坂道発進では便利である。マニュアル車の場合、ややアクセルを踏み込んで半クラッチにして、クルマが下がらないようにしなければならない。その状態にしたら、停止時にかけていたハンドブレーキを解除するのである。トラックの場合、重量が重いので、この方法を用いても若干下がってしまう。そこで最近のトラックは坂道発進補助装置というのがついていて、傾斜時に自動的にブレーキがかかるようになっている。しかしこのトラックにはついていない。筆者はハンドブレーキをゆるめると後退を始めたので、焦ってアクセルを大きく踏み込んでしまった。まあ最初なんだから大目に見てもらいたい。こうして初日は終わった。

◆◆◆教習中盤◆◆◆
 2日目は夜間であった。この日は普通車でもやった狭路、すなわちS字とクランクを走行する。そして隘路。これはトラック独特の教習で、要するに車体とほぼ同じスペースに、クルマを止めることなく、ぴったりと収めることである。
 いずれもタイヤの位置を把握することがポイントである。自分の座席の下に前輪があるわけだから、かなりハンドルを切るのを遅らせないといけない。当然運転席は走路をはみ出してしまうが、気にしないことだ。後輪はミラーを見ながら、ハンドルの切れ角を調整する。前とミラーを交互に見ながら、脱輪しない一本の線を見つけだしていく。
 隘路は入れたいスペースの中心部がタイヤを通過したら、ハンドルを大きく切る。例によって運転席はスペースより前に出るが、これを無視する。ハンドルを戻すタイミングは運転席と反対側のスペースのラインが見えてからでいい。ここで戻すタイミングを間違えるとラインをはみ出すので注意しなければならない。それとこの動きは止めてはいけない。速度調整はクラッチペダルで行う。すなわちクラッチを踏めば、惰性で動き、半クラッチにすれば動き出す。つないでしまうと速く動いてしまうので失敗することになる。このあたりはクリープ現象のあるオートマ車と同じような感覚だ。
 この日の講習はもう一つうまくいかなかった。
 3日目は土曜日にしたので午前中だった。教官は2年前バイクの教習に来た筆者のことを覚えていた。ブレーキはまだ慣れないものの、狭路、隘路は相当によくなった。しかしまだ適当にハンドルを切っているところがある。この日は復習が主だったので、本来の課題である方向転換は少しやっただけで終了した。
 4日目は縦列駐車と方向転換を重点的に行った。トラックは図体が大きいので難しいところはあるが、理屈は普通車と同じである。トラックはエンジンのアイドリングでもトルクがあるので、アクセルを踏まなくても、速度調整ができる。むしろ難しいのは後方間隔である。運転席からは遠く離れているので、50cm以内につけろと言われても、実際は1m以上空いていたりする。今ならバックモニターがあるのでそれほど苦労することないだろう。
 あとは路肩から30cm以内に車体を寄せて停車し、目標の30cm以内にトラックを停止させること。また路肩発進では車体後方を側壁にぶつけることなく、目の前の障害物をよける練習もする。これも技術的には発進してすぐにハンドルを大きく切らないようにしなければならない。
 5日目は法規走行。今までのテクニックに加えて、実際の路上で遭遇するであろう不測の事態に備える安全確認を行っていく。トラックは車体が重いので急には止まれない。幸いトラックの運転席は高くて見晴らしがいいので、できるだけ早く危険を察知して、早い目にブレーキを踏む準備をするのである。ブレーキは強く踏み込むのでなく、停止寸前に若干弛め気味にするのがポイントである。
 トラックの運転特性については下のサイトが詳しい。

↓トラックドライバーのための安全運転の基礎知識
http://homepage3.nifty.com/chu-ei/zerosai-4.htm

◆◆◆教習見極め◆◆◆
 6日目。本来は中型限定解除は5時限で終了なのだが、2日目で復習項目があったので、1時限余計にかかった。この教習所は時限が増えても追加料金は必要ない。
 今日は見極めである。ここを突破すればあとは卒業検定である。この日の教官はバイクの時から相性が悪い人であった。人間は苦手意識があるとしなくてもいいミスを連発するものである。しかし前述したように、落ちても追加料金が発生しない。だから、ミスしてもう一回受けた方がトクだと前向きに考えることにした。
 見極めのコースは路側発進、交差点右左折、S字、クランク、踏切、隘路、坂道発進、方向転換、縦列駐車と全ての課題をこなす。隘路は左ギリギリだったし、縦列駐車は切返しを入れざるを得なかった。後方感覚も後ろ余裕たっぷりだったし、路側駐車も左ギリギリ、発進もポールに当たる寸前だった。おまけに一時停止のブレーキも「もう少し穏やかに踏みましょう」と注意された。
 こんな調子であったから、見極め不良で「もう1回」かと思った。それは望むところであったが、結果は「卒業検定を受けて下さい」とのことであった。もしかすると、限定解除というのは合格基準が低いのでは、と思った。
 卒業検定は平日のみ実施される。仕事の都合がわからないので、受験日は後日連絡することにした。検定コースはAB2種類。どちらが来てもいいように覚える。

◆◆◆卒業検定◆◆◆
 2014年2月6日、いよいよ卒業検定である。試験開始は1時なので、30分前に教習所にやってきた。受験料5250円を支払う。もし落ちると、もう一回補習を受けて、再受験となる。その愚行は避けねばならない。
 試験官は第1回目の教習の教官であった。彼にはいい印象がある。まずはコースの説明である。この日はAコースであった。検定コースは試験官が指示してくれる。ただやはり覚えておいた方がいいだろう。試験はトラックに乗り込み、サイドブレーキを引いてバックギアに入れるところまでだ。踏切、坂道発進、縦列駐車は課題にはない。
卒検.jpg
 検定は試験官と受験者の他に、不正防止のため、監視者が添乗する。一般にその役割は、他の受験者となることが多い。今回は私の他にトラックの受験者はいなかったので、普通免許を受験する若い男が座った。トラックの後部座席は狭く、横向きに座ることになる。大型トラックだとここはベッドのスペースとなる。そういえば、かつてはトラックは2人で交代で乗務していたと思うが、高速道路が発達して、運転時間が短くなったためか、1人乗務が普通になったようだ。
 卒業検定は教習所のコース内で行われる。
 見極めの時のようなヘマはすることなく、ほとんど完璧に近かった。どう考えても落ちることは考えられなかった。
 午後1時40分、検定終了。今度は添乗していた男が受験することになる。普通車の卒業検定は学外の路上で行われる。筆者は運転席の後ろに乗り込んだ。試験はマニュアル車だ。男はどうしたことか安全確認ばかりして、なかなか発進しない。ようやく急加速しながら発車した。この教習所は堤防の脇にあり、一般道に出るには、必然的に坂道発進となる。そこでもどこまで下がるのかというぐらい後退してから発車した。発車というよりも発射に近かった。その他、左折時クルマを左に寄せすぎたり、直進青信号でも右折車を待ったりして、とてもこれでは、という運転技量であった。おまけに学内の車庫入れでも脱輪していた。自分の試験よりもドキドキした。
 14時10分添乗終了。あとは合否結果を待つだけだ。結果は「合格」。全くミスはなかったと思ったが、S字で脱輪していたらしい。トラックはタイヤが太いので、脱輪していても気がつかない。今後気をつけるようにということであった。
 卒業証明書を受け取ったのはその1時間後であった。校長先生に別の部屋に呼ばれ、証明書の有効期限は3ヶ月で、それを過ぎると紙切れとなると説明された。
 ところで、添乗の男は不合格だった。どうやら何度目かの卒業検定で、また補習を受けることになる。教官からは2月16日までに卒業しないと、再度入学することになると言われていた。男は学校の勉強があると難色を示していた。そういえばこの男、待合いのベンチで地方自治についての難しいレポートを読んでいた。頭は良くても運動神経は鈍いのかもしれない。

◆◆◆免許書き換え◆◆◆
 免許の更新であれば日曜日でもできるのだが、書き換えなので、平日に限られる。仕事の都合でなかなか休めず、免許書き換えは、遅れに遅れ、2ヶ月後の4月であった。限定解除は新たな免許が発行されるわけでなく、したがって、免許証表面の「中型車は8tに限る」という表記が消えるわけでない。裏に「限定解除」という判子が押されるだけである。大した手数ではないと思うが、1550円の手数料が取られる。
↓書き換えられた免許証(裏)
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◆◆◆おわりに◆◆◆
 この免許を取ったとしても、おそらくマイクロバスやトラックを運転する機会が訪れることはないだろう。つまりは無駄遣いなのだが、それでも乗り物の操縦、それも大きなものを操縦するのは快感であった。何より新たな技術の習得というのはとても楽しいことだ。
 次はさらなる無駄遣い。大型2種に挑戦しようと思う「アホな」筆者であった。
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歴史能力検定日本史2級合格 [資格]

 先日、歴史能力検定日本史2級に合格した。ここではその体験記を書こうと思う。
・概略
 歴史能力検定とは高校の歴史教科書で有名な山川出版社・東京リーガルマインド・社会教育協会によって運営される任意団体、歴史能力検定協会が主催している検定試験で、日本史と世界史のそれぞれ5級から1級まである。2級は高等学校卒業程度とされ、これに合格すると、高等学校卒業程度認定試験の「日本史B」「世界史B」の受検が免除される。さらに日本史2級以上に合格した場合、通訳案内士試験の「日本歴史」の科目が免除される。すでに高校も大学も卒業している筆者にとって、高卒認定など必要ない。目指すは通訳案内士試験の免除だ。ちなみに通訳案内士になるには英検1級程度の語学力が必要である。筆者がそのようなレベルであるはずはなく、免除されてもそれを生かされることはないだろう。でもこれを機会にヤル気になるかもしれない。そのような淡い期待をもって受験を決意した。
・勉強法
 資格試験というものは、受験の申し込みをすれば、その気になって勉強を始めるものである。マラソン大会も同じで、とにかく申し込まないと、練習する気にならない。時に9月。申し込んだはいいが試験日は12月1日。まだはるかに先である。
 10月に基本情報処理試験を受けたので、勉強を始めたのは11月に入ってからである。
 実は筆者は高校時代日本史は得意中の得意科目であった。確か80点以下はとったことはないはずだ。もちろん歴史も好きで、NHKの大河ドラマなど好んで観ていた。ただし、それは30年も前の話であって、記憶力も衰えているし、テレビを見るより、ネットサーフィンの方が楽しくなって、最近の大河ドラマも全く観ていない。
 まずは歴史検定の過去問問題集を買って、本を開く。古代、上代、中世、近代、現代の大問5問から構成され、それぞれ長文を読ませて、設問に答えるのがパターンだ。基本的には4択問題だが、大問一門につきひとつは漢字で書く記述しき問題がある。記述式も選択式も配点は同じ2点で、50問が用意されている。合格点は難易度によって異なるが、おおむね60点だ。時間は50分だから、1問1分ぐらいで解答する必要がある。
 さっそく問題をやってみる。すっぴんの状態であった。50点から70点ぐらいの得点だ。現代は得意で80点を越えるが、大河ドラマで扱うことの少ない大和時代の古代や奈良・平安時代の上代は得点が低かった。
 それでも少し勉強すれば、合格が見えてくる手応えだ。繰り返して過去問を解き、90点以上出るようにした。ただ、過去問はあくまで傾向を読むためものもので、いくら過去問を全問正解しても、それと異なる問題が出ることから、合格点には達しないだろう。
 勉強法として最も有効だったのは歴史の漫画を読むことであった。近所の図書館にそれがあるので、休日は図書館に入り浸りで読みふけった。ただ図書館の本は欠番が多く、その本は本屋で立ち読みした。オッさんが本屋の小中学生対象コーナーで立ち読みする様はさぞ滑稽であったろうが、そんなのは気にしないことにした。
 他には家にあった百科事典を読んだ。家の百科事典は50音ではなくテーマ別なので、日本歴史を徹底して読み込んだ。より知識を深めたいところはウィッキペティアを活用した。
 一般にウェブや電子書籍は頭に入りにくく、勉強は書籍とノートと鉛筆を主力とすべきである。飽くまでもインターネットは補助としないと、うっかりネットサーフィンしてしまうと勉強にならなくなってしまう。
 いつでもどこでも勉強する為に、「山川日本史一問一答」というスマホアプリを購入した。600円という値段はアプリとしては高い。問題は4択で出され、正解率も表示される。問題数は多すぎるぐらいで、結局全部できなかった。電車の待ち時間や乗っている時間はこれをやり倒した。
 もっとも頭を痛めたのは、源氏と平氏と藤原氏の名前である。親の一字をとったりするので、同じような名前が多く、記憶を混乱させ、日本史が嫌いになる最たる原因であろう。先年大河ドラマ「平清盛」が視聴率が低迷したのは、画面が汚かったからでも、役者や脚本の力量が不足していたからでもなく、この時代の登場人物の名前がそれぞれよく似ていて視聴者が混乱したのが原因であろう。
 筆者もこれには悩まされ、ネットでいろいろ情報を集めた。一番有効だったのは源氏の祖、源経基の覚え方である。
源氏とくれば源氏パイ(サンリツ製のハート型のパイ)
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パイはケーキ(ややこじつけ)

ケーキ=経基(音読みする)
 これで源氏の祖は確実に覚えられるようになった。あとは系図を辿っていって、それぞれの人物の逸話や業績をウェキペティアで頭にたたき込んでいった。
 戦国時代や幕末は大河ドラマで何回も取り上げられているので、新たに覚えるというよりも、忘れていることを思い出すという感じだった。
 明治以降昭和時代はは戦争ものの映画が好きだったので、これもそれほどの苦労はしなかった。
 要するに自分の場合、歴史に関心があったので、若干の難しさはあったものの、勉強そのものはむしろ楽しい作業であった。

・試験前日
試験の前日、高校時代の同窓会があり、なんと柄にもなく、酔いつぶれてしまった。久々に会う級友に気分が高揚し、調子に乗ってチャンポンで飲んだのがいけなかった。クルマで送ってもらい、這々の体でベッドに身体を横たえた。もちろん勉強などできず、二日酔いも確実である。

・試験当日
 試験は大阪行われた。会場は昔の梅田貨物駅の近くにある新梅田研修センターであった。
 幸い二日酔いは軽く、どうにか戦える状態だ。試験会場は約50名ぐらいで、学生から主婦まで様々だ。歴史の得意な人が力試しに来ているという感じだった。最近の「歴女ブーム」なのか女性が半数近くいた。
 試験開始。幸いなことに中世は南北朝時代がでていてあのややこしい源平氏藤原氏が出ていなかった。近代で「大日本帝国憲法の起草に関わった井上毅・○○○○○・金子堅太郎の○を漢字で書け」という問題は、おそらく難問に近いものであったが、偶然にも同窓会直前にやった勉強でその箇所を覚えていて、「伊東巳代治」と難なく解答できた。
 どうしてもわからない問題が2問あったが、どうやら合格点に達しているだろうと思われた。
 50分後試験が終了。すぐに解答が配られた。昼食をしながら、答え合わせ。自己採点は70点。合格を確信した。
・合格発表
 翌年1月24日、大きな封筒が郵送されて来た。中身は合格証書であった。得点は自己採点のとおり70点で、合格率は40%であった。
 どちらかというと楽に合格できたので、特に嬉しいというものではなかったが、何にせよ、資格が増えるいうのは嬉しいものである。
 歴史能力検定のウェブサイトには、日本史2級のレベルとして次のように定義している。
高校で歴史は得意科目であり、教科書の内容だけでは少し物足りなく感じている。または、歴史にはかなり詳しい方だと思う。

 歴史の好きな人は挑戦してみてはいかがでしょうか?
 この資格を生かすには通訳案内士を目指すしかないが、それは遙かに遠い道のりである。まるで日本から歩いて北極を挑むような難事に思われた。
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普通2種免許取得記 [資格]

 2013年夏、私の勤務する会社は2年連続で9日間という長い休みとなった。今年は去年断念した南米に行くかと思ったが、筆者はその時間を全く別のことに使うことにした。それは
合宿による普通2種運転免許の取得
であった。普通2種運転免許とはタクシーや運転代行など、有料の旅客を運送するための自動車を運転するための資格で、いわば運転のプロライセンスである。合宿免許は主にまとまった休みの取れる学生が中心。総費用は通学による免許取得とそうは変わらないが、普段と異なった環境で、志を同じくする仲間と、宿泊と食事を提供されながら、およそ2週間で取得することができる。通学だと自分の都合の良い時間を取れないことに悩まされながら1ヶ月はかかるだろう。またプランによるが合宿地までの交通費の補助があったり、卒業するまで延長教習料金が無料というところもある。
 このような合宿免許だが、9日以内で卒業できて、しかも普通2種免許を扱っているところというのは極めて少なかった。卒業まで最短9日間と謳っていても、入校日が水曜日に限られているのはダメだ。会社の休みは土曜から次の週の日曜日までだからだ。
 条件が合ったのは、徳島の鳴門自動車教習所であった。入校日は月曜日となってしまうが、最短7日間で卒業と書かれていたので大丈夫。徳島なら筆者の住む和歌山からフェリーで2時間。しかも鳴門なら徳島から10キロぐらいしか離れていないから自転車で移動できる。また鳴門ならば、万が一夏休み中に卒業できない場合でも、通学することもできないこともない。自動車学校では教習内容を引き継ぎながら転校はできるのだが、かなり割高となってしまう。
 普通2種はAT限定とした。これだと客がマニュアル車に乗っている可能性がある運転代行には対応できないが、今やタクシーはほとんどATだ。何より筆者は教習所を卒業して20年以上マニュアルミッションを運転していない。2種特有のハンドル裁きのほかにクラッチ操作をしている余裕はない。何しろ7日間で卒業しなければいけないのだ。ただ、教習料金はATもMTも同額である。
 教習は鳴門で行うのだが、合宿免許の申し込みは大阪の仲介業者を通じて行う。筆者の場合は「合宿免許ワールド」という業者で、総費用22万円のうち2万円を2月中に支払い、7月になって残金を支払った。
 ちなみに普通2種免許には、合宿免許の他に、免許センターが実施する試験を受ける方法もある。この方法は安上がりなのだが、平日の月曜日と金曜日しか試験を行っていない。この試験は、警察が実施しているだけあって採点は厳格で、5回ぐらいは普通に落ちるという。筆者の勤めている会社はそう簡単に何回も有給休暇をとれないので、この「一発試験」は断念することになった。

第0日 8月11日(日) 晴
 入校日は月曜日だがフェリーの時間が合わないので、徳島に前泊することにした。
 自転車で和歌山港に向かう。1週間分の荷物を背負っているので重い。泊まるのは寮であってホテルではないので、タオルは自分で持ってこなければならない。
 13時40分発の徳島行きフェリーに乗る。さすがにお盆休みで混んでいる。他府県ナンバーが多い。自転車は最後の方の積み込み。
 船内は椅子席で過ごす。いつの間にか持ってきたスマホのカメラが使えなくなっていた。アンドロイドはアホだ。いろいろやってはみたが、結局、フルリセットした。ちなみに使っているスマホは富士通F02Eである。
 宿泊はカプセルホテルにした。ここのカプセルは変わっていて、机のあるワンルーム仕様になっている。阿波踊りの舞台が整えられた繁華街を練り歩き、一杯やった。入った店は常連客を大事にしているようで余所者には面白くなかった。

第1日 8月12日(月) 晴
 9時20分、鳴門に向け出発する。予めルートは調べてあったし、去年渦潮を見るために自転車で走った道なので、鳴門自動車教習所まで迷うことがなかった。
 目標のファミリーマートに到着し、ここで昼食用のおにぎりを買った。初日は夕食からしか提供されないからである。
 10時30分、鳴門自動車教習所に到着。周りは芋畑や梨園が基本ではあるが、矢倉団地という市営住宅がある。水をたたえた用水路が道路に並行している。
 教習所の事務所はプレハブ造りの2階にある。
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 階段を上がって名前を告げると、誓約書にサインさせられ、視力検査を受ける。深視力検査は不安だったが、意外とできた。これが不合格になると当日キャンセル扱いになるという。
 12時に歩いて2分の宿舎「ヴィルベルII」に車で移動。私以外に豊田ナンバーの男性も一緒。彼は大型を受けるようだ。あてがわれたのは2階角部屋。荷物を置いて、寮のおばさんから説明を受ける。部屋の掃除は月水金土の週4回。全館禁酒というのは痛いが、若者の多い合宿免許だからトラブル防止のためにはやむ得ないだろう。カビ防止のため部屋干し不可とのことだが、おそらく乾燥機を使わせるための作戦だろう。
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↑宿舎「ヴィルベルII」
 ポットの湯でお茶を沸かし、おにぎりを食べて、自転車で近くのスーパー「マルナカマート」へ。エアコンが効いていて涼しい。しかし屋内の熱を外に逃がしているだけなので、屋外の気温は着実に上昇している。地球温暖化は不可避である。
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↑スーパー「マルナカマート」
 14時10分、適性検査はパソコンで行う。次の学科講習まで時間があるので、ファミリーマートに行った。
 15時10分、学科は1人。2種免許とは何かという趣旨のDVDを観る。
 16時10分、場内実地練習。ハンドル操作と速度を抑える練習。ただひたすら外周を回る。既に運転免許を取得して30年近く経過している。ハンドル操作は手放しでまっすぐに戻すし、送りハンドルも常用しているので、いまさら手をクロスさせながらハンドルを回すのは窮屈でしかない。
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↑コース
 17時20分、S字クランクバック。30年前は悪戦苦闘したものだが、こんなのはへっちゃらになってしまった。自己流の癖を抜いて法規走行を覚える。
 18時20分、学科5。内容忘れた。
 19時20分、実地で鋭角初体験。これは2種免許特有のコースである。正三角形の頂点のような鋭い鋭角を走らせる。左に曲がる場合、クルマを出来るだけ右に寄せ、少々遅れ気味に左に大きく回り、切り返すのがコツ。事前の予想よりも上手くいった。
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↑鋭角コース
 20時20分夕食。量は少ないので、ファミリーマートに行き、お菓子を買い、ノンアルコールビールで初日を祝う。テレビは阿波踊りの中継をしていた。
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s-DSC_0014.jpg↑宿舎室内
 部屋の冷蔵庫は保冷庫という感じで、ほとんど冷えていない。有線LANのジャックはあるが、手持ちのスマホに接続しても何も起きなかった。

第2日 8月13日(火) 晴
 深夜暑さで目覚める。地球温暖化には逆行するが、エアコンはつけっぱなしにすることにした。
 7時30分、鳴門線教会前駅まで走る。「教会前」とはバス停のような駅名だ。駅前にあるのは天理教の教会だった。
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↑教会前駅
 8時、はじめての朝食。私が普段食べている量の半分くらいだ。
 9時10分、縦列駐車。田舎に住んでいてほとんどすることがないので忘れかけた技術だ。10時10分、学科。11時10分法規走行。14時10分学科。
 暑いので無性にアイスを食べたくなり、ローソンでラムレーズンを買う。ハーゲンダッツがなかったのでグリコを買った。近くのスーパーにはハーゲンダッツすらなかった。
 16時10分、実地展開復習。
 17時20分から2時間の学科。2種の学科は1種の4倍のスピードで進む。
 19時30分夕食。魚のフライ。とても量が足りないので、スーパーで買った菓子を食べる。
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 寮は安普請なので隣の部屋のアラームや話し声が聞こえる。隣はツインルームらしい。

第3日 8月14日(水) 晴
 6時30分起床。7時、2.5キロ離れた徳島空港まで走る。徳島空港は滑走路延長を機にターミナルビルが海側に移転し、旧ターミナルは空き家となっている。現在、免許センターに改装中である。
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↑改装中の免許センター
 9時10分、実地法規走行。同じことの繰り返しで飽きてきた。外周を回り、坂道発進、障害物を避けて、踏切停止。この時は窓を開ける。方向転回は右左両方。縦列駐車。自車の後ろが隣の車の後ろに差し掛かったら、ハンドルを左一杯に切る。自車の右後ろが後方車の右前に差し掛かったら、ハンドルをまっすぐに戻す。最後に自車の左前タイヤが前方車の右後ろに差し掛かるところでハンドルを右一杯に切る。縦列はもう大丈夫だ。鋭角はさっぱり外が見えず、空中に浮いているような状況でのハンドル操作でうまく行っているのかどうかわからないが、とにかく教官のいうようにハンドル操作をすれば切り返しは一回で済む。
 10時10分、学科シミュレーション。これで早くも第1段階の学科終了。
 11時昼食。3時限空いて時間があるので、卒業検定コースを自転車で走ってみた。暑かったし、ずいぶんややこしく正確にトレースできなかった。
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 14時10分頃戻る。部屋の掃除は終わっていた。どうやら12時から14時の間に掃除をするようだ。
 15時10分、第一段階唯一のシミュレーターを体験。30年前の自動車学校にはそんなものはなく、これは初体験だ。三菱製でブラウン管3面を使っている。ソフトはかなり古く、CGも今となっては過去のものだ。カーブのハンドル感覚が軽すぎる。一台1200万円もするらしい。高価なおもちゃである。それは教官も認めるところだ。
 16時10分、この教程で学内の課題を終え見極めとなる。小学生の計算ドリルをやるようなもので、そつなくこなして突破。
 17時20分から20時10分まで連続学科3時限。教材にDVDを使う。ディスクに傷があるところはもろに影響が出る。耐久性はビデオと変わらないのではと思ってしまう。デッキはほとんど世間で見ないポラロイド製。
 学科は教科書の順番と異なるし、重複しているところもあって、内容はぜんぜん記憶にない。試験に出ると言ったところはしっかりマークした。
 一緒に受けた人は大型2種。仕事の関係で中断し、久々に来たので車庫入れが上手くいかないと言う。
 帰りにペットのワインを買った。見極め突破記念という名目である。
 20時30分夕食。こんな遅い時間に食べると、2時間残業している頃を思い出す。
 祝杯のワイン。全然酔った感覚がない。
 23時00分頃寝る。

第4日 8月15日(木) 晴
 6時起床。気分的にはジョギングしたいが、今日は20時10分まで連続講習があるのでやめた。
 まずは9時10分から16時まで6時限連続学科。職業運転手として必要な救急介護の知識である。生徒は私の他に大阪から来た大型2種の男。あとは地元の普通2種の年輩の男2名であった。
 内容は1月に赤十字で受講した救命員と同様だった。昼前の講義はほぼ雑談だった。
 教官は自らの救護の体験を語った。
・エピソード1
教習中に自動車の接触事故に遭遇した。加害者の60歳の男性はパニックで連絡も出来ずタバコを吸っていたという。被害者は中国人で言葉が通じない。その中国人の働いている工場の人がやってきて何とか事情を理解したという。
・エピソード2
 その他にはサーフィンで波待ちをしている東南アジア人を溺死から救ったことがあるという。勇気を奮って口移しによる人工呼吸を吹き込んでみると、胃の中の滞留物が一気に口から吹き出し、その時偶然に息を吹き返したという。その人は留学生だったという。
・エピソード3
 自動車教習所は様々な人種がやってくる。大型トラックを運転手などは大体は堅気でないし、ヤクザや社会不適格者もやってくる。
 極めつけは暴力団の幹部が合宿で受けに来たことで、宿舎はリゾートホテルで秘書の運転するクルマで通学。授業態度はまじめで優秀だった。ただし卒業検定の日は教習所の周りに黒塗りのクルマがずらりと並び、まるで幹部が刑務所から出所してきたがごとくであったという。
・エピソード4
 社会不適格者では人の話も理解しているのか怪しいのもいた。教習原簿に3枚の紙を追加せねばならぬほど見極めを落ち、結局退学した。
・エピソード5
 他には合宿生で他の部屋に話をしたくて訪ねて来るのもいた。他の合宿生が迷惑になるので、母親に来てお引き取り願った。
・エピソード6
 面白いのは、21歳ぐらいの細い女性が大型2輪の免許を取りに来た話。彼女はSM女王で全身に入れ墨。身体は美容整形や豊胸で600万円程かかっていると自慢する。全部パパが出してくれるんだそうだ。しかし教習は思うように進まず、予定の日数を越えてしまった。するとある教官が彼女に口に含んだ水をかけられ、消火器を持って暴れ出した。どうやら持ってきていた覚醒剤が切れたらしかった。頭を七三に分けたパパが示談金を持って後始末しに来た。

 昼食は1時間で慌ただしい。
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↑お汁は昼も夜も毎日同じ
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↑宿舎食堂
 昼からは実習。すっかり本結びを忘れていた。一回結びで上になる方を持って、下から上に通せばいいことがわかった。解くときは流線型になっている方を引けば弛む。
 16時10分、今日から校外へ出る。運転免許は持っているわけだから、当然仮免ではない。従って、教習車には「仮免許運転中」ではなく「2種教程中」という看板になる。講習前に免許証所持を確認される。実技は検定ルート1、2。17時10分からは検定ルート3、4。
 効果測定の練習。パソコンで一問一答。得点は88点で2点不足で不合格だった。今は間違えた方がいい。
 19時20分からはシミュレーターによる悪路走行。座席が揺れて画面に酔って気分が悪くなった。
 スーパーで抹茶ムースを買う。少ない夕食を補うためだ。
 23時00分頃寝る。

第5日 8月16日(金) 晴
 4時に目覚め、6時30分起床。検定コースの一部を使ってジョギング。朝食はスクランブルエッグ。
9時10分、効果測定の練習。最後にようやく90点が出た。
 学科は6と4。これで学科は終了となった。最後の学科で教官がホワイトボードに「ABC」と書いた。実は真ん中のBの縦棒と丸が離れていて「13」なのであった。思いこみは事故の元ということだ。今まで何年もの間、車の飛び出したことのない路地でも今日は出てくるかもしれない。過去の実績は考えず、常に最悪のことを想定して運転しなさいということだった。
 再び効果測定の練習。
 13時昼食、魚フライ。13時30分頃ノックされた。部屋の掃除である。それが終わってから急いで洗濯して部屋干し。実は部屋では干せない規則になっているので、干すのは浴室内に限定した。
 14時10分からは複合教習。3時限に渡って、Sという感じの悪い教官の指導を受ける。ダメだしするのが彼の仕事のようだ。コメンタリードライブという、道路状況を口に出すのだが、これが案外難しい。最後はディスカッションルームでビデオを見る。今時珍しいVHSとブラウン管の組み合わせだ。スタントマンの演技が秀逸だ。
 プロドライバーである以上は確かな技術を持って仕事をしろと諭された。安全運転するにはどれだけ安全確認するかにかかってくるという。
 17時20分、効果測定のテスト。97点で合格。間違った問題は2問だけ。その問題は教えてくれるが、プリントアウトの持ち帰りはできない。
 18時20分、シミュレーターは夜間の運転。さくら町まで運転する。2回事故した。あんないきなり出てきたら避けようがない。最後は雑談になった。大型を取りに来ている子でエンストばかりしてバッテリーがあがってしまったという。普通ATからいきなり大型は無理だという。合宿免許では岡山と香川がかなり甘いという。この鳴門は厳しくしているという。
 20時30分に戻る。グーグルマップの位置制度が悪く、常に小鳴門橋が現在地となる。
 気持ちを落ち着かせるためワイン飲んで22時30分頃寝た。

第6日 8月17日(土) 晴
 6時30分起床。朝、外は曇っていたがやがて晴れた。
 朝食とデザートを食べて、9時10分実技教習。今回は坂道の体験で小鳴門まで走る。実に簡単なコースで快適だった。制限速度に注意しながら走った。昨日の配車簿を見る担当教官はあの厭なSと書いてあったのに、Oに変わっていたことだ。行を見間違えたのか。しかしSはいたし、この日の残りの講習は書いているとおりだったのだ。検定員になって欲しくないのはSとHだ。彼らの顔を見るといきなりテンションが下がる。
 10時10分に戻る。ここから14時10分まで自由だ。ジョギングと洗濯そして散髪に当てることにした。上手くいけば月曜日に免許の書き換えができるので、身だしなみを整えようというわけだ。
 ジョギングは散髪屋探しも兼ねて、国道沿いを走る。空港口のホテルで折り返す。ダイソーで買い物。
 最後の洗濯後、近所の「シック」という散髪屋に行ったのは12時。怖そうな顔をした大将だ。食事中であった。スポーツ刈を頼む。座席をテレビの方を向けてくれるが、見たくないバラエティ番組だった。鳴門高校の試合になる頃に高校野球に切り替えてくれた。料金は3500円。和歌山より500円安かった。
 14時10分、今日も検定コースを走る。H教官は宣言通り厳しくしてきてくれた。この人は性格はやや悪いが、野球の話をすると乗ってくる。
 15時10分見極め。優しいK教官だから、突破は確信している。縦列駐車が意外と手こずり4回ほどやり直した。教官はポールの位置でハンドルを切ることを提案。不安を残す結果となった。
 その他、ドアミラーに隠れた歩行者が見えず横断歩道を一時停止しなかったこと、クルマの左寄せが30cmとすべきところが開きすぎていたこと、及び縁石にはタイヤを乗せないこと。発進時の指示器と左右の確認。そして巻き込み確認、進路変更3秒後の目視確認、カーブ走行時の揺れを回避、停車位置が停留所10m、踏切10m、交差点5m、出入り口3mを避けること。最高速度に注意すること。停車位置をずれないこと。ほんとに実にたくさんポイントがある。考えれば緊張してしまう。
 卒業検定申し込み後、スーパーで菓子を買い込む。
 19時夕食。0時30分頃寝る。

第7日 8月18日(日) 晴
 7時起床。7時30分に朝食。部屋であんみつとコーヒー。 今8時40分、チェックアウトまで2時間。検定開始まで3時間だ。緊張が高まってきた。
 9時40分、電話が鳴ってチェックアウトを促される。荷物をまとめて背負って教習所へ。荷物を殺風景な第2休憩所に置く。
 11時、宿舎に昼食を食べに帰る。海軍のようなカレーライスであった。
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12時00分、教室に集まる。全員で18名いる。普通2種と大型と二輪のそれぞれ1名を除き、普通1種の若い子だった。
 元警察署長という校長の持ってきたボードを見て戦慄した。私の担当検定員はあのSだった。この時点で悪い予感が走った。
 検定が始まるまでも不安が一杯だった。3コースは覚えにくくて苦手な上に、場内は昨日失敗した縦列駐車に、さらにハンドルを切るポイントが助手席側にあって見えにくい左鋭角だ。
 13時00分検定開始。後ろに監視役の事務員が乗る。縦列駐車と左鋭角は完璧にできた。
 しかし3コースの最初に曲がるところを間違えて、落ち着きをなくし、横断歩道に人がいるのを見逃す失態を演じてしまう。
 もうコース間違いはできないので、検定員に「次は左に曲がるのですか?」と聞くと、「あなたの得点はなくなりました。まっすぐ進んでクルマを停めて下さい」といわれた。
 つまり完走できず途中終了。もちろん不合格である。
 歩行者保護に失敗したのが敗因だった。
 失意のうちに待合室で過ごす。時計は14時を過ぎていた。卒検補修講習は15時10分に始まる。教官は無口ながら相性のいいO。検定は3コースだったというと、次は間違いなく1か2だということで、2コースへ。今回は完璧と思ったが、まだ速度超過と未確認と寄せの甘さがあったという。
 「はあ~」ため息をつくばかりでショックだ。友達にメールを打ちまくって慰める。
 宿舎に再度チェックイン。部屋は別になる。部屋の電球が切れていた。
 さて検定は火曜日だ。会社には月曜日の休暇はもらっていたが、火曜日はやっていなかった。職場の上司に火曜日を休む旨を連絡。実は検定に落ちれば、火曜も休むかもしれないと言い含めてあったので、スムースに事が運んだ。
 全くのフリーになる明日月曜日に何をするかを決める。自転車で遠出するのが一番安上がりなのだが、疲れることはしなくない。
 検討の結果、南海フェリーのガイドブックに載っていた奥祖谷観光周遊モノレールに乗りに行くことにした。ここにいくには鉄道とバスよりもレンタカーの方が有利であることがわかった。車に乗る練習になるというメリットもある。
 トヨタレンタカーのサイトにアクセスするとエラーになってしまい、徳島空港店に電話で予約する。
 18時10分夕食へ。延泊になっても料金が変わらないは合宿のいいところだ。夕食はちょっと水っぽい牛丼だった。
 悔しいのでお酒を飲んで忘れたい。自転車でローソンへ走り、ビールとからあげクンを買う。
 風呂に入って一杯。家に電話する。
 23時頃寝る。

第8日 8月19日(月) 晴
 6時30分起床。洗濯物がカビ臭い。部屋干しのせいだろう。
 部屋の電球が切れている旨を伝えてから外出。電球は帰ってからも直っていなかった。
 自転車でトヨタレンタカー徳島空港店に着いたのは8時10分。薄茶色のカローラアクシオを借りた。店員はこの夏は事故が大変多く、壁の「無事故連続記録0日」の字を指して昨日も起きたといっていた。払うつもりのなかった自己負担の分の保険も支払った。確かに四国の道は隘路だ。
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↑トヨタレンタカー
 8時30分、奥祖谷を目指して出発。今日は高校野球準々決勝4試合である。ラジオは朝日放送が入る。地元鳴門高校が第1試合。花巻東と対戦。惜しくも敗れた。
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 国道11号線から徳島道へ。現在四国横断道との接続工事中だ。徳島道は基本対向2車線だ。時々追い越し車線か登坂車線がある。非常待避地は多い。4車線にするための準備はなされているようだ。ただし今後の交通量を考えると2車線で十分である。
 美馬ICで降りて国道438号線を南下し剣山を目指す。道は対向も難儀なほど狭い。平日で交通量が少ないのが救いだ。しかし和歌山でもそうだが、山の中で突然に立派な道が現れたりする。剣山スキー場の横を通る。
 剣山の程近くにはリフトがある。観光向けの集落もある。ここを300度回頭して国道439号線を西進。
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 1128目的地の「いやしの温泉郷」「奥祖谷観光周遊モノレール」に着いた。距離は120.1km。備え付けのナビはなかなか賢い。これに比べるとグーグルナビはおもちゃと断言できる。
 さっそくモノレールに乗る。このモノレールの存在を知ったのは、フェリーに置いてあった徳島県観光案内だった。
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↑不思議なモノレール
 モノレールには駅舎なるものがある。運賃は1500円。しかしあくまでこれは遊園地の豆汽車と同じなのだ。車両は大人2人乗りのゴンドラが随時発車する。子供向きなのでカブトムシの角が前についている。
 ゴンドラは65分で一周する。途中停まらないので先にトイレに行くように推奨される。
 椅子に座るとまもなく左足首に激痛が走った。なんと椅子の下に蜂が隠れていたのだ。係員は手で摘んで逃がした。珍しくないのだろう。
 ゴンドラはいきなり下る。下ると座席は上向きになる。どうやらゴンドラの角度によって自動的に決まるらしかった。動力は三相交流モーター。一本のレールの裏にはラックがある。アプト式のようだ。ゴンドラには無線機と非常停止ボタンがある。ボタンはペットボトルの底でカバーされている。
 ゴンドラは殺風景な雑木林を進んでいく。木の名前を書いた標識があるだけで、木に関する解説はない。台風で切り倒された木が並び、荒れた印象がある。景色がいいのは頂上の一瞬だけ。森林浴にしてももうひとつすがすがしさがない。退屈な道中だ。鉄道ヲタクは足を運ぶだろうが、一般客からみるとあまり魅力がないので再訪者は望めないだろう。いっそ鉄道事業法に基づく鉄道にした方がいいかもしれない。
 ゴンドラは10台ほどすれ違った。平日にしては客が多い。
 温泉に入り、レストランでそばを食べた。
 13時39分に撤退する。来た道を戻るのも面白くないので、帰りは国道438号線を東進することにした。しかし剣山から東が通行止めになっていて断念。結局来た道を戻ることになった。
 美馬の薬局で蜂にさされた場合の薬を買った。割りと高いのを勧められた。
 ラジオを聴きながら高速道路。試合の合間はスマホのFMトランスミッターで音楽を再生。音が決定的に悪い。これは使い物にならない。
 17時には鳴門に戻った。しかし返却時間はまだあるので、卒業検定のコースを練習。どうしても確認を忘れるときがある。何回も練習するのだが忘れてしまうのだ。
 空港周辺の住宅街を通って再び練習。もうやることはやった。
 返却は18時30分頃になった。
 自転車でローソンに寄ってから宿舎に戻る。夕食はトンカツだった。
KC4A0101.jpg「明日はカツぞ」と思いながら、23時頃寝た。

第9日 8月20日(火) 晴
 6時起床。
 7時にジョギング。もう私は今回の卒検合格には神頼みしかないと思った。したがってこの日は近所の神社に参ることにした。まずは一番近い八坂神社へ。もちろん誰もいない。合格を祈願。続いて北に向かったところにある稲荷神社へ。そしてそこから東に行ったところにあるもう一つの八坂神社。合格祈願。私が神頼みするのはほとんど初めてで記憶にない。
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 シャワーして、8時過ぎに朝食。
 10時前に管理人が買い物に行くということで鍵を回収に来た。
 何としても今日は合格しなければならない。これ以上会社を休む延泊は無理なので一時帰宅となる。誓約書によると延泊料金はこちらで払うことになるらしい。すると通学できる塩屋自動車学校に転校することも考えないといけない。考えられないような出費が発生してしまう。
 10時40分、不安の中宿舎を後にする。一昨日と同じように休憩室に荷物を置く。ゲンを担いで前回とは置き場所を変えた。
 11時15分昼食の為に宿舎に戻る。
 緊張の中、担当検定官の発表。普通二種はHY氏、コースは1だった。コースはもっとも得意で、HY氏は禿頭のもっとも緩い教官だ。よほどのヘマをしない限り大丈夫だろう。
 それでも検定の始まる13時05分までは緊張して何度もトイレに行った。
 13時10分検定開始。右方向転換と左鋭角は完璧だった。路上に出る。最初は前に教習車が走ってくれたので、それについていく感じで楽だった。遅い原付にイライラさせられたが、制限速度に近い速度で走ることに気を使うこともなく、かえって助かった。
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 横断歩道に2回人影を見かけ、見事に一時停止。指定場所の4回の停止も完璧だった。というか4つ目は教官が忘れていたらしく、コースの最終盤であった。判定も緩かった。結果5点の減点だけで合格した。
 終わってみればあっけなかった。
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 帰りは教官と雑談。徳島のおみやげは何を買いますか?と聞くので「金長まんじゅう」と答えた。教習所をストレートで合格した奴はたいがい大きな事故をするという。それは私への慰めだろうが、実際そうであるような気もする。彼はまた大型2種を取りに来て下さい、と営業を忘れなかった。地方の教習所はどこも経営が厳しい。教官にボーナスが出たのは盆休みの差し掛かったところだったという。
 卒業式前に記念撮影。若い女の子と一緒なので少し嬉しい。
 学校から交通費が支給される。和歌山市からはフェリー代の往復4000円のみだ。最大2万円まで支給されるという。
 卒業式は所長と大型2種合格者の2人と一緒。ようやく解放されて15時10分に重い荷物を背負って出発。帰りの方が重いので自転車のバランスをとるのも難儀だ。土産の金長まんじゅうを買ったファミリーマートで、荷物を送ってもらえるように頼んだが、袋に入っていないとダメということだった。セブン-イレブンでも同様だった。仕方がないのでそのまま徳島港を目指すことにした。和歌山行きフェリーの次便の出航は16時30分なのであまり時間がないのだ。
 港に着いたのは16時15分。フェリーかつらぎが待っていた。ちょうど自転車の積み込みが始まったところだ。最初に乗船したので、机のあるビジネスシートを確保できた。
 家に帰宅時間を連絡。どうしたことか船内の自販機には炭酸飲料がないのでノンアルコールビールを飲む。
 船内はお遍路さんや帰省客で往路程でなくても混雑していた。
 自転車の退船は最後の方だった。暗いデッキで待つのは退屈だった。
 19時頃帰宅。ビール付きの夕食で家人に凱旋報告する。
 今回、合宿で体験した鳴門自動車学校についての印象を記しておきたい。こういう教習所の教官は厳しいことをいうのは何人かいる。おそらくどこでもそうだろう。しかし全ての教官が大甘だったたらどうなるのだろう。自ら運転する時に事故が増えることはないだろうか。自動車事故の不幸なのは、自分が傷つくことよりも、他人を傷つける方が多いのである。だから全ての教官が厳しいのは、つらいものがあるが、数人ならば許容するべきだろう。この鳴門自動車学校はそのレベルだと思う。合宿の食事は貧弱である。しかし近くにコンビニエンスストアーとスーパーがあるので、必要ならば買い出しに行ける。ホテルと違ってタオル類の洗濯をしなければならないのが面倒であるが、それは仕方がないだろう。総合点としては80点。大型2種を受ける機会があればここにしようと思う。

最終決戦 9月2日(月)
 まだ戦いは少しだけ残っている。免許センターが実施する学科試験に合格しなければ、免許が取得できないのである。これは1種免許も同様である。
 会社は半日有給休暇を取り、昼から免許センターに向かう。幸い会社は免許センターの近くにあり、12時半に仕事を終えても、午後の試験に間に合う。
 筆者の場合、県外の自動車学校を卒業したので、事前に事務所に書類を持ち込む必要があった。
 書類を2通書いて、県の証紙を貼る。まずは適性検査。中型以上と2種免許には深視力検査が科せられる。担当官に「手前すぎる」と指摘され、5回のチャンスで合格した。
 試験を待つ。教室には1種が25人。若い人が中心。しかし運転免許が欲しい人は実に幅広く、試験の説明中も机に伏せて寝ている風俗嬢から、免許取消から再挑戦してきたようなオッさんまで様々である。
 バイクは2人。2種免許は7人だった。
 マークシートの回答紙が配られる。漢字記入欄というところがあり、ここには試験官が発する言葉を漢字で記入するのだ。今回は「信号機」だった。簡単な漢字だが、オッさんはわからなかったようである。このオッさんは視力検査の時でも「この色は何?」と聞かれ、「上」と答えていたので、本来は運転させるべきではないかもしれない。
 試験が始まった。問題は使い回しで、汚すと不合格になる。自信がないのは8問。仮にこれがすべて間違いだったとしても、合格点の90点には達する。合格を確信した。途中退室はできないので、何回か見直した。
 あとは合格発表を待つばかり。1種は受験者の半分くらいしか合格していなかった。30年前に比べると合格率が落ちているような気がする。今の子はスマホにハマって、勉強をしなくなっているのかもしれない。
 続いて2種の合格者を発表。電光掲示板には筆者の受験番号002が輝いている。合格だ。しかしガッツポーズはもちろん、拳を握ることもしなかった。ただ7人の受験者はいたはずなのに、合格したのは筆者だけとはどういうことだろう。一発試験では先に学科を行う。運転経験のある者でも、何の勉強もしなければ、合格はしない。おそらく今回の受験者は自動車学校卒業生ではなく、一発試験なのだろう。
 その後、試験をした教室に戻り、免許申請用の書類に記入。写真撮影して、免許を手にしたのは17時前だった。
 これで9泊10日の合宿と半日の戦いは終わった。教習では体調管理と安全確認の徹底が事故防止につながると、教官やビデオ教材が繰り返し述べた。この教習後、安全確認の回数が増えたし、運転がうまくなった気がする。被害者よりも、重い十字架を背負う加害者になるのはゴメンだ。初心に還って、安全運転を心得、結果として無事故運転が出来れば、高い費用のかかった合宿免許取得は意義のあるものとなるに違いない。そう思うことにした。
終わり
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