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トワイライトエクスプレスに乗ってきた [鉄道]

 2013年11月のある日、自宅でくつろいでいると、上野ー青森間を走る寝台特急「あけぼの」が来春に臨時列車化するとのニュースを目にした。それは予想されたところであったが、次のニュースには遂にそうなるのか、という思いであった。

トワイライトエクスプレス再来年春廃止。カシオペアも廃止へ。

 大阪から札幌まで運行するトワイライトエクスプレスは、再来年の春に北陸新幹線の開通すれば金沢ー直江津間の経営がJR西日本から切り離されると、運賃収入が半分に減ってしまうので、その廃止は十分あり得た。1989年からの運行で車両も老朽化しているからだ。しかしカシオペアはまだ車歴も10年を越えたばかりである。それまで廃止するとはどういうことかと怒りを覚えた。
 カシオペアはともかく、とにかくトワイライトエクスプレスに乗りたくなった。廃止日が近づけば、チケット入手が難しくなるからだ。
 ところでトワイライトエクスプレスは大阪から札幌に向かう下りの方が人気がある。
 第一の理由は後方を眺望できるスイートルームが下りの場合しか最後尾にならないからだ。札幌から大阪に向かう上りは、逆編成になる五稜郭と青森の間を除いて、機関車の直後に連結される。鉄道ファンでもあのDD51とかEF81といった機関車のグロテスクな顔を見続ければ嫌気がさすだろう。五稜郭ー青森間こそ真後ろに連結されるが、そこは青函トンネルの闇の中を走るので、そこは別に眺望など必要のないところだ。スイートルームのある車両を転車台にかければ問題は解決するかといえば、そうではなくて、そうすると、スイートルーム以外のロイヤルルームが、日本海を背に山側を向いてしまう。JR西日本とては苦渋の決断だっただろう。ただこの問題は,スイートルームの切符が入手できた運のいい人たちでなければ関係のない話だ。
 第二の理由は下りの夕食時は羽越線北上中で、ちょうど日本海の夕陽が沈む頃で、「トワイライト」にふさわしい時間帯になるのに対して、上りは登別から函館に向かって走行中なり、眺望が格落ちになる点だ。
 第三の理由は、下りは大阪出発直後に食堂車がランチタイムで本格的な食事ができるのに、上りはティータイムでスイーツぐらいしかないことだ。
 このように下り重視のトワイライトエクスプレスではあるが、上りには下りにはない特典もある。まず、JR北海道のウェブサイトで空席状況を確認できることだ。ただし確認できるのはBコンパートメントに限られる。
 二つ目は北海道の大地を見ながらティータイムがあること。ランチのような本格的な食事はできないと前述したが、逆に懐には優しいといえる。
 三つ目は下りに比べ乗車時間が長い点だ。トワイライトエクスプレスは日本一長い距離を走る列車だ。ただ走る線路が微妙に異なるため、下りが1495.7km、上りが1508.5kmとなっていて、下りの運行時間は22時間なのに対して、上りは22時間50分を要する。その中でも長い時間の方に乗れるのは正真正銘の日本一で、これはお得な感じがする。
 四つ目は敦賀-近江今津間のループ線を通ることだ。これは上り線にしかループ線が存在しないから、より長い距離を走る。よって数分時間を要するのだが、走った来た線路を真下に望むループ線を体験できるのは、これもお得感がある。
 五つ目は敦賀での機関車交換が見れることだ。もっともそのおかげで乗車時間が長いのだが。
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↑上りの方が距離が長い理由1(函館付近)
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↑上りの方が距離が長い理由2(敦賀付近)
 下りの入手難は予想できたので、JR北海道のウェブサイトを確認して上りの空いている日を探した。その結果12月6日の土曜日に出発することにした。
 近所のみどりの窓口に並ぶ。まずはA寝台ロイヤルを依頼。結果は満席。次にB寝台のソロを依頼。個室に越したことはない。ここも満席だった。仕方がないのでB寝台コンパートメントにした。コンパートメントといっても、4人部屋に簡単なドアがあるだけで、昔ながらの開放式寝台と変わらない。当然、鍵もかからず、無防備性も抜群だ。こんな代物が6300円もする。東横インなら場所によるが5000円でそこそこ快適で朝食までついている。寝台特急の客が減るのは当然である。
 同室になる人がどんな人かわからないが、まあいいだろう。どうせ鉄道ヲタクだろうが、そうした人と話をするのも悪くない。
 ただし、夕食は12000円もするフランス料理のフルコースディナーを奮発する。さらに飲み物としてワインを飲むことになるから、より高くつくことだろう。食堂車で食事するにはこのディナーにするしかない。しかも3日前までにみどりの窓口でディナー券を購入する必要がある。材料の無駄をなくすため、これはやむを得ないだろう。
 そうこうするうちに、会社の業務の都合で前日の金曜日も休めることになった。そこで朝一の飛行機で札幌に飛び、有名な旭山動物園に行き、登別温泉に泊まることにした。

第1日 12月6日(金)
 平日の関西空港快速。通勤客が多くて満員だった。
 家のパソコンから印刷したEチケットのバーコードでチェックイン。航空の世界ではもはや乗客がIT機器を持っているのが前提になっているようだ。
 池上彰の「日本の選択」という本を買って、8時00分発の全日空1711便に乗り込む。機材はB737-700。ほぼ満員である。
 8時10分南に向かって離陸。神戸空港、甲子園球場、大阪空港を眼下に望み、8時20分には琵琶湖を目にした。ここからは雲の上を飛び、本を読んでいると、あと10分で着陸態勢に入りますとのこと。なんと飛行機は速い。
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↑苫小牧上空
 9時38分に千歳空港に着陸。気温3度のアナウンス。駅で「旭山動物園きっぷ」を買う。7900円。札幌しか途中下車ができないが、普通乗車券と特急券より2000円は安い。
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↑新千歳空港駅へ降りる
 10時19分発の快速エアポートに乗る。発車まであと20分はある。駅をたむろしていると、5両編成の列車はたちまち満員となった。快速といっても札幌から先は特急スーパーカムイとして運転されるので、特急用の車両である。札幌で向きを変えるので、座席方向に迷う。前の人が方向を変えたので進行方向に座ることにした。
 外の天気は晴れ渡り、日陰に雪が残っている。北広島では立席も出る。
 札幌着。前後のお客様とお話の上、座席の向きを変えて下さいとのアナウンス。
 岩見沢を過ぎると銀世界となり、太陽もどこかに消えた。
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 12時25分旭川着。旭川駅に来るのはほぼ20年ぶり。木材を多用した洒落た駅舎に改装されていた。壁材の木材に寄付者の名前がローマ字で書かれている。
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↑旭川駅構内
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↑壁材のネームプレート
 道路に雪が積もっている。雪も降っている。昼食は軽くファーストフードですます。
 旭山動物園行きのバス停は西武百貨店の東にある。屋根のあるところに人が集まってる。
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↑動物園行きバス停
 13時8分、20人の客を乗せてバスが発車した。旭川電気軌道のノーステップバス。地元の利用者、それも区間利用者も多い。雪国は歩きにくいし、自転車も使えないし、クルマも不安だし、バスやタクシーの需要が高いのだろう。
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↑バス到着
 バス停は○○十条四丁目という感じ。計画都市の多い北海道ならではである。
 急に近代的なテーマパークみたいな建物が近づいたら、そこが旭山動物園だった。平日なのでカラガラ。雪も降っている。13時46分着。
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 まずはペンギン館へ。陸上では寒いせいか動きが悪い。ただし水中では活発だ。客は中国人が多く、半分はそうみたいだ。マナーは良さそうだから台湾人か香港人かもしれない。
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 次にアザラシ館。行動展示の原点。旭山動物園の最大の目玉。縦のチューブ内をアザラシが上下に動く。実際、これが一番おもしろかった。いい動画が撮れた。反面、静止画はいいのが撮れなかった。

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 ホッキョクグマは同じ動きしかしないのでおもしろくない。タヌキも同様である。
 チンパンジーを見ていると、「蛍の光」が流れ、閉門10分前の放送。オランウータンは見れなかった。
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 あわてて土産物の熊のマスコットを買い、15時30分過ぎに退園。
 帰りのバスは16時00分発。途中の利用者も多く、車内は満員となった。
 16時40分、旭川駅到着。海鮮丼のような駅弁を買って、16時55分発の特急スーパーカムイに乗る。指定席のUシート以外はほぼ満席だ。
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 駅弁を食べると眠たくなった。札幌からは快速となる。客が入れ替わり、通勤電車となる。
 南千歳に5分遅れの19時5分着。旭山動物園きっぷはこの南千歳までなので、ここから登別までの乗車券と特急券を買う。2380円であった。
 特急すずらんは思ったよりも利用が多い。労働問題の本を読んでいる女性の横に座った。苫小牧を過ぎると乗車率は半分になった。
 20時00分登別着。凝った駅名票があったりして観光客を意識しているが、駅の営業は19時30分で終了して無人化している。
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↑登別駅
 登別温泉行のバスは実に接続よく20時04分発が停まっていた。ありがたい。3名の客を乗せて出発。途中、中登別で一人乗っていた。20時10分、BGMが流れ、厚生年金病院を過ぎると登別温泉バスターミナルに着いた。運賃は330円だった。
 登り坂の商店街を歩く。土産物店はまだ開いている。コンビニエンスストアーも2軒。中国人がたむろしている。セブン-イレブンで部屋飲み用の酒とさきイカを買い込む。少ないながらも居酒屋やスナックもある。ターミナルから歩いて5分のところに今夜泊まる滝本インがあった。
 酒を飲む前に、風呂に入りたい。滝本インは有名な第一滝本館の廉価版ホテルで本館の向かいにある。
 部屋は暖房が利いている。温泉地なので部屋に蒸気パイプが通っている。このホテルの1階にも浴場があるのだが、ここはなんとしても第一滝本館に行くべきだろう。浴衣に着替えて出発。たださすが冬の北海道で浴衣掛けでは寒い。
 浴衣を着ているだけで、何のチェックもなく、エスカレーター2本とエレベーターで大浴場にたどり着いた。これなら上着さえ脱いでいれば、怪しまれなくタダで温泉に入れるであろう。
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↑第一滝本館館内
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↑男湯入口
 ロッカーは貴重品のみで無料。タオルは部屋のを持ってきたが、ここにも備えられているし、バスタオルもある。脱衣は籠に置く。
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↑脱衣場のロッカー
 1300坪という敷地に10種類ほどの温泉がある。どの湯もすばらしい。おもしろいのは歩行湯であろう。プールもあるが水着を持ってきていないので入れない。
 ホテルに来る前に買った酒では足りないと思い、Seice martという北海道限定のコンビニエンスストアーで唐揚げと氷結を買う。
 買った日本酒はあまり美味しくなかった。
 23時頃寝る。

第2日 12月7日(土)
 6時40分起床。酒を飲んだ割にはよく眠れた。
 7時00分過ぎ、このホテルの1階にある大浴場に向かう。誰もいなかった。夜の利用者も数えるほどみたいだ。宿泊者は本館の大浴場に行くから当然である。
 泉質は同じなのでのんびりできてよい。ただし湯温がやや低い。
 7時40分、2階レストランで朝食。和洋折衷のバイキング。すでに10人くらいの先客がいた。昔ほどがっつり食べられない。それでも鮭と納豆にご飯、シリアルにコーヒーを平らげた。
 再び本館の大浴場へ。中国人のツアー客でロビー前はごった返している。
 朝風呂は外の景色が見える。外からもこちらがみえるだろうが、おそらくこちらのあれも見えるのではないか。
 温泉の源泉らしき地獄谷が見える。まるで火山の噴火口みたいだ。
 露天風呂にある「金蔵の湯」というのが一番良かった。
 9時30分に風呂をあがり、出発準備。
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↑滝本イン外観
 ホテルのシャトルバスに乗る。わずか500円で札幌まで送ってくれるのだ。このホテルを選んだ理由のひとつでもある。高速バスの半分以下、JRの3分の1だろう。ただし、バスは満員で私が乗ったときには3席しか空いていなかった。ただ予約制なので乗りはぐれることはない。定刻も3分前、9時57分にバスは出発した。お客は団体客のようにも見える。
 10時45分、名の知らぬ殺風景なPAに到着。自販機に非常用の手回し充電器が備えられている。
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↑シャトルバス
 11時45分、札幌駅に到着。
 まずは腹ごしらえ。駅ビルとなっているJRタワーの6階へ。麻ほろラーメンという数量限定ラーメンを食べる。外で5人ぐらい待った。あっさりとこってり。こってりを選んだ。麺は堅くそれほどの特徴はなかった。980円。
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↑麻ほろラーメン
 次にJRタワーの展望台にあがる。700円。想像以上にいい眺めだった。私としては札幌競馬場と札幌ドームが目を引いた。スマホのパノラマ撮影を多用した。
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↑札幌競馬場を望む
 窓に向かってソファーがある。読書や勉強している人がいる。有料の客なので文句はない。
 男子トイレもガラス張りだ。しかしこれは初めてではない。韓国か台湾かどこかで経験した。
 次はお土産購入。北海道といえば「白い恋人」が定番。しかし筆者は六花亭だ。バターサンドを買い込む。
 そろそろトワイライトエクスプレスの出発時間だ。みどりの窓口でまだ買っていなかった、和歌山までの乗車券を買う。ダメもとで個室が空いていないか確認。なんとロイヤルA寝台が空いているという。価格差は約1万円。3秒ほど考えて、Bコンパートメントから変更することにした。B寝台券はクレジットカードで買ったので、和歌山で組戻し手続きを取ることになる。つらつらと考えてみると、オークションで高値で売るつもりが、売れなかったので払い戻したのではないだろうか。
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↑奇跡的にA寝台をゲット
 13時50分、札幌駅4番線に上がる。トワイライトエクスプレスはまだ入線していない。しばらくすると重連のDD51に牽引された緑色の客車が入線してきた。動画撮影に余念がないのは私だけではない。特に機関車をバックに撮影しているのは多い。私もセルフタイマーで撮りたかったが、ひっきりなしに人が現れるので諦めた。
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↑函館まではディーゼル機関車
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↑サロンカーのエンブレム
 さて、私のロイヤルA寝台は1号車の後ろの方の5号室である。3畳ぐらいの狭いスペースにソファー兼ベッド。スイッチ一つでソファーがダブルベッドに変身する。小さなクローゼットとシャワールーム。シャワールームには洗面台とトイレもある。これに乗るのは最後の機会だと思うので写真を撮りまくる。
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↑A寝台ロイヤル室内
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↑テレビの上にはドライヤーがある
 筆者が設備についてくどくど説明するより「ほどちゃんの島 - 寝台列車」を見ていただく方がいい。おそらくこのサイトを見れば、日本の寝台列車の知識は完璧だろう。(残念ながら閉鎖されたようです_| ̄|○」)A寝台個室ロイヤルはこちら。

http://hodo.travel.coocan.jp/s/burutore/twex/royal2/index.htm
 
 14時5分札幌駅出発。出発後、ウェルカムドリンクとしてワインが振る舞われる。
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↑ウエルカムドリンク
 15時00分、ティータイムで食堂車へ。私を含めて客は3人だけ。クラフティとミルクティーを賞味。
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 ラウンジカーを覗いてみる。全席日本海側を向いていて、すばらしい眺望だ。ちょうど有珠山が見えてきた。他の寝台も覗いてみる。B個室は満員のはずなのに半分しか埋まっていない。洞爺あたりで乗り込んでくるのだろうか。Bコンパートメントに至っては、8割以上空いている。これでは1部屋独占できる。
 部屋に戻り、スマホで遊ぶ。
 17時30分、食事の用意ができたとのこと。食堂車へ。12000円のフランス料理ディナー。事前の予約が必要である。私以外に2組の客。モヒカン刈りなどしているが、富裕層とお見受けした。
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↑鴨のフォワグラのテリーヌ リンゴのコンポートとポルト酒のゼリー添え
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↑ベーコン風味の冬かぶらのスープ
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↑メルーのオーブン焼き 根セロリ風味
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↑黒毛和牛のステーキとトリュフを使った付け合わせ二種
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↑生姜とパイナップル、ココナッツのアンサンブル シャンパンゼリー、生姜とパインのシャーベット、ココナッツのムースとダクヮーズ
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↑ミルクティー
 飲み物は別で、シャンパンが1200円とワインが800円。いずれもグラスである。
 アホみたいに高い料理だが、確かに美味しかった。
 再びラウンジに行ってみる。見知らぬ客同士話をしている。コンビニかスーパーで買ってきた刺身を食べている強者もいる。リピーターならそういうやり方もあろう。たしかにあのディナーは生涯一度で十分だ。
 部屋に戻る。自慢げに「今トワイライトエクスプレスのロイヤルA寝台に乗っている」とメールを連続送信した。
 五稜郭で機関車の付け換え。上り列車はここから青森の間のみスイートが最後方となり、スイートルームが後方の視界を楽しめる。それ以外はずっと機関車を見続けることになる。鉄道ファンならともかく一般人には耐えがたい難業だろう。本来なら転車台に方向転換すべきだが、そうするとロイヤルルームが山側向いて走ることになる。解決策は電源車の一部をスイートにするしかない。
 19時45分、青函トンネルに突入。当たり前だがトンネルは景色がないので面白くない。吉岡海底駅を通過しているのと、最深部を示す青い光だけわかった。20時00分最深部を通過。
 20時42分、機関手交代のため停車。何故かアナウンスは運転手と言っていた。
 21時00分、パブタイムで食堂車へ行く。少々混んでいて4人席へ座った。ソーセージとプレミアムビール。それぞれ900円と600円。ちょうど青森駅に停まっていた。やはりせっかく食堂者に乗っているのだから、走っているときに食事しないと雰囲気が盛り上がらない。意識してゆっくりと食べた。やがて隣の2人席に妙齢の女性が座った。声をかけるには距離がありすぎる。彼女は明らかに退屈している。
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↑ソーセージとプレミアムビール
 部屋に戻りシャワーを浴びて、ベッドメイクする。ちょうど真ん中に段差がある。枕を一番上にしても足が壁に当たる。ちょっと長さは不足か。
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↑ベッドが完成
 23時10分、ベッドの上で大瀧詠一氏の名作「さらばシベリア鉄道」を歌う。個室っていいね。しかし、まさか、大瀧氏がその年の年末に亡くなるとは、その時は思いもしなかった。
 0時00分頃寝る。


12月8日(日) 曇
 3時50分頃目が覚めた。列車は新津の手前だ。ここで最初の停車となる。こんなところで降りる客はいないだろうが、その理由を知りたい。
 そこからわずかに眠っただけで、6時30分前「おはようございます」のアナウンス。直江津到着。ここからJR西日本の管轄となり、車掌も沿線案内に熱心となる。
 朝のシャワーを浴びる。シャワーの利用時間は20分と制限されているが、まだ15分は残っている。
 7時30分、朝食のため食堂車に行く。1575円の高級フランス料理だ。パンはしっかり食べた。ここでコーヒー2杯を飲み、さらに部屋に戻ってからも運んで来てもらった。コーヒーはポットに入れて部屋に持ってきてくれる。胃は荒れているだろう。
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↑最初はこんな感じ
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↑これがメインディッシュ
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↑デザート
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↑ルームサービスのコーヒー
 8時50分、梁の鉄骨が無骨で薄暗い金沢駅に着いた。もういつでも新幹線がやってきても大丈夫だ。もう線路もひかれているように思える。
 8時57分、読売新聞の販売アナウンス。我がロイヤルクラスは無料で振る舞われる。一面は「秘密保護法成立」である。国民の知る権利が奪われるとの論評が多いが、これからの日本は外交面で勝負しなければならない。そこで重要な秘密が漏れるのは得策ではない。したがって私は基本的に賛成であり、この成立は近隣国へのメッセージとなるだろう。
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↑この日の朝刊
 ウンコをしたくなって5号車に向かう。部屋にもあるのだが、小便が跳ね返るほどチャチな便器なので、ここは本格的な洋式でしたくなったのだ。
 それを終えたのは9時30分。ちょうど食堂車ではスタッフが食事をしていた。パスタを食べていた。厨房が3人、給仕が4人である。
 その後ちょっとしたハプニング。自分の部屋で1号車5だと思って、カードキーを挿入すると、別の家族がいた。そこは2号車5だったのだ。あわてて何も言わずにドアを閉めた。カードキーには何も書いていないし、こうしたミスは自分だけではないはずだ。
 10時24分、北陸トンネルに突入。10時36分敦賀着。ここで降りる。機関車の付け換え。もうカメラのバッテリーは切れる寸前だ。このカシオのカメラは補正技術はすばらしいものがあるが、操作性とUSBジャックが独自なので、充電に専用ケーブルが必要という難点があるのが残念だ。
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↑機関車交代
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↑スイート車が姿を現した
 車掌の疋田ループ線の解説。一部録り逃がした。伊吹山が薬草の産地としても有名とのこと。知らなかった。
 11時40分、琵琶湖畔と屏風のようにそびえる比良連峰を通る。そこを過ぎるとなんだか曇ってきた。
 12時00分大津京でサンダーバードに抜かれる。芦原温泉に続き本日2回目である。トワイライトエクスプレスは速く走るのが能ではないのでこれでいいのである。
 睡眠不足なのに眠気を感じないのはコーヒーのせいかトワイライトに興奮しているのか。
 新大阪は東側にできた新ホームに移行している。
 12時54分35秒、定刻の12時53分よりわずかに遅れて大阪駅に到着。トワイライトに縁のなさそうな人たちがカメラの放列。私も負けじとまだバッテリーが健在な携帯電話のカメラで撮影。
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↑大阪駅に到着
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↑カメラの列が待ち受ける
 これで私のトワイライトエクスプレスの旅は終わった。乗ってみての感想だが、まずは「また乗ってみたい」ということだ。車両の老朽化が進んでいるとのことだが、大切に手入れされているせいか、もともとレトロなデザインのせいか、ほとんど古さを感じさせない。足回りはどうかわからないが、あと10年は使えそうだ。
 食堂車のウエイターに、「もう無くなるというので乗りに来た」というと「まだ正式発表はされてませんよ」といっていた。確かに廃止報道は新聞社のスクープであって、JRからは何も発表されていない。
 ただし私はこのトワイライトエクスプレスは時刻表に乗る列車としては、北陸新幹線金沢開業時に廃止されると思っている。おそらくこの車両を使って、JR西日本管内の九州の「ななつ星」のようなクルーズトレインを設定するのではないかと思う。
 廃止されるまでにはまた乗るつもりだ。こんどはロイヤルではなくB寝台で。

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