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参議院改革私案 [政治・経済]

 橋下市長率いる「維新の会」は、衆議院と同意見なら不要、異意見なら有害という参議院を廃止して一院制に移行すべしとの主張しているが、管理人は反対である。議院内閣制で一院制にした場合、多数党で形成される政権が解散をせず、任期を全うし、国民が意思を反映する機会が奪われる。また、国会選挙中に災害や暴動などが起きた場合、適切な対応が取れなくなる。その時は内閣が決断を下すことなるが、国権の最高機関たる国会が機能しないのは問題だ。参議院があれば緊急集会を開いて、とりあえず国民の意見を集約できる。
 今問題なのは参議院の権限が予算、条約批准、内閣総理大臣の指名、国会の会期延長を除いて、衆議院と対等なことだ。現状の民主党野田政権もそうだが、参議院で多数を占めていないために、予算は通っても、関連法案が通らないために、予算の執行ができないという事態に陥っている。法案に関しては参議院で否決されても、衆議院で3分の2の多数で成立する。しかし現状の民主党はその3分の2にも届いていない。解散がなく、任期が6年と長いために国政を十分に観察できる参議院はあくまでも国政のチェック機能に徹し、法案は参議院で否決されても、衆議院の総議員の過半数で成立するようにするべきだ。こうすれば過半数を占める与党が、欠席することで「消極的反対」を主張する議員を排除することができる。総議員の3分の1が充足数である単純過半数よりもハードルを高くすることによって、同一決議の重複を避けることできる。しかしこれでは参議院の権限は憲法改正時の議決に限られてしまうので、決算と弾劾裁判権を参議院のみに与えることでバランスを取る。
 議員活動として重要視されない決算はともかく、国民常識から逸脱した裁判官を辞めさせることのできる弾劾裁判は改革が必要だ。過去数例これによって罷免された裁判官が存在するが、それは下級裁判官に限られている。最高裁判事は衆議院選挙と同時に行われる国民審査によるしか罷免する手段がない。しかしこの国民審査は最高裁判事が一般的な国民にほとんど関心が持たれていないために、これによって罷免された裁判官がいないのが現状だ。意味のない国民審査に時間とお金をかけず、より国民の意見を反映させ司法の独立を守るため次のように改革してはどうだろうか
 。下級裁判所判事は弾劾裁判によって罷免が決定されるが、最高裁判事はさらに国民投票を必要とする。ここで過半数の賛成が得られれば、裁判官は罷免されるとする。緊急性を要しなければ、直近に想定される国政選挙と同時に国民投票を行ってもいい。
 この方法の利点は、現実的に適用されることがほとんどないことだ。弾劾裁判で裁判官が起訴されるには国会内の訴追委員会が判断することになるが、裁判官自身の品性が低下しない限り、やたら行政機関に有利な判決をしたり、死刑相当な事件を無罪にするといった理不尽な判決をしたところで裁判官が訴追されることは過去に事例がないからだ。さらに国会議員の汚職を灰色判決で無罪にして国民の怒りをかった裁判官が現れたとしても、国会議員が裁判官となる、弾劾裁判所が機能するとは思えない。ただ前述の管理人の参議院改革が実行され、必ずしも政権与党が過半数を占める必要がなくなれば、政権に掣肘を加える存在になるかもしれない。もし仮にこの制度で最高裁判事が罷免相当と判決され、国民審査に付されるとなれば、国民の関心は相当なものとなるだろう。国民は国会議員を通じての間接的にしか司法組織に関与できなくなるとはいえ、国民参加の道を残しつつも、費用の軽減を図ることができ、現状の国民審査に比べて、司法組織に国民の関心を高めることが可能となる。
 いずれにせよこれらの改革は憲法改正が必要である。現状では消極的な意見が多数を占めているようだが、本気に日本を再生するには、絶対に必要なことである。

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