SSブログ

オリンピック入賞の価値 [社会]

 バンクーバー冬季オリンピックが閉幕しました。日本は銀メダル3個銅メダル2個金メダル0個という結果でした。管理人は優勝できる実力がないとメダルは獲得できず、メダルの色はその時の運で決まると思っています。だから何とか銅メダルに届くかという選手は結果的にメダルにはありつけないです。もちろん、有力選手の故障や失格によって、メダルが転がり込むことはありますが、単に実力が勝負だとすれば、123位の差はほとんどないといえます。だから「銅メダルで喜ぶな」とか「金メダルじゃないと意味がない」とかいう識者の発言をよく聞きますが、たぶんそれは競技経験のない人もしくは、真剣に何かに取り組んだことのない人の発言でしょう。銅メダルでも素直に祝福するべきだと思います。

前置きが長くなりましたが、本題は「オリンピック入賞の価値」についてです。そもそも「入賞」とはなんでしょうか。

「オリンピックの本」(伊藤公著 サイマル出版会)によると、

オリンピック『憲章』第64条に「オリンピック競技大会におけるメダル及び賞状は、この規則の細則に記載された通達に従い、OCOG(大会組織委員会)が用意し、IOCがそれぞれの該当者に配布する」とあり、細則には「個人種目においては、一等賞は銀台金張りのメダルと賞状、二等賞は銀メダルと賞状、三等賞は青銅メダルと賞状である。メダルにはその競技の名称を記載し、競技者の首にかけられるよう、取り外しができる鎖かリボンに取り付けられていなくてはならない。第四位、五位、六位、七位、八位に入った競技者に対し賞状は授与されるがメダルは授与されない(以下略)」とあります。
 要するに各競技で8位までは入賞者とされ、賞状が授与されるというわけです。何故8位かというと、陸上競技のトラック競技や水泳は8コースで行われます。つまり決勝に残れば成績上位者とみなされ表彰されるというわけです。
 かつては入賞は6位までとされていました。1981年9月下旬から10月上旬にかけて、西ドイツのバーデンバーデンで開催された第84次IOC総会において、8位までに拡大されたとされています。したがって1984年のサラエボ冬季大会とロサンゼルス大会以降に出場した選手は8位拡大の恩恵を受けることになりました。6位までとされた経緯ははっきりしませんが、初期のオリンピックの頃は陸上トラックや水泳のコースが6コースしかなかったのではないかと推定されます。80年代になってからその矛盾を是正し、参加人員も増えたことから、入賞者を拡大したのでしょう。
 賞状は大会によって様式が異なっていて、それなりに格調高いものとなっています。各大会の表彰状のデザインは下記URLにアクセスして確認してください。管理人はアトランタ大会がお気に入りです。
Olympic Games Museum↓
http://olympic-museum.de/quickview/all_diplomas.htm

 JOCやマスメディア、そして大方の国民にとってはメダルを獲得することが最大の関心事となっています。メダリストとなると、新聞の一面にその名は掲載され、本人はもちろん、故郷の身内、あるいは恩師、同僚、はたまた幼なじみまでインタビューの対象となります。金メダルとなると、出身地は街を上げての騒動となり、日本に帰ってからもしばらくはテレビに追いかけられ、名誉町民や名誉市民といった称号を贈られることとなります。
 ところが入賞となると、スポーツ面の見出しに少し大きな文字で書かれ、世間の扱いも「頑張ったね」という程度です。当然マスコミで騒がれることはなく、メダルは見たことはあっても、賞状とはどんなものなのか一般国民は知らないと思われます。かくいう管理人も前述のサイトで見るまでは全く知りませんでした。マラソンの中山竹通選手はソウル、バルセロナで連続して4位入賞でした。彼は「3位と4位ではその後の待遇が全く違う。」とある非公式な場で述べておられました。例えば帰りの飛行機もメダリストはファーストクラスにアップグレードされたりするらしいです。
 入賞者の特典としては、国立霞ヶ丘競技場にその名を刻まれます。また『憲章』第67条に「オリンピック競技大会は、各国家内の競争ではなく、各国別の等位は認められない。各種目の入賞者の氏名を記載した栄誉名簿はOCOGが作成し、これをIOCに提供すべきものとする。」とあります。公式記録とは別に栄誉名簿に名前が載るというわけです。
 それと67条に「各国別の等位は認められない」とありますが、日本の報道機関は堂々と「国別メダル獲得数」が掲載されています。国民の関心事なので、これを掲載しないと少なからずクレームが来るでしょうが、本来のオリンピックの精神から外れていることは、マスメディアを通じて啓蒙するべきでしょう。

 ひとつ疑問が沸いたのですが、一般の市民マラソンでは順位に関わらず「記録証」なるものが発行されますが、オリンピックではそれに該当するものがあるのでしょうか。IOCに申請すれば発行されるのか、「そんなものは自分で記憶しておけ」とか「ウェブサイトを見たらわかるだろう」という扱いになるのか。オリンピックに出場した人がこの記事を見ているのなら、是非コメントをいただきたいものです。誰でも参加できる市民マラソンで発行されるのに、出場することすら困難なオリンピックで何も発行されないのはどうも納得がいかないので。
 実際のところ、オリンピックに出場するのは並大抵ではないです。その競技において国内トップレベルでないと出場は適わないのですから。また参加人員が増えて、競技力も向上したので(中華人民共和国のIOC加盟が大きいと思う)、メダル獲得はますます困難な目標になりつつあります。そういう意味では各競技を管轄している団体では入賞はひとつの目標になり得ます。入賞者が増えれば、「メダルも狙える」と見なされて、強化費の予算配分が増加したりするのではないでしょうか。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:スポーツ

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。